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腸内細菌を“理想のバランス”にするには? 食事傾向別に“おなかの中”をジャッジ!

ananweb / 2024年7月25日 20時0分

腸内細菌を“理想のバランス”にするには? 食事傾向別に“おなかの中”をジャッジ!

腸の働きを良くするには、ただ善玉菌を増やせばいいのではなく、腸内細菌のバランスを正しく整えることが大切。理想のバランスにするために必要なことを、腸内細菌のプロに伺いました。

食事傾向別に“おなかの中”をジャッジ! 賢い腸内細菌の整え方。

「大腸には約1000種類もの細菌が生息するといわれ、どの細菌がどれだけいるかは、人それぞれ違います」とは、摂南大学教授の井上亮さん。腸内には善玉菌と悪玉菌、そして腸内の状態によって良い働きも悪い働きもする日和見菌がいて、それらがバランスよく、多様な種類が存在していることが大事。理想のバランスは善玉菌2、日和見菌7、悪玉菌1の割合とされ、悪玉菌はできるだけ減らしたほうがいいが、ある程度は存在してもいいのだという。

「善玉菌が悪玉菌より“多くいること”が大切です。その状態を保てば日和見菌が善玉菌の味方につき、腸内環境は良くなります。そして腸内細菌バランスの良し悪しが、便の排出や栄養の吸収、免疫力にも関わってきます」

口から摂る善玉菌は腸に定着しないため、継続的に摂取する必要がある。そして善玉菌と日和見菌のエサになる食物繊維をしっかり摂り、善玉菌が増える環境をつくることが大切だ。

「穀物や野菜、豆や芋類で食物繊維をなるべく毎食摂り、足りない分はサプリやスムージーなどで補ってもOK。十分に食物繊維を摂れば便秘が改善され、悪玉菌が増えにくい環境にもなります」

anan世代の女性の食生活はタンパク質と脂質が多い傾向があるそう。糖質オフダイエットをする人が多いためではと、井上さんは推測する。糖質制限をすると食物繊維の量が減って便秘に。また、肉やプロテインなどのタンパク質ばかり摂りすぎると悪玉菌のエサになり、腸内環境の悪化を招く…。

「腸内細菌の多様性を保つためにも食事の偏りを改善し、多くの品目をバランスよく食べることを心がけましょう。そして適度な運動をし、腸に悪影響を及ぼすストレスをためないように。ガチガチの腸活は挫折しやすいので、できる範囲で少しずつ生活を見直すこと。長い目で見れば、それこそが腸の健康につながると思います」

大事なのは腸内細菌のバランス!



善玉菌2:日和見菌7:悪玉菌1

悪玉菌



【主な悪玉菌】

フソバクテリウム 大腸菌 黄色ブドウ球菌

発がん性物質や腐敗産物を作り出し、病気や老化と深く関わるとされる。タンパク質や脂質が中心の食事、不規則な生活やストレス、便秘などが原因で増えていく。

日和見菌



善玉菌、悪玉菌に入らない菌は、ほぼ日和見菌!!
善玉菌と悪玉菌のうち優勢な方と同じ働きをする。悪玉菌が増えたり体が弱っているときは、有害な働きをして病気の原因にも。バクテロイデスや連鎖球菌などがある。

善玉菌



【主な善玉菌】

ビフィズス菌 酪酸菌 乳酸菌

腸内で有害な菌の繁殖を抑えるビフィズス菌、免疫機能を整える酪酸を作り出す酪酸菌、整腸作用のある乳酸菌が有名。それぞれが働きをサポートし合っている。

最近の食事傾向でわかるあなたの腸内環境

腸内環境は、直近の食事傾向で大まかなタイプが判別できる。最もチェックが多かった食事タイプから自分の腸の状態を知り、食生活を見直そう。

和食バランス

肉よりも魚派 芋類・豆類を週に3~4回食べる おかず+炭水化物を三食摂る



【Advice!】良い腸内環境の目印、プレボテラ菌が多数!
穀物や芋類などの食物繊維や発酵食品を日常的に摂取し、バランスのいい食事ができている。酪酸産生菌であり、色々な食物繊維を使うことができる「プレボテラ菌」をはじめ、さまざまな善玉菌が腸内に存在し、悪玉菌が少ない理想的な環境。炭水化物+一汁三菜を基本にした食生活をこの先も続けよう。

洋食バランス

魚よりも肉派 フルーツを週に3~4 回食べる スープ類(野菜・豆類入り)を1日に1回は食べる



【Advice!】少しの意識と腸活で健康的な腸内環境バランスが目指せる!
洋食をベースにしたバランスのいい食事ができています。和食バランスタイプ同様に腸内細菌のバランスも理想的。プレボテラ菌はいないが酪酸菌が比較的多く、勢力の強い日和見菌バクテロイデスも多い傾向。ヨーグルトなどで生きた菌を摂ること、肉は揚げない調理で脂質とカロリーを抑えることを意識するとさらに。

炭水化物摂りすぎ

摂取カロリーのほとんどが炭水化物(糖質) おかずの数が少ない 1日1回も野菜を摂らない日がある



【Advice!】フソバクテリウム&大腸菌が多く、日和見菌が悪玉菌に引っ張られがち…。
ラーメンやチャーハンなど炭水化物だけの食事が多く、炭水化物以外の栄養素が全般的に少ない。食物繊維が足りないため善玉菌が常に少なく、フソバクテリウムや大腸菌などの悪玉菌が多め。便秘や下痢、やる気が出ないなどの症状が出やすい傾向に。豆のサラダやおひたしなどを足し、食物繊維とタンパク質を摂る工夫を。

タンパク質・脂質摂りすぎ

糖質制限をしている 偏った食材ばかり食べている 揚げ物を頻繁に食べる



【Advice!】善玉菌の“軸”が決まらず腸内環境が不安定。腸疾患+生活習慣病のリスクも高い!
糖質をカットしてタンパク質をメインにしたり、決まった食材ばかり摂りがちで、生活習慣病のリスクが高め。善玉菌の種類はそれなりにいるが数が少なく、悪玉菌も多いわけではないため日和見菌がどっちつかずの状態に。穀物や芋類をしっかり摂り、揚げ物を控えるなどの見直しで大きく改善に向かうはず。

砂糖摂りすぎ

食事の際にお茶よりジュースを飲む ファストフードを週1回以上食べる マヨネーズやソースをたっぷりかけるのが好き



【Advice!】菌自体の種類が少なく、機能性胃腸炎や潰瘍性大腸炎も危険信号。
タンパク質と脂質に加え、砂糖(特にショ糖)を摂りすぎ。炭水化物を抜いているのにお菓子がやめられない人にも多い。腸内でビフィズス菌だけが孤軍奮闘しているが、悪玉菌が多く押され気味。将来、胃腸疾患のリスクが高い。甘いドリンクやファストフードを控え、おやつを干し芋に置き換えるなどの改善が必須。

井上 亮さん 摂南大学農学部応用生物科学科教授。おもに腸内細菌叢の研究を行い、腸内フローラのデータベース構築や腸内環境の改善に関する技術開発に取り組む。テレビ番組やメディアへの出演も。

※『anan』2024年7月31日号より。イラスト・藤井友子 取材、文・熊坂麻美

(by anan編集部)

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