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最初は嫌な印象の人が、結果的にバディになることも? “バディ”の社会学

ananweb / 2024年8月22日 19時0分

最初は嫌な印象の人が、結果的にバディになることも? “バディ”の社会学

現代におけるバディとは、どんな関係性を指すのか。また、多くの人がバディに心惹かれる理由は何なのか? 社会学者の石田光規先生が、現代の事情とともに分析します!

気になる関係を考察! バディの社会学。

バディは感情ではなく、社会的役割で結びついた二人。

人の感情という不安定なものの上に成り立つ“友だち”とは異なる性質を持っているのが、バディ。「仕事やスポーツなど社会的役割で結びつき、理念や目標を共有する、感情に左右されにくいからこそ離れがたい関係だといえます。ただ、友だちとは、ギリシャ哲学の時代から、社会の中で出会い、行動を共にして心が通じ合った結果、奇跡的にできる存在という位置付けでした。現代のように社会的役割と関係なく友だちになることは歴史上、レアケースなのです」

対話や対立ができるところがバディの強み。

共通の目的達成を前提に繋がっているバディは、すれ違いや関係の破綻を恐れずに、意見を言い合えることが大きな特徴。「まず、対話が自然と生まれる環境にあります。そして、意見を戦わせることで、お互いを深く知れたり、信頼感が芽生えるなど、関係性において1段高いステージに進みやすいといえるでしょう。また、“対話をして相手を理解した”という感覚が得られること自体も相手を特別に感じさせます」

希少な関係だからこそ、みんなバディに憧れる。

映像でも文学でも、人の心を掴むバディ作品が多く存在するのは、「現実世界の裏返しでは」と、石田先生。「高校野球の新聞記事を分析した結果、選手の友情物語にフォーカスしたものの割合が1980年代から右肩上がりに増えています。バディになれるような社会的な繋がりや、関係を育む場所が少ない今、フィクションの世界のバディに物語性を読み取り、憧れを重ねる人が多いのかもしれません」

スマホの登場やコロナ禍でバディとなる人を見つけづらい時代に。

「スマホの登場で、会いたい人にだけ連絡する選別的な人間関係が台頭。『ドラえもん』の空き地のように“多様な人が集まる場”が激減しました。コロナ禍での飲み会の減少も含め、いろいろな人と関係を蓄積する機会が失われています」。それではバディが生まれない可能性も。「人の感情は揺れ動き、好き嫌いも変化します。最初は嫌な印象の人が、結果的にバディになることも十分考えられます」

目的のために純粋に邁進できる人がバディ候補に。

「社会的な役割で結びつく関係がバディならば、仕事や任務に純粋に取り組み、目的のために臆さず意見を言えるような人が、いいバディになるのでは。バディには欠点を補い合う感覚もあるので、自分とは違うタイプもいい候補になりえます」。好き嫌いにかかわらず、継続的に会って関係を築ける環境の確保も重要。「スポーツや環境保全活動など、友情以外の目的や、やることがあるといいでしょう」

バディは解散、更新してもいい。

共通の目的で結ばれるバディは、その達成により、関係が解消されることもしばしば。「使命や任務が終わった時点で解散することもあれば、新しい場所で新しい相手とバディを組むことも考えられます。そもそも、人間関係は定期的に会っていないと古びていき、環境やライフステージとともに変化するもの。バディも同様で、更新されるのが当然。その時どきにいい関係性が築けていれば十分ではないかと思います」

社会学者 石田光規先生 早稲田大学教授。人間関係や人と社会、コミュニティとの繋がりを主に研究。著書に『友だちがしんどいがなくなる本』『友人の社会史』『孤立の社会学』『「友だち」から自由になる』など。

※『anan』2024年8月28日号より。イラスト・山中玲奈 取材、文・重信 綾

(by anan編集部)

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