不動産会社の経営者が教える! 早めにやっておきたい「実家売却時の備え」
ananweb / 2024年8月31日 20時50分
「空き家になっている実家を手放したい」「実家じまい、何から手をつければ…」。そんな悩みがあるかたも多いのではないでしょうか? 『持ち家女子はじめます』(飛鳥新社)の著者であり、5000人超の女性たちの「幸せになれる家選び」をサポートしてきた「ことり不動産」代表の石岡茜さんに、実家の土地(不動産)を売却する際の注意点について教えてもらいました。ぜひ参考にしてください!
POINT1 親が元気なうちに話し合っておく
現金とは違い、不動産は物理的に分割できない資産のため、兄弟姉妹間で遺産相続トラブルが起こりやすいものと言えます。
とくに、複数人の共有名義で相続した土地は、売却して現金化したい人と、そのまま保有しておきたい人とに意見が割れた場合、放置されて空き家になってしまう可能性も。
そうならないためにも、親が元気なうちに「誰がどの資産を引き継ぐのか」「将来的に、実家をどうするのか」など、兄弟姉妹を交えて話し合っておくことが必要です。
その話し合いを経て、親に遺言書を作成しておいてもらうことこそ、大きなトラブルを回避する最善策と言えるでしょう。
ちなみに土地を分割する方法として、土地をそのまま分ける「現物分割」、土地を売却してお金に換金して分割する「換価分割」、家を相続した人が他の相続人に金銭を払う「代償分割」、相続人で共有する「共有分割」などがあります。
「実家の土地は兄弟に任せたい」などという場合、民法では「相続開始から3か月以内」に相続放棄をしなければならないと定めています。
短期間で手続きを進めなければならないため、事前に相続放棄についても調べておくと安心です。
POINT2 すぐに人が住める状態にしておく
地方では戸建てを持つ人が多く、親から受け継いだ家にそのまま住み続ける人も多数いるため、土地は売れづらいです。
また田舎に行けば行くほど土地の価値は低くなり、なかなか買い手がつかないのが現状です。
そんななか実家の売却を検討するのであれば、「上物」が大切。購入を希望した人が手を加えることなく、すぐに住める美しい状態であると売却しやすくなります。
たとえば1981年以降の新耐震基準を満たしていない物件であれば耐震工事を済ませてある、老朽化した水回りなどの設備がリフォームで新しくなっている、クーラーなど比較的新しい家電が付いている、伸び放題だった庭の草木が手入れされている、など。
耐震工事やリフォームが施されていない物件は、すぐに住むことができないため、敬遠されがちです。
とはいえ手をかけた額より売値が下回っては元も子もないので、費用対効果を見据えて計画を立ててください。
なお長い期間、空き家だった物件は工事費もかさむため、相続後なるべく早めにリフォーム等に着手し、売りに出すことをおすすめします。
POINT3 不動産会社や隣人の言い値で売らない
実家を売却する際、不動産会社に依頼して家の価値を査定してもらうことから始めるかたがほとんどだと思います。
その際、一社だけでなく、複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。
なかには、「この土地は100万円くらいにしかなりません」などと、低く査定する業者もいるものです。
田舎の土地に高値がつくことはほとんどありませんが、それでもあまりに安すぎる額で販売することを提案してくる不動産会社は信頼できません。
言い値で売らないようにしてください。
またこれは「実家売却あるある」なのですが、なかなか買い手が見つからない物件であっても、隣人が買ってくれる場合があります。
売却を決めたら、まず隣人に打診してみるのも一手かもしれません。ただしその場合、交渉は仲介業者に任せることをおすすめします。
どんなに隣人との関係性がよかったとしても、自分たちだけで交渉をするとこじれる可能性があります。
「近所のよしみで安く売ってくれるだろう」と極端な言い値で交渉されることを防ぐためにも、クッション役になってくれる仲介業者がいると安心です。
Information
<教えてくれた人>
石岡茜さん。2013年に「女性のための不動産会社を作りたい」と、東京・学芸大学に「ことり不動産」を設立。女性ならではの細やかな視点と「幸せな家選び」をモットーに、物件選びをサポートしている。宅地建物取引士。著書に『持ち家女子はじめます』(飛鳥新社)がある。現在、TV CMを放送中。YouTube「ことり不動産TV CM」でも視聴可能。
取材、文・髙倉ゆこ
©Hiroyuki/Adobe Stock
取材、文・髙倉ゆこ
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