「恋は双子で割り切れない」神宮寺琉実役・後本萌葉インタビュー「琉実の抱える弱さも表現していきたい」
アニメ!アニメ! / 2024年9月30日 18時0分
読者に人気のアニメ作品から、期待の声優に作品や役柄について語ってもらう雑誌「メガミマガジン」のインタビュー企画「Megami’sVoice」。2024年10月号には、夏アニメ『恋は双子で割り切れない』より、神宮寺琉実役・後本萌葉が登場。 本稿では、本誌で紹介できなかった部分も含めたロングインタビューをお届けする。
琉実の抱える弱さも表現していきたい
――『恋は双子で割り切れない』という作品の印象は?
原作を読む前は、キャラクターのかわいらしさもあって、楽しい恋愛の話なのかなと思っていました。でも、読み進めていくとすごく重いお話でしたし、ひとりひとりの心情もていねいに描写されていて、リアリティがあり繊細な物語だなと感じました。一方で、恋物語としてキュンキュンするところもたくさんあって。とくに、琉実ちゃんと純くんがデートするシーンや、ケガをした琉実ちゃんを純くんが慰めてくれるシーンにときめいていました。
――琉実に対しては、どんな印象を抱いていましたか?
ショートカットでボーイッシュな外見でしたし、お姉ちゃんということもあり、強い女の子なのかなと思っていました。でも、原作を読んだりアフレコが進んだりするのに従い、作中で誰よりも乙女っぽい子なんじゃないかとも思うようになりました。また、本人はお姉ちゃんだからしっかりしなきゃ、強くいなきゃと思っているけれど、実際は弱い部分もある。アフレコでは、その弱さもちゃんと表現していきたいと思っていました。
――とてもピュアな女の子でもありますよね。
そうなんです。高校1年生ってこんなにかわいかったかな、と思うくらいに純粋なんですよね。部活の友達に、純くんと付き合っていた過去のことをいじられちゃうところもすごくかわいいんです。
――そんな琉実を演じるにあたり、どんな役作りを考えましたか?
琉実ちゃんは家族を大切にしているんです。自分よりも那織ちゃんを優先していて、でも自分の本当の気持ちも押し殺しきれない。その繊細な部分を拾い上げて表現したいと思いながら役作りをしました。物語の冒頭は、純くんに付き合ってと言ったり別れたいと言ったりと、何を考えているのかわからないところも多かったと思います。でも、視聴者の方に琉実ちゃんが悪い子だと思ってほしくなくて、原作の心情描写を参考にしつつ、共感してもらえるようなお芝居を心がけました。
――複雑な心情のキャラクターですが、演じる際に難しさは感じましたか?
やはり、彼女の苦悩をわかってもらえるようにお芝居をするのが難しかったです。第2話では音響監督さんから「琉実が何を考えているかわからないようにセリフを言ってほしい」とディレクションがあったんです。私は彼女が何を思っているか知っているので、それがわからないようにしつつ、でも見ている方に嫌な子だと思われないようにするのが大変でした。
――恋する相手である純や、恋のライバルとなる那織に対するときは、お芝居にも変化を出していますか?
私自身は、意識して変えようとは思っていませんでしたが、純くん役の坂田将吾さんや、那織ちゃん役の内田真礼さんが引っ張ってくださって。オンエアを見ると、純くんと話しているときは心を開いた相手と心地いい会話をしている雰囲気になっていますし、那織ちゃんと話しているときは、お姉ちゃんらしい感じがするんです。とくに、内田さんは手の掛かる妹っぽさを出してくださったので、自然とお姉ちゃんとしてちゃんとしなきゃ、と思いながらお芝居することができました。
――第5話で那織からの呼び方が「お姉ちゃん」から「琉実」になりました。
琉実ちゃんは那織ちゃんのお姉ちゃんでいたい気持ちが強いので、呼び方が変わっても立場は変わらないと思うんです。ただ、以前は那織ちゃんが琉実ちゃんを怒らせるようなことを言ったときはお説教をする感じだったのが、同じレベルに立って言い合うようになったので、ちょっと琉実ちゃんが幼くなったような印象ですね。
――第7話まで来ると、部活の仲間や同級生の雨宮慈衣菜とのやりとりなどで、等身大の雰囲気も出ていますね。
お話が進むにつれて、お姉ちゃんではなく“琉実ちゃん”でいられるようになったなと感じました。それもあって、私も自然体で琉実ちゃんを演じられたと思っています。第6話でバスケ部のみんなにいじられるシーンは、本当に普通の女の子と何も変わらないんですよね。慈衣菜ちゃんの登場も、モデルであまり学校にも来られない彼女に分け隔てなく接しているのがわかってすごくうれしいです。
――スタッフからのディレクションで、印象に残っているものは?
「純と琉実がカップルに戻る瞬間を作ってほしい」とお話がありました。第1話で別れてからは付き合ってはいませんが、「もっとイチャイチャしてほしい」ともお話があって。純くんといるときの琉実ちゃんは、素を見せているので、それを踏まえて純度の高いお芝居になるように心がけました。幸い、「イチャイチャしすぎです」とは言われませんでした(笑)。
――だんだんといい意味で普通の女の子らしさが見えてきた琉実ですが、共感できるところはありますか?
私は弟と妹がいるので、姉という立場に共感できます。妹と同じ人を好きになったら、譲っちゃうかもしれません。でも、それ以外は共感できる部分があまりないんです。私は純くんのようなタイプの子と一緒にいたらイライラしちゃうし、はっきり言ってほしいと問い詰めちゃいそうです(笑)。第3話で付き合っている間に「一度も好きって言われてない!」というセリフがありましたが、1年間で一度も「好き」って言わないのはダメですよね。私だったら、1年経つ前に確認しちゃうと思いますし、なんなら付き合うと決まったときに聞いちゃうと思います。
――では逆に、琉実に憧れるところはありますか?
妹のために自分を犠牲にできるところや、純くんに那織ちゃんと付き合ってと言えるところです。自分も純くんを好きなのに、そう言えるのは、覚悟があるからだと思うんです。もちろん、自分を犠牲にすることが素晴らしいというわけではないですが、これを大事にしたいと決めたら、ずっと大事にし続けられるところが琉実ちゃんの素敵なところだなと思います。
――純と那織への印象は?
純くんは、誰に対してもやさしいんですよね。でも、恋人からしたら、やさしさに優先順位を付けてほしくなりますよね。だからこそ、純くんの人への対応の仕方は危険だなと感じています。那織ちゃんは頭も良くて決断力もある強い子に見えますが、自分でも言っていたように臆病なところがあるんですよね。繊細な部分もあると思うし、琉実ちゃん目線だと放っておけません。
――ほかに気になっているキャラクターはいますか?
那織ちゃんのお友達の亀嵩璃々須ちゃんです。話し方や声の雰囲気がかわいくてツボなんです。面倒くさい性格の那織ちゃんと一緒にいられるところもいいですし、大野柚布子さんのお芝居もすごく素敵なんです。オタク的な用語が多く、オンエアで聞いていてもわからない言葉ばかりですが(笑)、話しているところがかわいくてもっと聞きたくなります。私が『ふたきれ』の世界にいたら、亀嵩さんとお友達になりたいです。赤いメガネも最高です!
――第7話まで進んだところで感じる作品の魅力は?
恋愛面以外ですと、琉実ちゃんの放課後の様子や部活シーンが描かれるようになって、青春のキラキラを感じられるところも素敵だなと思います。私も同じように放課後遊んだ経験があるので、そのころを懐かしく思い出せるところも好きです。
――アフレコの思い出は?
アフレコ現場が教室みたいで、休憩時間はまさに休み時間のようでした。両親役のキャストさんも私たちのことを見守ってくださっていたのがうれしかったです。あとはずっと食べ物の話をしていましたね。内田さんが家系ラーメンにハマっているらしく、ラーメンに詳しい坂田さんや、森脇豊茂くん役の福原かつみさんがおいしいお店を教えてくださり、そこから話題が広がって、次の週はどこそこのラーメンを食べてきたという話題で盛り上がっていました。それから、坂田さんが飼っているネコちゃんの写真を見せてくださったことから、ほかのキャストさんの“我が子自慢”がはじまるなど、すごく和気あいあいとした現場でした。また、私はコロナ禍にデビューをして、これまでほとんどのアフレコが分散収録だったんです。あと、『ふたきれ』の現場ではたくさんの方とご一緒できて楽しくアフレコができました。戸惑いがちな私を気遣ってくださったスタッフさん、キャストさんに感謝の気持ちでいっぱいです。
――今後の見どころを教えてください。
双子の誕生日や琉実ちゃんのバスケの試合など、イベントが盛りだくさんです。また、純くんが琉実ちゃんや那織ちゃんから好かれていることを忘れているような行動をしがちですし、第6話から登場した坂口瑞真くんも絡んで、ひと悶着あります。私は第5話で純くん、琉実ちゃん、那織ちゃんがきれいな三角関係になったと思っているのですが、それを揺るがすような出来事も起こるので、今後3人の関係がどうなっていくのかに注目してください。
MegamiにQuestion
Q.自分のチャームポイント
A.首のほくろ
ちょうど首の正面の真ん中あたりにほくろがあります。珍しいとよく言われるので、それがチャームポイントかなと思います。
Q.自分のニックネーム
A.のっち
もともとはのっちーと呼ばれていたのですが、最近はのっちと呼ばれることが増えました。学生時代のニックネームだと、「もえはむ」と呼んでくれる子がいて。そこからじょじょに「はむ」になっていったんです(笑)。高校時代の友達数人は、いまも「はむ」と呼びますね。
Q.自分の声の特徴
A.元気な声
自分では、まず元気さの感じられる声だなと思っています。周りの方からは「かわいい声だね」と言っていただくこともあるのですが、自分で言うとちょっと恥ずかしいですね。
Q.自分の性格
A.面倒くさがり
家に帰って一度座ると、絶対動きたくないんです。お風呂に入るのも面倒になるのですが、家族から「きったね」って言われちゃいますね(笑)。もちろん、そのあとちゃんと入っています!
Q.いま、ハマっているものは?
A.トマトジュース
お肌にいいと聞いてから飲むようになりました。リコピンが濃厚なものをペットボトルで買って、ずっと飲み続けています。
Q.もし双子の姉か妹がいたら?
A.そっくりなコーデで人を驚かせたい
メイクや服をまったく同じものにして、双子だと知らない人を驚かせてみたいです。
Q.タイトルにちなんで「割り切れない」ことは?
A.妹の友達に、年下扱いされたこと
妹の友達が先日20歳になってお祝いのメッセージを送ったんです。「大人の仲間入りだね」と言ったら、「私のほうが見た目は大人だけどね」と言われて(笑)。私のほうが年上なので、ちょっと納得がいっていないです。でも、私にとってもすごく仲のいい相手なんです。
Q.本作のキャッチフレーズ
A.曇り続きの恋模様
琉実ちゃんは純くんが好きだし、純くんを好きな那織ちゃんも、琉実ちゃんの気持ちや、純くんがいまでも琉実ちゃんを思っていることに気づいている。付き合っていないとは言いつつも、琉実ちゃんと純くんの関係も割り切れていないんです。きれいな三角関係になって晴れて再スタートかと思いきや、そうなっていないので曇り続きの3人かなと思っています。
Profile
のちもと・もえは/8月17日生まれ。東京都出身。Apollo Bay所属。
主なアニメの出演作は『プラチナエンド』生流怜愛役、『惑星のさみだれ』月代雪待など。
作品Information
各配信サイトにて配信中
https://futakire.com/
幼いころから家族同然に育った白崎純と神宮寺琉実・那織の姉妹。高校生になっても変わらず交流していたが、琉実と純が付き合い始めたことで関係に変化が生じる。さらに、純は1年後に突然琉実から交際終了を宣言され、那織と付き合うようにとも言われるが……。
(C)2023 髙村資本/KADOKAWA/ふたきれ製作委員会
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