【連載:シネマ守銭奴】『ディクテーター 身元不明でニューヨーク』の見どころ(銭どころ

AOLニュース / 2012年9月10日 15時30分

【連載:シネマ守銭奴】『ディクテーター 身元不明でニューヨーク』の見どころ(銭どころ

映画には「ニューヨークへ行く系映画」というジャンルがあります。
有名なところではエディ・マーフィーの『星の王子ニューヨークへ行く』ですが、他にもターザンとかジェイソンとか、いろんな職種の人がニューヨークへ行っては珍騒動を起こしています。ちなみに日本からは「スシ王子」がニューヨークへ行きました。
で、今回取り上げる作品もそんなニューヨークへ行く系映画なわけですが、本作ではなんと、頭のいかれた独裁者(ディクテーター)がニューヨークへ行くというお話です。そして良い意味でも悪い意味でも、かなりヒドい内容です。

「不謹慎だ!金返せ!と言いつつ、そっと2,000円払うべし」
主人公の独裁者・アラジーン将軍を演じるのは、コメディアンのサシャ・バロン・コーエン。本作の製作・脚本も手がけています。憶えている方もいると思いますが、今年のアカデミー賞授賞式で、「親友を連れて来られたよ」と故金正日氏の顔写真のついた骨つぼを抱えて現れ、中の遺灰をレッドカーペットにぶちまけて警備員に速攻つまみ出されたあの男です(ぶちまけた遺灰はパンケーキの素だったとか)。映画のPRとは言えこんな過激なパフォーマンスをする男が作った作品なので、内容は推して知るべしです。
下ネタ、差別ネタ、宗教ネタ、核兵器ネタなどいわゆるタブーとされるネタが満載で、人によっては激怒しかねない内容です。しかし、今日日なにかと「不謹慎」自主規制してしまう窮屈な世相にあって、「不謹慎ですけど何か?」と物騒なネタを笑い飛ばしてくれるこの映画は清々しく痛快です。それに、ただ下品で不謹慎というわけではなく、ベースには独裁政治や民主主義に対する痛烈な風刺があり、たんなる悪ふざけではないある意味正当な政治風刺映画とも言えます。そして実はプラトニックな恋愛映画でもあったりもします。ともかく、人生を賭してコメディ映画を作り続けるサシャ・バロン・コーエンには、一映画ファンとして、そして一人の男として頭が下がります。

そんなわけで、「不謹慎だ!金返せ!」と罵りつつも、そっと2,000円払ってこの映画に敬意を表したいと思います。

DVDでもいいのでは?という意見もあるかと思いますが、サシャ・バロン・コーエンのチ○コとかは、やはり大きなスクリーンで観てこそのくだらなさだと思うので、ぜひ劇場でご堪能ください。





(C)2011 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

「ディクテーター 身元不明でニューヨーク」(原題: The Dictator)
ストーリー:国連サミットに出席するためNYを訪れた悪名高きワディア共和国のアラジーン将軍(サシャ・バロン・コーエン)は、何者かに拉致され、トレードマークの髭を剃られてしまう。スーパーの店員に成りすまし反撃の機会を狙っていたが、国連サミットに偽物が出席しワディア共和国の自由化を宣言。自らの立場を阻止するため立ち上がった将軍だが...
監督: ラリー・チャールズ
キャスト: サシャ・バロン・コーエン、アンナ・ファリス 他
上映時間: 83分
9月7日から全国順次公開
2012年/アメリカ

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死後
イラストレーター。1977年生まれ、愛知県出身、東京在住。蟹座。 「死後」という使いづらいペンネーム且つ節操のない画風で、雑誌、書籍、CD、web等、様々な媒体で活動中。
主な仕事・・・NHK「おやすみ日本」眠いい昔話コーナー/CD『ほーひ』mmm/書籍『コケはともだち』藤井久子著/雑誌anan、BRUTUS他  ホームページ

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