生きているうちに一度は見たい!京都の秋の絶景とは?【10月28日~11月1日】
ANGIE / 2016年10月27日 15時0分
10月28日~11月1日頃は第五十三候「霎時施る(こさめときどきふる)」。秋も終わりですよ、と告げるかのような冷たい雨。ぽつぽつと雨が降りだしたかと思えば、すぐに止んでしまう。「女心と秋の空」とはよくいったものです。
秋から冬へと移りゆくこの時季に降る雨は、なんともせつないですね。ひと雨ごとに寒さが増し、木々の葉が一層色づいていきます。せつなさや悲しみが人を成長させるように、冷たい空気が美しい紅葉を育むのですね。
今日は生きているうちに一度は見たい、夢のような秋の絶景をご紹介。ため息が出るほど美しい錦の世界は、秋の女神からの贈り物です。秋の終わりのせつなさは、美しいものを見て癒されましょう。
七十二候とは?
時間に追われて生きることに疲れたら、ひと休みしませんか? 流れゆく季節の「気配」や「きざし」を感じて、自然とつながりましょう。自然はすべての人に贈られた「宝物」。季節を感じる暮らしは、あなたの心を癒し、元気にしてくれるでしょう。
季節は「春夏秋冬」の4つだけではありません。日本には旧暦で72もの豊かな季節があります。およそ15日ごとに「立夏(りっか)」「小満(しょうまん)」と、季節の名前がつけられた「二十四節気」。それをさらに5日ごとに区切ったのが「七十二候」です。
「蛙始めて鳴く(かえるはじめてなく)」「蚯蚓出ずる(みみずいずる)」……七十二候の呼び名は、まるでひと言で書かれた日記のよう。そこに込められた思いに耳を澄ませてみると、聴こえてくるさまざまな声がありますよ。
秋をつかさどる女神・龍田姫
日本には、四季折々の女神がいることをご存知ですか? 春は佐保姫(さほひめ)、夏は筒姫(つつひめ)、秋は龍田姫(たつたひめ)、冬は宇津田姫(うつたひめ)。自然界の色彩は、女神が織り上げるといわれているんですよ。
春の女神「佐保姫」は霞の衣を織り、柳の糸を染めて、梅の花笠を編んで、桜の花を咲かせます。この時季、大忙しの龍田姫は、野山の木々を赤や黄色に染め上げ、錦の衣を織り上げるのです。
それでは、そんな女神が生み出した美しい芸術(絶景)が楽しめる、とっておきのスポットをご紹介しましょう。
春と秋だけ拝観できる京都の古刹
私が執筆いたしました日本の四季の言の葉に癒しのメッセージが添えられた「福を呼ぶ 四季みくじ」は、世界遺産に認定されている京都の東寺様とご縁をいただき、この世に生を授かりました。毎年この時季は、東寺のお堂に四季みくじの原画が展示されるため、私も京都へ。合わせて紅葉狩りを楽しんでいます。
「生きているうちに一度は見たい」といわれる秋の絶景、京都の八瀬(やせ)に佇む由緒ある寺「瑠璃光院(るりこういん)」はご存知ですか? 額田王を愛した大海人皇子(天武天皇)が、風呂で傷を癒したという伝説も残るやすらぎの地です。
瑠璃光院はいつでも拝観できるわけではありません。特別拝観できるのは、紅葉と新緑の時季だけ。紅葉は大人の女性を思わせるあでやかさ。
春から初夏にかけては心のよどみを祓いさるような、清々しい緑一色の世界に染まります。
今年の特別拝観は12月4日まで。あたり一面が錦に染まる幻想的な景色を目の前にした瞬間、言葉を失いました。白に閉ざされる冬を前に、木々たちが全身全霊で色づく晩秋。それはまさに命の輝き。見事な世界です。
あなたは春?それとも秋?
「瑠璃光院」の春と秋の2つの姿、あなたは、どちらがお好きですか? 昔から「春秋のさだめ」という言葉があるように、春と秋の美しい景色はよく競われてきました。
「万葉集」には「春山の万花(ばんか)の艶(にほひ)」と、「秋山の千葉(せんよう)の彩」を競わせた天智天皇に対し、額田王が返答したこんな歌が残っています。
「春は鳥もさえずり、花も咲くけれど、山が茂り、草深いのでとってみることができない。秋山の木の葉は、色づいたものをとって”きれいだわ”って賞賛できる。私は秋山が優れていると思うわ」
額田王は秋派でした。私も額田王と同じ秋派です。
桜の開花前線は南から北上していきますが、紅葉前線は北から南へ。東京もこれから紅葉が見頃を迎えますね。明治神宮外苑、新宿御苑、六義園、浜離宮恩賜庭園と、都内にも紅葉の名所が数多くあります。
さまざまな色の糸をつかって龍田姫が織り上げる錦秋(きんしゅう)の世界。圧倒的な自然の美しさを目の前にしたら、せつなさも、悲しみも、しばし忘れてしまうでしょう。
【参考】『日本の歳時記』小学館
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