「すっごく大好き!」の大合唱…A.B.C-Zのステージツアーレポ
ananweb / 2024年10月3日 19時30分
4人体制となった新星A.B.C-Zが現在、大阪、神奈川、愛知、熊本、東京の全国5都市でワンマンツアー『A.B.C-Z Concert Tour 2024 F.O.R』を開催中。約4年ぶりとなるオリジナルアルバムを引っ提げ9月29日(日)に東京LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で行われたステージをレポートします。
4人体制となった新生A.B.C-Zがワンマンツアーでファンとの絆を再確認
2023年12月21日に河合郁人さんがグループを脱退し、4人体制となったA.B.C-Z。2024年8月21日にリリースした4人になって初めてのアルバム「F.O.R-変わりゆく時代の中で、輝く君と踊りたい。」を引っ提げての全国ツアーをこの秋、行っている。
アルバムとツアータイトルにあるF.O.Rは、4人組の“four”でもあり、“For you”、“For me”という“ファンの方々のために”、“求められているところに”、“自分たちが行きたいところに”など、色々な読み解き方があるという。A.B.C-Zを応援してくれるすべての人へ感謝の想いを捧げるステージが「君じゃなきゃだめなんだ」から幕開けした。
今回は、「君じゃなきゃだめなんだ」のミュージックビデオのコンセプトでもあった昭和から平成の歌番組にあるレトロな世界をリバイバル。TODAY RANKINGと題して、歌番組風に歌う楽曲を紹介する場面も。テーマは、“歌って踊る日本のアイドル”。眩しくスポットライトが照らす中、ヒョウ柄の衣裳で階段を降りながら情熱的に歌うのは、切ない恋心。最後に4人が手を合わせる振り付けがドラマティックに映る。
「Fantastic Ride」では橋本良亮さんが「Hey! 元気? OK! その調子で行きましょう」、塚田僚一さんが「皆、最高の思い出作ろうぜ」と呼びかけ「花言葉」へ。愛する人を永遠に守りたいという色あせない思いを歌う曲をしっとりと歌う4人。会場に集まったファンが振るペンライトも彼らの熱い歌声にシンクロするように熱がこもり、気持ちをひとつにしていく。
4者4様のみどころがあるソロ曲。塚田さんのソロ曲は、「Stay Back」。レーザー光線が飛び交う中、黒のグローヴをはめてスタンドマイクを持って歌う姿は、男っぽい雰囲気たっぷり。途中からは振付と演出を務めた屋良朝幸さんが飛び入り参戦し、2人でダンスしてハイタッチ。女装して女性アイドルになりきり歌う“塚リカ”のキャラが定着し、コミカルな楽曲をソロで披露してきた印象が強いことから、恰好いいナンバーは新鮮。
戸塚祥太さんのソロは、作詞作曲も自身が手掛けた「月に行くね、光の連続」。光が差し込み、スモークが立ち込める幻想的な世界観の中、裸足で歌う姿は、まっすぐ。ゆるやかで独創的なコンテンポラリーダンスと、それとは対照的に言葉をまくし立てるように歌うコントラストが面白い。戸塚さんが月に込めた想いとは一体何なのか、想像を膨らませながら聴きたくなる曲に仕上がっている。
後半に披露した五関晃一さんのソロは、「リマレンス」。ピンスポットライトを浴び、階段をゆっくり降りながら歌う楽曲は、恋の相手にロマンティックな感情を抱く思いを歌うラブソング。美しい映像との世界観とリンクしたしなやかなダンスで会場を魅了していた。
白い布が降りてくると橋本さんのソロ「浮遊」へ。ベッドが置かれたスタイリッシュな空間で、つかみどころのない切ない恋心を歌う。真っ白な衣裳を素肌に着た橋本さんが時折、ジャケットから肩をはだけさせる姿に大人の色気が漂う。彼女目線の映像とパフォーマンスがシンクロする中、ラストは大量の白い羽根が落ちてきて…。ドラマティックな世界観を完成させた。
MCでは、腰を痛めたという塚田さんから「自分、怪我しちゃいまして。今回のツアーはこのような感じになっています。すみません。自分のできる範囲内のパフォーマンスということで。ちょっとフォーメ―ションとかも改良してもらって」と説明が。上半身だけの振りをダイナミックに踊っていた塚田さんに「でも、めっちゃ踊っていたよね」とメンバーたち。
ここで塚田さんのソロ曲でサプライズ出演を果たした屋良さんがステージに登場。「お久しぶりです。2月から独立して、後輩のステージに立つ1発目がA.B.C-Zです。振り付けとしても1発目。これまで俺が所属していた時に、塚ちゃんから『振り付けやって下さい』って来たことないし。俺が退所したタイミングでなんか変わったのかなぁ(笑)。急に『振り付けやって欲しいんです』って連絡が来て。塚ちゃんって結構コミカルな曲のイメージが多いんだけど、今回はロック調でカッコよくしたいって」と、ソロ曲の振付と演出を担当したいきさつを語る屋良さん。
今回は、恰好いい曲で攻めたいということになり、本当はトランポリンを使った演出もあったそう。塚田さんの腰のケガを知った屋良さんは、「塚ちゃんが踊れないから、僕が踊らせてください」と助けるつもりで駆け付けたものの、かなり踊っている姿にビックリしたという裏エピソードが語られた。
他には五関さんがMCを仕切り、U-NEXTでのコンサート配信決定と11月27日に15枚目のシングル「ヒリヒリさせて」の発売決定、採録配信EPのリリースという嬉しい発表も飛び出し、大きな歓声が上がる会場。新曲は、作詞に森浩美さん、作曲に馬飼野康二さんら豪華クリエイターが集結し、振付はTAKAHIROさんが担当。時代を感じるダンスナンバーになるというので楽しみだ。
ラスト2曲に差し掛かった頃、ステージセンターから高さが5mある巨大な船が登場。この船の名前は、時空を旅する「F.O.R」。船体には、古いラジカセやブラウン管テレビなどのレトロな装飾が施されており、A.B.C-Zという船が変わりゆく時代を旅してきたことを表現しているという。船のデッキにつかまり歌ったのは、「Twilight Blue」。スモークが立ち込める中、幻想的な海が広がる光景が現れる。一生かけて叶えていきたい夢の旅路を歌う楽曲で、遠くを見つめて力強く歌う4人。これまでファンとA.B.C-Zが紡いできた歴史を船に乗せ、この先の未来も駆け抜け、ストーリーをつないでいこうとする決意表明に聞こえた。
ラスト曲の前に今の想いを語る場面があり、船のセットのセンターに立ち、トップバッターで語ったのは、戸塚さん。「感謝の気持ちでいっぱいです。皆が僕たちのことが面白いと日々応援してくれているおかげで、こうやって自分たちは今、スポットライトの中に入れています。ありがとうございます。もう感謝です。いっぱい僕、『ありがとう』って言っているんでね。皆さん、今後日常生活の中でね、最近、人から『ありがとう』って言われてないなって思った時は、この今のありがとう引き出してください。ありがとうBagから(笑)。いくらでも好きなように使って下さい」。
とっつーワールド全開のトークを繰り広げた後は、「昨日、突然ふと思ったんですけど、僕たちの、こうやって喋り声とか肉声とか、皆さん聞く機会ってありますよね。今日もそうですし、ラジオとかテレビとか、僕たちの声を皆さんが聞く機会ってたくさんあると思うんですけど、逆に僕たちはみんなの声、肉声で何か言葉を聞く機会ってそんなに多くない気がしていまして。SNSのメッセージやファンレターで皆さんからの言葉を受け取っていますけど、皆さんの声で僕たちが聞ける機会って、なかなかない。せっかく今日みんなこう集まっているんで、みんなの声でちょっと僕が聞きたいフレーズっていうのをオーダーしてもいいですか?」と会場に尋ねる。
「いいよ」と叫ぶファンの皆さんに「それではちょっとオーダーします。“すっごく大好き”このフレーズをオーダーさせてください」と戸塚さんが言ったそばから、「すっごく大好き」と個々に叫ぶファン。「今のソロの音もすごく素敵でした。これをみんなで 1つになっていったらすごいんじゃないかなと思って。僕が“せーの”って言うんで、そのフレーズみんなで言ってもらっていいですかね。準備は大丈夫ですか。大好きな人のことを心の中で思い浮かべてください。誰でもいいんですよ。 本当に誰でもいいんです。その人に届けてください。“すっごく大好き”なんて言う機会、まあ滅多にないですし。シラフですよね、皆さん(笑)。お酒でも入っていればギリいけるかもしんないですけど、なかなかないですよね? チャンス来ました。行きますよ! せーの」。そして、“すっごく大好き”の大合唱が巻き起こると、「いただきました。最高です。ありがとうございます。ごちそうさまでした!」と笑顔に。
戸塚さんが愛溢れるファンとのやりとりを繰り広げた後に続いた五関さんのトークは、ファンへの親しみが感じられるものだった。「ここだけの話さ、U-NEXTで配信された時にさ、なんかすげえなんかかっこいい人って感じで行きたいんだ。演じるからついてきて! なぁ、ぼたん、今日楽しかった? (「楽しかった!」とファン) 知ってる。みんなが心から楽しんだからこそでる素敵な笑顔、眩しかったぜ! 今日もぼたんに素敵な発表ができたけど、これからもドンドン素敵な発表、そして、素敵な楽しい時間を過ごせるように俺たちも頑張っているから、一生ついてきてくれよな。素敵な笑顔をまた見せてくれ。その時まで元気でな。どうもありがとう。今日は楽しかったぜ!」
続いて塚田さん。「皆さん、ありがとうございます。本当にありがとう。このコンサートツアーのタイトルは、僕たちA.B.C-Zからファンの皆さんへメッセージ込められているんですけど。ここ最近、A.B.C-Z新体制4人になって発表をして感じるのは、自分たちがこうしているっていうより、こうしてもらっているなっていうのをすごく感じます。今回こうやって来てくれるみんなもそうだし、怪我をして対応してくれたスタッフの皆さん、メンバーはもちろんそうだし、頑張ってという気持ちを込めて振り付けして下さった屋良くんもそうですし、関係者の皆さんにも本当にF.O.R(ツアータイトル)してもらってばかり。でも、そういう関係性って、こうやって活動しているから感じられることだと思う。これからもそんな関係性をどんどん高めていきたい、大事にしていきたいなって、より思いました。F.O.Rし合って、明るい未来にしていけたらなと思います。今日はありがとうございました」。
「皆さん、本日はありがとうございました」とお礼の言葉から始まったのは、橋本さん。「今日もね、みんなのこと好きだな、愛しているなと思えた公演でした。皆さんの力は偉大でパワーがすごいなと毎回思いますし、そのパワーを、舞台上で僕を輝かせるパワーだと思って常にいっぱいパワーを送っていただきたいなって思っております。皆さんがいないとね、僕、スイッチ入らないんですよ。稽古場やリハーサルでは全スタッフさんに『橋本、やる気ない』って思われているかも。今までのDVDのリハーサル風景とか見ていただくとわかると思うんだけど、ダラダラしがち。ちゃんとやっていますけど、お客さんが入って、スイッチが入るので。朝、『おはようございます』って楽屋に入った時、スタッフさんに『ここから橋本くんがどうスイッチが入るのか、楽しみです』って言われるくらい(笑)。俺の切り替えは、すごいらしくて。それは、皆さんのおかげだよっていう話でした」と、ファンの前に立つとスイッチが入ることを力説。
続いての話題は、ゲスト出演した屋良さんについて。「今日はやらっちにね、来ていただきまして、ありがとうございます。やらっちとは印象的に残っている思い出があって。僕が16歳の時かな。『PLAYZONE』をやっている時に千葉の方でリハーサルがあったの。やらっちがバイクで来て、『やらっち、かっこいいバイク乗ってるね』ってなって。バイクに興味津々になった俺に、やらっちが後ろに乗れって地元まで送ってくれました。有名なラーメン屋さんに行って2人で食べて帰った思い出がありますね。その後、俺も原付きの免許を取って、『やらっちと一緒にツーリングできる!』ってなって。千葉のリハーサルだった時に原付で行って、地元までずっとツーリングしました。原付なので30キロしか出ず(笑)。やらっちも遅いペースで走ってくれて、あの時は、すみませんでした…っていう話でした」と、屋良さんとの懐かしい思い出を教えてくれた。
ラストソングは、バラードソング「君の隣で目覚めたい」。奇跡のような出会いを歌うラブソングで、どこか懐かしいトラックが耳に残る。これまでと変わらず、A.B.C-Zとファンが寄り添っていたいという想いが感じられる優しい歌声をまっすぐに届けた。
新生A.B.C-Zとファンの皆で一緒に新しいステージに向かおうと心をひとつにした今回のライブ。時代は移り行き、どんなに変わっても、A.B.C-Zとファンの絆は永遠。彼らに寄り添うような温かい空気感の会場には多幸感が満ち満ちていた。
写真・池上夢貢 取材、文・福田恵子
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