流行についていくこと、心から楽しんでいる?流行依存の心理<後編>
ANGIE / 2016年9月9日 19時0分
「みんな一緒でみんないい」という日本人独特の意識。「流行ものを選んでおけば間違いない」と流行にすがってしまうメンタリティを、前回は解説しました。
今回の、「流行についていくこと、心から楽しんでいる? 流行依存の心理<後編>」では、流行依存に陥ってしまう背景をさらに探っていきましょう!
単なるオシャレ好きから流行依存に変わる瞬間とは!?
「コレ、今、流行ってるよね。かわいいよね! 私も欲しい〜!」とウキウキしながらショッピングをする健全な“流行とのおつきあい”から、「流行についていかなきゃ!」「他の人から遅れてる! ヘンって思われたくない」というような“ちょい病み”状態は、地続きで繋がっています。
それは白が次第にグレーになり、最後は黒になっていくような変化です。ただし、誰もが完璧な白であるのは難しく、大抵の場合は少しのグレーを抱えながらも、本格的な“つらい”“苦しい”状態までにいかないように生きています。それがあるとき、気づいたら“ちょい病み”状態になってしまうには、いくつかの原因があります。
まずは時代的背景です。今は流行の変化がとても早い時代! 流行っていたと思ったのに、いつの間にかもう消えちゃったなどというのは日常茶飯事です。一時はあんなに流行っていたココナッツオイルとかも、消えてきていますよね。
現れては消えていく流行のなかで、「取り残されたくない」という焦った感覚を持っている方は、カウンセリングをしているなかで多いです。
また、流行が早く情報過多の社会のなかで、さらにSNSの時代というのが後押ししています。Instagram、Facebook、ツイッター、ブログ……こういうものを簡単に見られるようになったため、誰が何をしているか瞬時に分かってしまいます。
「友達の○○ちゃんは、流行のあのお店にいったんだ。私はまだいっていない。いかなきゃ!」「ブログで注目している〇〇さんは、今、すごく流行っているブランドの☆☆を持ってる。私も××をやめて☆☆を持たないと! このままじゃダサいって思われちゃう!」というように、少しでもついていかなきゃという気持ちに駆り立てられ、流行についていっていないと不安だという状況に立たされているのです。
有名な人に流行らせたいグッズを持たせて流行らせるという商法(ステマ)も巧妙にされているため、よっぽど心を強く持っていないとメディアや情報に踊らされてしまうのも無理はありません。
そして、実は10代〜20代前半の若い世代よりも、ANGIE世代の方が流行依存症は多い傾向にあります。若い世代は保守的で「身の丈」を大切にし、あまり無理をすることがありません。ですが、ANGIE世代は頑張り屋さんで上昇志向も強いため、流行依存になりやすいのです!
失敗も大切な経験。恐れすぎないで!
周囲の人から「いいなあ」「羨ましいなあ」と思われるような位置を目指してきた頑張り屋さんは、自分がやりたいことよりも他人にどう思われるか、他人からどう見られるかを優先してしまい、自分というものがブレブレになってしまいます。
流行依存ということでいえば、毎回流行に乗っている人は、「いいなあ」「ステキだなあ」と思われたいがあまり、常に他人の目から見た自分を上書きし続けている状態。そのため、本当の自分というものがずっと奥底の方にいってしまい見失っているといえるでしょう。
流行に乗っていることで表面的な安心感はあるのですが、心の奥底の安定が得られず、何をしていても漠然とした不安を抱いているのではないでしょうか。現代社会では、生きたコミュニケーションを取る機会が、とても減ってきています。電話をせず、やりとりはLINEが中心という若い世代は、コミュニケーション能力が下がっているといわれています。
以前聞いた話では、上司に辞表を出すことができず会社をやめるときにもLINEで伝えたというクライアントさんもいました。なぜ、これだけコミュ力が低下してきたかというと、これまで自分を表現してきていないからなのです。
自分を表現したときに、「ヘンなの!」とか「おかしいよ」などと否定されたり、失敗したりするのが恐くて、本当の自分を常に押さえつけ、他人の目を優先させてきたのです。今は、一昔前よりもみんな平等意識が高いため、ちょっと目立ったり飛び出たりして、指摘されるのを避ける傾向もありますね。だからセンスにも自信を持てないのです。
失敗することで成長することを、今の世の中の多くの女性は恐れていると思います。ですが、失敗することで人の気持ちが分かるようになったり、自分の幅が広がったり、共感を持たれやすくなったりと得られるものは非常に大きいです。また、失敗を乗り越えることで自信もつくため、ブレない自分づくりにも繋がります。
それに、思い切って自分を出したからといって、必ずしも失敗するわけではありません! 「あれ? どうしたの、ピンク色着るなんて珍しいじゃん。似合うよ」と、よい評価を得る可能性だってありますよね。
「あれ? 私、自分の判断でものを選んでいるかな? 流行に頼りすぎているんじゃないかな?」と思った方は、失敗を恐れず自分の価値観で選ぶ機会を増やしてみましょう。
価値観のものさしが内にあり、自分らしさを保てる人は、それがビジネスシーンでも発揮され人望を集めることにつながりますよ。
次回は、自分は流行依存かどうかを見分けるチェックシートもご紹介していきますね。お楽しみに!
【山名裕子】
メンタルオフィス「やまなmental care office」代表臨床心理士。
大学にて心理療法の心得と技術を学び、2013年に臨床心理士の資格を取得する。主に認知行動療法によってカウンセリングをすすめ、心の専門家としてメディア出演をはじめ幅広く活動中。
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