美術館の「枠組み」を超越!ポリープ石像やカラフル骸骨

AOL ミュージック / 2013年1月7日 17時5分

美術館という空間は、たとえ胸が震え、息を呑むようなアートと向き合うことができたとしても、同じ事を繰り返すように感じ、退屈だと感じてしまいがちだ。作品を見て、訪れている人たちの偉ぶった意見を耳にし、また次の作品へと進んでいく。しかし、サヤ・ウールフォークの「The Empathics」展は別だ。訪れた者はお互いに顔を見合わせながら、「これは現実か空想か?」と首をかしげ、子どもたちは「なんでこの像はパジャマを着ているの?」などと言いながらキャッキャと騒ぐことだろう。



「展覧会は、夢想的なアイディアであると同時に、カルチャーがいかに生まれていくかについて語ったもの」と本人が語るこのThe Empathicは、カルチャーにおけるアプロプリエーションを力強く表現したものだ。

個展は円形の部屋からスタートするが、この部屋に入ると、草間彌生が描いたようなキノコに覆われた、クラシックな大理石の石像が飾られている。伝統的な美術館への入り口となるべき場所は、個展のテーマの中心である、ギラギラと輝く夢想的な交配によって支配されており、オートクチュールと異常なポリープの間で、石像は来るべき「変異の交配」を暗示している。



この個展はまるで文化人類学の研究発表のように設置されているため、自然史博物館にある剥製のジオラマや、昔の人の衣装を想起させる。レインボーカラーに彩られ、マスクをかぶった不思議な骸骨の作品などあらゆる作品に、「科学」的なムードが備わっており、またオンライン上には詳細なガイドも用意されているため、「The Empathics」展には、まるでそれが「真実」であるかのようなクオリティが生み出されている。そしてそれらの作品は「植物と人間」の交配などではなく、実はパフォーマンスアートと彫刻から成り立っている、という事実が分かるだろう。

ウールフォークの世界は、美術館の"枠組み"を飛び出しており、隣接している展示物と共鳴するようなハイブリッド感覚を生み出しているため、美術館内に常設展示されているネイティブ・アメリカンの遺物などは、彼女の世界に紛れていてもおかしくないように感じられる。



「The Empathics」は、過去と現在と未来と空想全てが含まれるアートの歴史に捧げられた、万華鏡のような夢の世界だ。静寂と歴史が売りの美術館全体を、神話と真実の遊び場に変えている。こういった多様な形式のエキシビションを子どもたちと一緒に楽しんで、アートの世界を自由に飛び回って欲しい。

「The Empathics」は、1月6日までニュージャージー州のMontclair Art Museumで開催されていた。

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