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悲願の“金”を目標に! なでしこジャパン「世界一を取れるだけのポテンシャルは絶対にある」

ananweb / 2024年7月31日 18時0分

悲願の“金”を目標に! なでしこジャパン「世界一を取れるだけのポテンシャルは絶対にある」

ロンドン五輪の銀を超えて初の金メダル獲得へ……。チーム一丸となって戦うなでしこジャパンが、パリの舞台で世界一を目指して熱い試合を繰り広げている。

熊谷紗希/清水梨紗/宮澤ひなた(サッカー日本女子代表)

写真右から、熊谷紗希選手、清水梨紗選手、宮澤ひなた選手

連日、世界の頂点を目指して熱い戦いが繰り広げられているパリ五輪。なでしこジャパンが参加している女子サッカー競技も、ここからメダル獲得をめぐる決勝トーナメントに入っていく。’11年のFIFA女子ワールドカップ(W杯)で世界一に輝いたが、五輪は’12年ロンドン大会の銀メダルが最高成績。悲願の“金”を目標に掲げパリの地に乗り込んでいる。

昨年の女子W杯は、優勝したスペインにグループステージで4‐0と快勝。痛快なカウンターで世界を驚かせた。しかし堅守と高さを誇るスウェーデンを崩し切れずベスト8で敗退。五輪までの間、臨機応変な対応という課題に向けて積み上げてきただけに、“金”への手応えは確実にある。

そのW杯で得点王に輝いた宮澤ひなた選手にとっては、初めての五輪。自身も大きな壁を乗り越えて迎える大会に「日本の女子サッカーの未来のためにも結果が重要になる」と意気込んでいる。

女子W杯で、スピードを武器にゴールを量産したことが評価されて、イングランドの名門マンチェスター・ユナイテッドへ移籍。さらなる成長を期して海外挑戦をスタートさせた。代表チームでも得点源へと立場が変わり、順風満帆かと思われた彼女のサッカー人生に昨年12月、思わぬ障壁が現れる。なでしこジャパンのブラジル遠征で右足首を骨折して全治約4か月と診断。今年2月のパリ五輪アジア最終予選への出場が不可能になってしまう。だが、そこでも前向きに取り組む彼女の姿があった。

「みんななら絶対に勝ってくれると信じて、自分の体と向き合ったりしながらポジティブに考えました。SNSで『強くなって戻ってきます』と投稿したとおり、筋力バランスを整えたりしながら復帰することができました」

4月上旬のアメリカ遠征で代表に復帰し、パリ五輪開幕にも間に合った。彼女の再合流はチームにとっても大きなプラス。鋭くゴールに襲いかかる宮澤選手のスピードは、間違いなくチームにビッグチャンスをもたらしてくれるはず。そして彼女自身も得点に直結するプレーへの期待を理解している。

「ゴールを期待される立場に変わってきたことは感じています。だから、パリ五輪では楽しみながら会場を沸かせられるようなプレーをたくさんできたらいいな。昨年の女子W杯で悔しい思いをしたので、今度はみんなで世界のてっぺんを見たい。私たちは試合を重ねることでどんどんいいチームになっていけるはずだし、短期決戦のパリ五輪では全員で勢いに乗っていけると思う。あとは気持ちですよね。もちろん技術や戦術は必要ですけど、苦しいときに立ち返る原点というか、みんなで声を掛け合うことで自分自身も『まだいける!』と思えるし、それがなでしこジャパンの良さでもある。そうやって一つずつ勝っていって、最後にみんなで喜び合いたい」

なでしこジャパンで攻守にわたって右サイドの“翼”を担う清水梨紗選手もまた、パリ五輪に大きな可能性を感じている一人だ。

自身にとっては東京大会に続いて2度目の五輪挑戦。自国開催の前回大会ではメダル獲得が期待されながら、ベスト8でフィジカルに強さを見せるスウェーデンに敗れた。この苦い経験で彼女が手にしたのは「もっと強くなりたい。もっとうまくなりたい」という願望。日常を変えることで得られる経験を求めて、’22年夏に海外挑戦を決意した。この決断が彼女を変える。プレーに力強さが加わり、世界の選手と向き合っても全く引けを取らないようになった。

パリ五輪で結果を出すために池田太監督も動いた。世界で勝つための臨機応変さを求めて、3バックと4バックの併用にトライ。相手によって立ち位置を変えられるサッカーに着手した。清水選手はいずれの場合も右サイドで攻守のキーマンとして期待されている。

「どちらのシステムでも攻撃のビルドアップで求められる仕事は多いと思う。そこは自分が違いを見せないといけない部分。特に3バックのウィングバックに入る場合はポジションが前になるので、得点につながるようなクロスや自分でゴールに向かっていくプレーは積極的に出していきたいですね」

パリ五輪開幕前にはプライベートでも仲のいい長谷川唯選手が在籍するマンチェスター・シティへの移籍が決定。ハードワークでチームを支える28歳がパリ五輪で目指すのは、もちろん金メダルだ。

「今までいろいろな大会に出させてもらいましたけど、いつも悔しい思いばかり。パリ五輪では本当にどん欲にメダルをつかみ取りにいきたい。自分はチームのために走ることが一番の仕事だと思っているので、攻守両面で『ずっと走ってるね』と思われるくらいのプレーがしたい。そしてチームのために自分のできるすべてをパリで出したい。優勝するために必要なのは、やっぱり気持ち……というか根性だと思います!」

そして’11年の女子W杯優勝を知る唯一の現役代表選手になったキャプテンの熊谷紗希選手。長らく代表チームで戦ってきて、もう一度世界一になることをずっと目標にしてきた彼女は今回、「世界一を取れるだけのポテンシャルは絶対にある」と手応えを語る。

代表ではセンターバックとしてプレーすることが多いが、’11年夏からプレーするヨーロッパでは主にボランチとして経験を積んできた。彼女の持ち味は高いボール奪取能力とチームコントロール。最終ラインの壁に置くのか、1列前で攻撃的にボールを奪うのか。その起用法とチーム全体の対応力が、パリでのメダル争いで一つのカギを握ることになりそうだ。

そしてキャプテンとしてチームをまとめることも大切な仕事になる。優勝するためのキャプテン像もイメージできている。

「ここまでずっと『みんなで助け合おう』というチーム作りをしてきたんですよね。困ったときでも、みんなで顔を見合わせたら大丈夫だって思えるようなチームでありたいし、そこで助けられるような存在でいたい。プレーでも声掛けでも、チームリーダーとして率先してやっていけたら」

そして経験豊富な彼女が考える金メダル獲得へのポイントとは。

「自分たちがずっとボールをつないで支配できる試合はないと思うので、しっかりと耐えることが重要になるはず。しかも今大会は中2日で試合が続くので、心と体のタフさがすごく求められると思うんです。でも、世界中を見てもタフさや頑張りでは、私たちは負けない自信がある。自分たちは間違いなく金メダルを狙えるところにいると思っているし、本当にチャンスはあるはず。いやー、ホントに取りたいですね! 世界一!」

みやざわ・ひなた 1999年11月28日生まれ、神奈川県出身。160cm、48kg。MF。昨年のFIFA女子W杯得点王。日テレ・東京ヴェルディベレーザからマイナビ仙台を経て、昨夏にマンチェスター・ユナイテッドへ移籍。昨年12月の右足首骨折というアクシデントを乗り越えて、パリ五輪代表入りを果たした。

しみず・りさ 1996年6月15日生まれ、兵庫県出身。160cm、47kg。DF。無尽蔵のスタミナで右サイドを制圧するサイドバック。21歳で代表デビュー。日テレ・東京ヴェルディベレーザで活躍し、’22年夏にイングランドのウェストハム・ユナイテッドへ。今年7月、マンチェスター・シティへの移籍が発表された。

くまがい・さき 1990年10月17日生まれ、北海道出身。173cm、63kg。DF。17歳でなでしこジャパン初選出。リヨンでUEFA女子チャンピオンズリーグ5連覇を経験。今シーズンはASローマでリーグ連覇を達成してセリエAベストイレブンに選出されるなど、長年、ヨーロッパの舞台で活躍中。



パリ五輪女子サッカー日程
8/1(木)0:00 グループステージ第3節 vsナイジェリア
8/3(土)or 8/4(日)準々決勝
8/7(水)準決勝
8/9(金)3位決定戦
8/11(日)決勝
※日本時間

※『anan』2024年8月7日号より。写真・彦坂栄治(まきうらオフィス) スタイリスト・小林実可 ヘア&メイク・石川ゆうき 美樹(共にThree PEACE) 取材、文・青山知雄

(by anan編集部)

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