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専門家に聞いた!コロナ禍で高まる「妊娠、出産、子育て不安」からの脱却方法

ANGIE / 2021年1月27日 11時0分


いまだ収束の兆しが見えない新型コロナウイルスの感染拡大。その最中での妊娠、出産、子育てに不安を感じている女性、パートナーは多いことでしょう。実際に、2020年は「産み控え」という言葉も出てきたほどです。


今回はこうした妊娠や出産に関する現状と、不安からの脱却方法について、東京保健医療大学教授で「産後ケア研究センター」の立ち上げに携わった米山万里枝先生にお話を伺いました。


人生を見つめ直す機会にも


Q:妊娠・出産は喜びと同時に不安がつきものですが、コロナ禍でより強くなってきているのでしょうか。

「そうですね。経済的な不安もありますし、子どもへの感染不安などもあって、妊娠中のことよりも、産んだ後のことに切実な不安を感じている印象です。


ただ、在宅勤務など時間ができたことで、『本当に自分は子どもが欲しいのだろうか?』など、自分の人生について立ち止まって考える機会となり、今後の妊娠や妊娠後、産後のことを考えて、選択している方もいるように思います」


Q:里帰り出産ができないというのも不安の原因に?

「里帰りができず、産後直後に頼る人がいないというのは不安要素でしょうね。


また本来であれば、妊娠中から母親学級や両親学級で妊娠期の変化や、産後の赤ちゃんのお世話、セルフケアなどについて知っていけるものですが、母親学級は大勢に向けて行う形式が主流になっていて、コロナ禍では中止になっているケースがあります。


ネットなどで情報は得られるものの、考えすぎて混乱してしまう危険性もあります」


 


自殺にもつながる産後うつが深刻な課題に


Q:妊産婦さんの自殺もあると聞きますが、経産婦さんにも産後うつが多いそうですね。

「妊娠・出産は体にとって大きな負担です。体がつらい状態なのに、子育ては待った無しですから、決めなければならないことが多い


産婦さんを対象に行っているオンラインセミナーがあるのですが、そこで見ていると、半数くらいの方に大丈夫かなと思う方がみられます。


セミナー中、赤ちゃんを抱いてずっと立っているんです。笑顔がみられない、そして、赤ちゃんも反応がない。こういう状態の方は誰かに相談する、助産師などに訪問相談などされるといいと思います。


初産婦さんは不安が強くフォローが必要と言われていますが、経産婦さんもフォローを必要とされる方は多いです。それは、一人目の時は無我夢中で乗り切れたものが、どうしても『前はこうだったのに』と思ってしまう。


また、周囲の人も『あなた経験あるから大丈夫よね』と手伝ってくれないんですよね」


 





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コロナ禍で増す事前対話の重要性


Q:産後うつにいち早く対処するにはどうすればよいでしょうか?

「うつは自覚できないものです。でも予兆はあるはずで、それを周囲が見守って見逃さないことが重要です。小さなことでも『いつもと違う』ことがあれば要注意です。そして、なにか不安や疑問に思った時に相談できるところを見つけておくことも必要です。


妊産婦さんに『相談できる人はいますか?』というアンケートを取ると、100%の人が『いる』と答えますが、『実際に悩みを打ち明けているか?』との問いでは15%ほど減ります。うつが疑われる人ではさらに5%も減るんです。


相談する人というと、身近にいるのはやはり夫などパートナーです。しかし、まだまだ子育てに対して同等意識がなく、『代わりにやってもいいよ』という代行意識が強い。『手伝う』という表現がでるのもその表れです。


 


ただ、女性の産後うつは10〜15%と言われていますが、男性の産後うつも同等数いるんです。働いて子育てもしてというのは男性にとっても大変であることは同じなので、過剰な期待は禁物です。


これは里帰り出産した先の、両親・家族にも言えることなのですが、過剰な期待でお互いの状態が悪くならないように、事前に話し合っておくことが大事だと思います」


不安解消の助けとなるのは専門家


「不安が募ったり、悩みすぎたりすることは必ずでてくるので、そんな時は専門家を頼って欲しいと思います。


例えば、離乳食が始まって、離乳食を〇〇が0.4不足していると数字化して管理することで大変だと思いつめている方がいます。真面目に取り組むからなのですが、離乳食が進んでいるのに、これまで同様に母乳もあげなければならないと悩み、不安に思っている方がいます。


電話相談や訪問時に、専門家から「もう、今までのように母乳をあげなくてもいいのよ」という一言で『それでいいんだ』と一気に悩みから抜けるといったことがあります。


本来なら子どもが就学するまでは、母親(および父親)の継続的なフォローが必要です。それを行うためにも、産後1ヶ月は病院で助産師がケアし、その後地域に役割をバトンタッチして行く“切れ目のないケア”が理想です。


 


品川区との連携で運営している産後研究センターのように、無料で電話相談できたり、ホテルでリラックスしながら助産師と数時間相談ができるプログラムがあったりと、さまざまなサービスを行っている自治体、団体があります。


これらを事前に(できれば出産前に)調べて知っておくだけでも、不安の軽減につながるのではないでしょうか」


 


迷わず相談を!


米山先生によると、特に近年は助産師だけでなく、産婦人科、小児科、精神科医なども産後うつへの対処に力を入れ始めているそう。


また、より高い専門性をもった助産師の育成も進んできているので、受け入れ態勢は強固になってきているのだとか。


米山先生の、「知る、頼るは躊躇なく行って欲しい。専門家も知ってもらう、頼ってもらうことは大切と思っています」というコメントが印象的でした。


出産を控えて不安に悩まされている方は一人で悩まず、ぜひ専門家を頼る方法を活用して欲しいと思います。


 


文)大倉奈津子



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