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りんごを見つめていたら満天の星が見えてきた!? 「見立て」の面白さを世に広める、鈴木康広の個展

ananweb / 2024年7月24日 22時0分

りんごを見つめていたら満天の星が見えてきた!? 「見立て」の面白さを世に広める、鈴木康広の個展

NHK Eテレの番組『みたてるふぉーぜ』の制作に携わるなど、「見立て」の面白さを世に広めるアーティスト、鈴木康広さん。都内では初めての個展が間もなく始まる。「見立て」とは、そもそも和歌やお茶の世界で用いられてきた手法。利休が漁で使う魚を入れる魚籠(びく)を花入れとして取り入れたことも「見立て」なら、紅葉を錦になぞらえて詠むことも「見立て」。伝統的にその道を豊かにする遊び心やテクニックとして用いられてきた。

「見立て」で発見! 何でもないモノたちの別の顔。

鈴木さんの作品ではりんごや葉っぱなど、どこにでもあるものが題材。見立ての力で想像力をジャンプさせ、ユニークな作品に仕上げて観る人を驚かせる。例えば、《りんごの天体観測》という作品は、じっとりんごを見つめていたら、表面の斑点が満天の星に見えてきたという自身の体験をきっかけにしているそう。

「『何かに似ている』と気がついて、それを別の何かに置き換える。発見を別の形に転換するプロセスにこそ、鈴木さんの創作の源があります」

と本展を担当するBunkamura ザ・ミュージアムの鳥屋めぐみさん。

「作品を『こう見なきゃいけない』という正解はありません。鑑賞者の解釈が加わることによって、見え方も変わってきます」

作品を観た人が作者と違う視点を見つけたら、隣で観ていた人がまた違った見方を発見する。そんな具合に、発見が発見を呼ぶことも見立ての楽しさだ。展覧会のタイトル「ただ今、発見しています。」は、鑑賞する私たちにもあてはまる。

会場では《まばたきの葉》、透明な人型の風船のような《空気の人》をはじめ、代表作を含む50点あまりを展示。最初のひらめきからアイデアを膨らませていくプロセスなど、制作の舞台裏が垣間見えるのもここだけ。「展覧会を観た後は、何気ない生活の中でとんでもなく面白いことに出合っていることに気づかされるかもしれません」と鳥屋さん。

「体験型の作品もあるので、子どもに戻った気持ちで楽しめること間違いなし。ぜひご来場ください」



《まばたきの葉》
開いた目と閉じた目を表と裏にプリントした葉っぱの形の紙を中央の円筒の差し込み口に入れると、巻き上げられ先端から吹き出す仕組み。くるくると舞う様子はまるでまばたきのよう。
鈴木康広《まばたきの葉》2003年 courtesy:ワコールアートセンター photo:市川勝弘



《足元の展望台》
サイズでいうと70cmはありそうな足の形をした台。ここに上がって足元を見れば、自分の足がもっと間近に見えた幼少期の感覚が蘇ってくる。ひと味違うユニークな展望台。
鈴木康広《足元の展望台》2014年 photo:Seiji Toyonaga



《りんごの天体観測》
りんごの模型の内部に灯りをともすと、上からかぶせたアクリル製のドームに光が星のように浮かび上がる。斑点のあるりんごの表面を星空に見立てて生まれた作品。
鈴木康広《りんごの天体観測》2006年、2021年 photo:Jeni Katzner

鈴木康広《りんごの天体観測》スケッチ
©Yasuhiro Suzuki

鈴木康広展 ただ今、発見しています。 二子玉川ライズ スタジオ & ホール 東京都世田谷区玉川1‐14‐1 二子玉川ライズ 7月20日(土)~9月1日(日)10時~19時(7/22~7/25は12時~、毎週土曜は~20時。入場は閉場の30分前まで) 会期中無休 一般1000円ほか オンラインによる日時予約制 TEL:050・5541・8600(ハローダイヤル) 主催:Bunkamura

すずき・やすひろ 1979年生まれ。アーティスト。身の回りの何気ない物事に対する気づきを独自の視点で作品に昇華。武蔵野美術大学で教鞭もとる。NHK Eテレ『みたてるふぉーぜ』(2023~)総合指導。
photo:Timothee Lambrecq

※『anan』2024年7月24日号より。文・松本あかね

(by anan編集部)

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