【芸術の秋】恋愛力が高まる文豪のラブレターとは【10月3日~7日】
ANGIE / 2016年10月3日 17時0分
10月3日~7日頃は第四十八候「水始めて涸る(みずはじめてかる)」。諸説あるようですが、一般的には水の張った田んぼから水がなくなる時季……つまり、春に水を張った田んぼから水をぬいて稲刈りが始まる時季とされています。
新米ならではのふっくらとした白いご飯は、心をしあわせで満たしてくれるごちそうですね。私はこの時季になると、京都のお寺さんでつくられた正法院のちりめん山椒、同じく京都のいづみ屋さんから実山椒を取り寄せて新米と一緒にいただくのが、ささやかな楽しみとなっています。
またこの時季は、そんな食欲の秋だけでなく、もう一つの楽しみとして「芸術の秋」もありますね。今回は文豪・夏目漱石のラブレターをご紹介しましょう。芸術の秋、豊かな感性を持った文豪のラブレターで心を磨き、恋愛力を高めてみてはいかがですか?
七十二候とは?
時間に追われて生きることに疲れたら、ひと休みしませんか? 流れゆく季節の「気配」や「きざし」を感じて、自然とつながりましょう。自然はすべての人に贈られた「宝物」。季節を感じる暮らしは、あなたの心を癒し、元気にしてくれるでしょう。
季節は「春夏秋冬」の4つだけではありません。日本には旧暦で72もの豊かな季節があります。およそ15日ごとに「立夏(りっか)」「小満(しょうまん)」と、季節の名前がつけられた「二十四節気」。それをさらに5日ごとに区切ったのが「七十二候」です。
「蛙始めて鳴く(かえるはじめてなく)」「蚯蚓出ずる(みみずいずる)」……七十二候の呼び名は、まるでひと言で書かれた日記のよう。そこに込められた思いに耳を澄ませてみると、聴こえてくるさまざまな声がありますよ。
強がりも男の愛の言葉
仲秋の名月に掲載になった記事の中で、夏目漱石が英語の先生をしていた頃の”Ilove you”についてのエピソードをご紹介しました。結婚して5年後、夏目漱石はロンドンに留学。その当時、日本に残してきた鏡子夫人に書いたラブレターをご紹介しましょう(現代語になおしています)。
「国を出てから半年ばかりになる。少々厭気がさしてかえりたくなった。おまえの手紙は2通きたばかりだ。その後の消息はわからない。多分無事だろうと思っている。おまえでも子どもでも死んだら電報くらいはくるだろうと思っている。それだから便りのないのはさほど心配にならない。しかし、はなはだ淋しい」
「Ilove you」を、「月がきれいですね、とでも訳しておけば日本人には伝わる」といった夏目漱石らしい手紙ですね。当時、夏目漱石は34歳。鏡子夫人は23歳。孤独なロンドンでの生活の中で、漱石が妻に書いたラブレター。強がりの中にポロリと本音が。
無事だろうと思っている、電報くらいはくるだろうと思っている、と自分に言い聞かせながら、最後に「淋しい」とひと言。こんなラブレターをもらったら、胸がジーンとしませんか?
すべてを包みこむ女の愛
ラブレターが日本に届いた頃、妻もまた、次女が生まれ、夫に頼ることができない苦しい生活の中でがんばっていました。鏡子夫人が夏目漱石に宛てた手紙です。
「あなたがかえりたくなった、淋しい、女房が恋しいなぞとは今までにないめずらしいことと驚いています。しかし私も、あなたのことを恋しいと思いつづけていることは負けないつもりです。お別れした最初のうちは、目が覚めると寝られぬくらい考え出して困りました。どんなことがあってもあなたにお目にかからぬうちは死なないことと決めていますから、ご安心あそばせ」。
皆さんならどんな手紙を返すでしょう? 生まれたばかりの子どもを抱え、心細い思いをしながらも、そこをグッとこらえ、「どんなことがあってもあなたにお目にかからぬうちは死なないことと決めていますから、ご安心あそばせ」と言い切った鏡子夫人。
多くの人から愛されつづける国民的な大作家、夏目漱石を支えつづけた女性の愛は、とてつもなく大きくて深い。同じ女性として、その強さに胸をうたれました。
ラブレターを書こう!
熊本の借家でちいさな結婚式をあげた夏目漱石と鏡子夫人。仕立ての良いスーツを着て、すこし憂い顔の夏目漱石の写真を見て、穏かな男性というイメージを持っている方も多いと思いますが、実は神経症のせいか、かなり気性の激しい性格だったようです。
ロンドンから帰国後、漱石の神経症は悪化。ときに妻に手をあげることもあったようです。まわりの人たちに離婚をすすめられても、すべては病気のせいと、なにがあっても別れることなく生涯をともにしたふたり。「お目にかからないうちは死なない」と記した鏡子夫人は、漱石が49歳という若さで亡くなるまで愛しつづけました。
ラブレターという言葉自体、目にすることはすくなくなりましたが、大好きな人に書くラブレターには、うそ偽りのない自分があふれていますね。
芸術の秋、ラブレターを書いてみませんか? お相手がいないという皆さんも、まだ見ぬ恋人を思って。自信がないという方は、すばらしい感性を持った文豪たちのラブレターを読んで恋愛力を高めましょう。
【参考】『大切な人に使いたい美しい日本語』山下景子/大和書房
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