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現実のような戦場をモビルスーツが蹂躙する…『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』は本格的リアルロボット戦争アクションだ!

アニメ!アニメ! / 2024年10月18日 17時0分

Netflixによる、ガンダムシリーズ初の世界配信向けのオリジナルアニメーション『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』がいよいよ、10月17日から配信開始。制作にはUnreal Engine 5を使用し、従来のガンダムシリーズとはビジュアルの方向性が異なる、リアルなルックの本作。

リアルロボットアニメの先駆けといえる初代『機動戦士ガンダム』のエッセンスを色濃く受け継ぎ、そのリアリズムの精神を画面だけでなく、物語や人物描写にも徹底した作品になっています。


『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』メインビジュアル(C)創通・サンライズ

リアルロボットを突き詰めた物語とビジュアル


『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』は、ガンダムシリーズ1作目の『機動戦士ガンダム』における一年戦争中のヨーロッパ戦線にフォーカスをあてた物語を展開します。東欧のジオン軍占領下の危機に際し、宇宙からモビルスーツ小隊が送り込まれます。その中に本作の主人公であるソラリ率いる4人編成のレッド・ウルフ隊の姿もありました。モビルスーツ小隊の活躍によって、基地は救われたものの、連邦の白いモビルスーツが突如急襲、基地は壊滅し、ソラリたちは敗走しながらの戦いを強いられるのです。
物語は、そんなソラリたちが命からがら基地から逃れた兵士たちと急造のチームを編成し、連邦の新型モビルスーツの脅威をかいくぐって、宇宙へ帰還するための道筋を描いています。


『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』場面写真(C)創通・サンライズ

本作は一般的な日本のアニメのルック、いわゆるセルルックではなく、リアル調のビジュアルを採用しています。荒牧伸志監督の『スターシップ・トゥルーパーズ インベイジョン』のような感じといえば伝わるでしょうか、人体の造形もリアルな人間を基調としており、背景も実写のような現実感のある空間が広がっています。
そのためか、生々しさがすごい
地球が舞台で戦車が戦場を走り、生身の兵士が白兵戦をしている描写が幾度も挟まれるため、これがSF作品であることを忘れそうになる瞬間もあります。


『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』場面写真(C)創通・サンライズ

そんな物々しい戦場にモビルスーツという超兵器が送り込まれ、ソラリたちが乗ったザクが連邦の戦車などを蹴散らしていく様子に、モビルスーツがいかに強い兵器なのかを実感させられます。
しかし、そんなザクたちを上回る性能を持った連邦の白い悪魔・ガンダムが戦場を蹂躙していくのです。
生身の人間が巨大モビルスーツの足元にいる中で戦闘が行われるので、「リアルな戦場にガンダムがいる」ということの強烈な実感が全編にみなぎっているのが本作の秀逸な点。夜の闇の中、目が怪しく光り、戦場の炎に照らされたガンダムのシルエットは美しくも恐ろしく、ガンダムに襲われるのはこんなにも怖いものなのかと実感しました。本当の意味での「リアルロボットもの」といえる内容です。


『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』場面写真(C)創通・サンライズ

本作の物語は、主人公たちの敗走を描くのでソラリ一行は常に呉越同舟のような状態。生き延びるために皆が知恵を振り絞り、少ないリソースで難を逃れていく様子がスリリングに描かれます。もちろんモビルスーツ同士の格闘戦もありますが、全編通して非常に泥臭い戦い方が多数描かれるのも本作の大きな特徴です。モビルスーツをリサイクル・センターの廃品から組み立ててガンダムと対抗したり、半壊状態でバック走行しかできないザクタンクで戦場を脱出したりと、その場にあるもので戦っていくのです。まさに地に足の着いた生身の人間の抵抗という感じが大変によく描けていて、戦場の怖さが存分に視聴者へ伝わってきます。


描かれるのは戦争の虚しさ


『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』場面写真(C)創通・サンライズ

主人公のソラリは、責任感溢れる隊長で、仲間の命を慮りながらも、冷静な判断力で窮地を脱していきます。壊滅した基地から逃れるため彼女と行動をともにするのは、部下のニーランド・ルショーン中尉、全身タトゥーで白兵戦に強いヘイリー・アーフン少尉、勢力の区別なく医療行為を行う組織「UMRC」に所属するオニー・カスガ、リサイクル・センターに所属するアルフィー・ザイドス技術大尉など。


ソラリは、軍人になる前はバイオリニストでした。家族の元に帰るために戦場を駆け、部下を殺されても「復讐は何も生まない」と心に言い聞かせながら、必死に仲間たちを守るために戦う人物です。対照的にヘイリー少尉はやや好戦的で現実的に物事を考えるタイプ、同僚を失うルショーンは復讐に駆られそうになりながらも、ソラリの指示を守り戦い続けます。リサイクル・センターのアルフィー技術大尉は気のいい中年男性でソラリとは旧知の仲。そんな寄せ集めの仲間たちと命を守り抜くために助け合いながら、それぞれの登場人物はなんのために戦うのかを自問自答していくのです。


『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』場面写真(C)創通・サンライズ

戦闘描写だけでなく、人間ドラマでもリアリティを重視し、戦場に生きざるを得ない人々の悲哀や苦悩が存分に描かれます。そんな物語を通して浮かび上がってくるのは、「戦争の愚かさ」。みんな、必死に生き延びたいだけなのに、互いにどうして殺し合っているのか、わからなくなってくるのです。
軍人だから上官の命令に従い、戦わねばならない。しかし、そもそもどうして戦争をしているのか、なんのために部下や同僚は犠牲になっているのか、敵にも家族や仲間がいて、みんな本当はただ穏やかに暮らしたい。そんな想いが去来しながら、戦いは続いていきます。


『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』場面写真(C)創通・サンライズ

本作が何より素晴らしいのは、そんな争うことの虚しさを説得力を持って描いている点です。人は戦うことを止められない悲しい生き物ですが、それでも人に対して希望を捨てない主人公ソラリのあり方が感動的です。


初代『機動戦士ガンダム』から続くガンダムシリーズのエッセンスをしっかりと受け継ぎながらも、よりリアリティーが増した作品になっています。ガンダムシリーズの新たな進化と発展はここから始まるのかもしれません。


Netflixシリーズ『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』
Netflixにて世界独占配信中


(C)創通・サンライズ

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