定期的な検診が最大の防御に! 女性が気をつけておきたい“婦人科系の病気”
ananweb / 2024年10月14日 20時0分
自分のカラダを守るために。女性が気をつけておきたい病気とは?
快適&健康な毎日のために異変は早めに察知しよう。
産婦人科専門医の稲葉可奈子先生によると、女性の病気や不調の中には、きちんと検診や相談を行っていれば、防げるものがたくさんあるという。
「その代表格が、子宮頸がん。子宮頸がんは定期的な婦人科検診で早期発見の可能性が高まるし、ワクチンで防げる病気です。生理の痛みや不調もそう。気にしながら生活しているなら、医師に相談を。トラブルが見つかるかもしれないし、何もなければ安心が得られます」
ほかにも乳がんなど、早めの受診が予後を左右する病気は多い。心当たりがあれば、該当の診療科で診てもらおう。
「なかでも婦人科は、“かかりつけ医”を作っておくと心強い分野。PMSに悩む思春期や、妊娠・出産を考える成人期、閉経を迎える更年期など、女性のカラダは年齢によってダイナミックに変化します。自分のことをよく知っている“かかりつけ医”があれば、心強いもの。体調の大きな曲がり角も、安心して迎えられるはずです」
婦人科系の病気
主に、女性ホルモンやウイルスの影響で起こる子宮や卵巣の病気。生理痛や生理不順などの不調が、発見のきっかけになることも。
定期的な検診が最大の防御に。
婦人科系の病気とは、子宮や卵巣など女性にしかない臓器、組織に起こる病気のこと。
「膀胱炎のように、男性も罹るけれど女性に多い病気も診察しています。診療科は、産婦人科でも婦人科でもOK。病院によって女性外来、女性総合外来という名前の場合もあります」
婦人科系の病気の中でも20~30代が特に気をつけるべきは、子宮頸がん。
「若い世代の罹患数が多いうえ、長いスパンで見ると、患者の数が増えています。ワクチンで防げる病気なので、未接種の方はぜひ接種を検討してください。特定の年代の女性に対しては、2024年度内なら公費でワクチンを受けられる“キャッチアップ接種”を実施しています」
子宮頸がん以外については、確たる予防法がないのが現状。だからこそ、できれば年に1回の婦人科検診を受けて、早期発見、早期治療につなげたい。
【子宮頸がん】ウイルス感染がきっかけで発生。
・どんな病気?
ヒトパピローマウイルス(HPV)への感染が原因で起こると考えられている、子宮の入り口にできるがん。20代でも発生する確率が高い。HPVに感染してもほとんどの人は免疫の力でウイルスを排除するが、感染が長期間続いてしまった場合、ごくまれにがん化するケースがある。HPVワクチンを接種すれば、予防できる。
・症状
初期は自覚症状がない。不正出血、濃い茶色や膿のような色をしたニオイのあるおりもの、セックスのあとの出血など、自覚症状が現れたときには進行している可能性が。
・治療
初期なら子宮頸部の切除だけで子宮は温存できる。進行すると、子宮・卵巣摘出のほか、周囲のリンパ節を切除するケースもある。
子宮頸がんの年齢別罹患率(2019年)
国立がん研究センター がん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)より
【子宮筋腫】重い生理の原因になり得る。
・どんな病気?
子宮の壁を作る筋肉にできる腫瘍のこと。30歳以上の女性の20~30%に見られる、よくある病気。発生原因は不明だが、筋腫が大きくなる要因には、女性ホルモンのうちエストロゲンが関係しているという。多くの場合経過観察になるが、できる位置によっては受精卵が着床しにくく不妊になったり、流産や早産のリスクがある。
・症状
自覚症状のないことが多い。筋腫の大きさや位置によっては生理の出血量が多くなったり、生理痛が重くなることも。それによりレバーのような血の塊が出るケースもある。
・治療
発覚した年齢や筋腫の位置、大きさによって、治療プランは様々。筋腫が小さくて無症状なら、経過観察で様子を見ることが多い。大きさや場所によっては、手術することも。
【子宮内膜症】ひどい生理痛の陰に隠れている可能性大。
・どんな病気?
子宮内膜とは、妊娠した場合赤ちゃんのベッドになる粘膜のことで、本来子宮の内側にできるもの。その子宮内膜が、卵巣や腹膜など子宮以外の場所にできてしまう病気を子宮内膜症と呼ぶ。卵巣にできた場合は「チョコレートのう胞」と呼ぶことも。月経周期に合わせて増殖し、周囲の組織と癒着したりして、痛みの原因になる。
・症状
生理痛がひどくなり、寝込む人も。腰痛、排便痛、性交痛などにも及ぶ場合が。また、不妊につながることがあり、不妊の女性の約30%に子宮内膜症があるといわれる。
・治療
妊娠・出産のタイミングなどによって治療方針が変わる。ホルモン療法や異常な子宮内膜の切除のほか、子宮や卵巣を摘出することも。閉経すると症状が治まる。
【多のう胞性卵巣症候群】卵巣の中に未熟な卵子が溜まってしまう。
・どんな病気?
卵巣の中に未熟な卵胞=卵子の入っている袋が増えることで、卵巣を覆う膜が厚く硬くなり、排卵しにくくなる。左右の卵巣両方に起こる病気。はっきりした原因は明らかになっていないが、背後には脳下垂体から分泌されるホルモンと、女性ホルモンのバランスの異常があるといわれている。女性の約5~10%に見られる。
・症状
生理不順になるか、生理が止まる。男性ホルモンの値が高くなって体毛が濃くなったり、ニキビができるなどの症状が出ることも。排卵しにくくなるので、不妊につながる。
・治療
生理不順の程度により、治療が必要なことも。妊娠を希望する場合は排卵誘発剤を使ったり、腹腔鏡手術によって、排卵しやすくすることもある。
たったの数分で終了! 婦人科検診
子宮入り口の細胞を採取して調べる子宮頸がん検診や、エコーで子宮や卵巣の様子をチェックできるのが婦人科検診。すぐ終わるので、気軽に受けるべし。
Check! 準備しよう。
・お金
自治体によっては検診にかかる費用の補助があるので、事前にチェックを。薬代がかかることもあるので、念のため1万円ほど用意。
・生理用ナプキン
検査を受けたり薬を入れたりすると、軽く出血することがある。検診のあと念のためにつけておくと、下着を汚す心配がない。
・服装
裾がゆったり広がるスカートやワンピースなら、着用したまま検査を受けられて楽。ストッキングより靴下のほうが脱ぎ着しやすい。
・保険証
自治体の補助なしで検診を受ける場合でも、どこかに異常があれば、検診費用に保険が適用される。念のため携帯しておこう。
セットで受けても! HPVワクチン
HPVワクチンを接種すると、子宮頸がんのリスクを高めるとされるヒトパピローマウイルス15種類のうち、2~9種類の感染を防ぐことができる。下記の条件に合うなら、2・4・9種類の感染を防ぐ3種ワクチンいずれかを、2025年3月末まで“キャッチアップ接種”として公費で受けることが可能。当てはまる人は、今すぐ婦人科に相談しよう。
[2024年度中なら無料で受けられる人]
・1997年4月2日~2009年4月1日生まれの女性
・HPVワクチンを3回接種し終えていない
産婦人科専門医 稲葉可奈子先生 Inaba Clinic院長。気軽に受診できる婦人科を作りたい、と渋谷駅直結、東急プラザ渋谷内という立地に開院。著書に『シン・働き方~女性活躍の処方箋~』(きずな出版)があるほか、『女性の体のきほん』(ナツメ社)の監修を担当。
※『anan』2024年10月16日号より。イラスト・黒猫まな子 取材、文・風間裕美子
(by anan編集部)
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