【コラム】謎めいたミュージシャンの素晴らしきハッピーエンドを描いたドキュメンタリー

AOL ミュージック / 2012年8月4日 16時0分

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ロドリゲス - 当時最高のシンガーソングライターと呼ばれ、チャートを賑わせることが約束され、そしてボブ・ディランやジェームズ・テイラーに愛されたこのミュージシャンは、忽然と姿を消した。

ドキュメンタリー映画「Searching For Sugar Man」ほど、このロドリゲスの魔法、そして彼の物語を上手に語っている存在は無い。この映画は既に世界中の映画祭で数多くの賞を受賞している。

映画は、南米出身の2人がこの南米で有名だったロドリゲスを探す旅から始まるが、殆どの人間が彼のことを知らない。そしてこのミステリーは社会史や、本人の威厳、創作性、認知度の物語へと変わっていく。

クインシー・ジョーンズは「私が今まで付き合ってきた最高のアーティスト10人を挙げるとしたら、ロドリゲスはトップ5に入るだろう」と語る。当時の人達に共感を生み出すような曲を生み出したデトロイト出身のロドリゲスの才能とオリジナリティーには疑う余地がなかった。



しかし、彼は世に出なかった。理由は不明だがロドリゲスは同世代のボブ・ディラン、ジェームズ・テイラー、ジョン・デンバーのような成功を収めることなく、ステージで自分に火をつけて自殺したなど、様々な噂や伝説の霧の中へと消えてしまった。

その頃、南米では革命の嵐が巻き起こっていた。反アパルトヘイト運動が活発になり、活動家たちにはそれを支える歌が必要だった。そして選ばれたのがロドリゲスであり、彼のアルバム「Cold Fact」と「Coming From Reality」は多くの人々が所有することになり、彼らの怒りに悲しさを伴う反抗心を与えたのだった。ロドリゲスは世代を代表する歌声となったのだが、本人はこの事実を知らなかった。

この後に何が起きたのかは、この素晴らしいドキュメンタリー映画を観て確認してもらいたい。力強いストーリーとミステリー、そしてそれらを凌駕する奇跡。監督を務めたマリク・ベンジェロウルは、「この映画は最高の贈り物だが、物語が素晴らしすぎるので、大きな責任感があった。正しい作品にしなければならなかった」とコメントしている。

現在ロドリゲスはどうしているのか? その質問に対してはネタバレをあまりしないようにしておきたいが、この物静かなアーティストは近日デイビッド・レターマンと一緒にテレビ出演を果たす。真実はそこで語られるだろう。ちなみに彼は今も元気に生きており、スーパースターとしての生活ではなく、シカゴで作業員としての厳しい生活を心から楽しんでいる。



ロドリゲスは先日イギリスで開催された映画祭に姿を見せ、私に「そういう比較はしないのさ」と語り、「人生は競争じゃない。世の中には全員に十分な数が揃っている」と続けた。

ツイッターやハイプに毒された私たちにとって、富や名声に騒がず、自分の運命を幸せだと感じている人がいるということはにわかに信じがたい。しかしロドリゲスは地に足がついている。そして彼の存在が知られた今、彼は永遠の存在になったのだ。

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