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池松壮亮、映画監督・奥山大史は「これからたくさんの俳優が出会ってほしいと思う監督」

ananweb / 2024年8月2日 19時0分

池松壮亮、映画監督・奥山大史は「これからたくさんの俳優が出会ってほしいと思う監督」

映画『ぼくのお日さま』で演者×監督としてタッグを組んだ池松壮亮さんと奥山大史さんのふたり。日本映画界に欠かせない実力派俳優と世界からも注目される新人監督が考える、“映画にとって幸せ”な世界線とは。

これからの映像世界を担うふたりが見据える、シームレスな世界。

写真右・池松壮亮さん、左・奥山大史監督



――奥山監督作に、池松さんが出演することになった経緯は?



奥山大史(以下、奥山):前に自分が監督したドキュメンタリーで池松さんに出演してもらったことがありました。あの時あんなにも物語を感じさせてくれた人が出たらどうなるんだろうと思いプロットを書き換えたら、それまで見えなかった部分が一気にクリアになり、感想だけでも聞いてみようとまだ短いプロットの段階でお送りしたら「出ます」と言ってもらえて。



池松壮亮(以下、池松):普段脚本を読まずに受けるということはないんですが、プロットを読んでこれはいけるという感触がありました。これまで奥山さんの映画以外の仕事も見させてもらう中で、MVや配信ドラマの監督作のどれもが素晴らしくて、新時代の天才が現れたと感じていました。奥山さんという未来の才能に賭けたい、大事な商業1作目で、できる限りの力になりたいと思い参加を決めました。



――奥山監督の演出は?



池松:とても穏やかで、妥協がなく、丁寧で緻密です。とても親切で、素晴らしい映画センスと人間性と、決断力を持っています。これからたくさんの俳優が出会ってほしいと思う監督です。



――奥山監督が脚本、演出、編集、撮影まで手掛ける理由は?



奥山:自分より上手いカメラマンはいっぱいいます。でも、その作品にかける時間と愛情だけは誰にも負けないという確信だけはあるので、だったら自分でやろうと。



池松:監督としてもカメラマンとしてもずば抜けた才能を持っていて、“ボーダレス”という言葉がとてもしっくりくる人。これから日本映画界にも二刀流、三刀流でこれまでの形にとらわれない新しい世代が出てくるはずですが、奥山さんはその走りになるかと。良い映画を作るという目的のためには、ボーダーは必要ないと思います。



――好きな役割はありますか?



奥山:編集が一番好きです。今回はフランスに住むレバノン人の方とパリで一緒にやりました。“それだと海外の人に伝わらない”とか明確に伝えてくれる方で、編集の選択肢を増やしてもらえてありがたかったです。映画は映像メディアの中でも一番国境を超える可能性があると信じているので、日本の外にいる視点を編集に取り入れられたことは、大きかったです。



池松:たくさんの人に観てもらうということが映画にとって一番の幸せ。これまでのように国内マーケットだけで海外の観客に映画を届けようとしないというのは映画にとって不幸なことだと思います。



――池松さんの作品選びや国内外でのご活躍を見るとそれこそ“ボーダレス”に感じます。



池松:日本の俳優にしてはこだわりが強い分、むしろボーダーを引いてきたと思われているように感じます。



奥山:池松さんはご自身であえて線を引いて、そこを越えてきたように僕には見えます。それこそ、久々に民放のテレビドラマに出るとか。こだわりを持ってやると決める人だからこそ、そこを超えた時の意外性にワクワクします。



池松:そもそも表現、特に映画に関してボーダーがあるとは思っていません。遠い時代のまったく知らない国の映画を観ても感動できるのは、映画が世界と対話できる共通言語だから。そう信じてやってきたので、海外の作品に参加することにも抵抗がありません。ドラマに関しては映画とはまた違うメディアとして捉えていますが、配信の台頭もあり、この多様な時代の、変化の時に、多様なメディアがボーダーを超えて、さまざまな可能性を探ることは重要なことだと思っています。



――『ぼくのお日さま』ではバリアフリー上映もあると伺いました。健常者と障害者というある種のボーダーを取り払おうとする素敵な考えに目が向くようになったきっかけは?



奥山:通っていた小学校に、障害のある方々が過ごす滋賀の施設に希望する人が行ける制度があったんです。そこで1週間弱過ごしたのが原体験ですね。その後、障害のある子どもの映画を作ろうと、広尾にある特別支援学校にお手伝いに行きました。障害のある人たちを描く時にどうするべきなのか悩みながら、健常者である子どもが、気軽な気持ちで障害を真似するようにお芝居をするのは絶対に違うと思いました。



池松:そうした経験があったと聞いて、なるほどと思いました。今作の主人公は吃音を持っています。奥山さんは吃音を自分の映画に“利用”しようとするような態度が一切ありませんでした。そうではなく、作中で自然と吃音の少年を物語世界に存在させ、周囲の優しさでカバーしていくことを選んでいます。まるで映画でこの現実世界をカバーしていくような感性に、とても共感できました。



――ボーダーを超えたいことは?



奥山:照明だけ、録音だけで現場に入ることです。光や音のことをもっと知りたいですし、より詳しくなったら、自分の現場で具体的に指示を伝えられると思うので。



池松:ありがたいことですが、作品が1本終わると、出来上がった喜びも束の間、次の作品が待っています。そのボーダーを超えていくことを、楽しんでいきたいです。

『ぼくのお日さま』 氷上を舞う少女・さくらに心を奪われた小6のタクヤ。さくらのコーチ・荒川は、タクヤの想いに気づき、ペアを組むことを提案する。9月6日、テアトル新宿、TOHOシネマズ シャンテにて先行公開、9月13日より全国公開。©2024「ぼくのお日さま」製作委員会/COMME DES CINEMAS

いけまつ・そうすけ(写真・右) 1990年7月9日生まれ、福岡県出身。近年の主な作品に映画『ちょっと思い出しただけ』『シン・仮面ライダー』『白鍵と黒鍵の間に』など。現在、ドラマ『海のはじまり』(フジテレビ系)に出演中。

おくやま・ひろし(写真・左) 1996年2月27日生まれ、東京都出身。SIX所属。長編2作目となる『ぼくのお日さま』が第77回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門へ正式出品。Netflix『舞妓さんちのまかないさん』やMVなどジャンルレスに活躍。

※『anan』2024年8月7日号より。写真・森山将人(TRIVAL) ヘア&メイク・FUJIU JIMI 取材、文・小泉咲子

(by anan編集部)

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