「顔面凶器」Vシネ帝王が語る“破滅の美学”
アサ芸プラス / 2013年1月29日 10時0分
その姿を一目見ただけで慄いてしまう─。「顔面凶器」の異名を取る悪役俳優・小沢仁志(50)。30周年を迎えた役者生活は、まさに“アウトロー”そのものであった。
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悪役やアウトローは、今は民放ではあまり出てこなくなったな。おもちゃみたいなドラマはあるけど。俺が新人の時は、みんな“本物の匂い”があったよ。もともと役者なんて職業は、マトモでもバカでもなれない、“ギリギリなヤツ”がやるもんなんだしな。
だから俺も舐められちゃ終わりだと思って、新人の頃はよく監督とケンカしてたな。監督が、荒くれ者だらけの俳優とやり合うためにボクシングジムに通っていたくらいだし。撮影後に行くバーでは、毎日誰かがケンカ。原因なんかないよ。
「この中で誰がいちばん強いのか」ってだけ。ショバ代を取りに来たヤクザも追い返す勢いだったな。
そんなんだからか、昔から連続ドラマでの普通のサラリーマン役は合わないね。2話くらいで監督に「殺してくれ」と頼んじゃう。「この話に死ぬとか殺しはありません」と言われるけどな(笑)。それに引き換え、悪役やアウトロー役はいいよ。俺が画面に出てきたら、観客に「早くコイツを殺してくれ」と思われるのが大好き。
監督兼主演をやる時は、自分がやりたいことを徹底的にやる。だからスタントもつけない。例えば、乗っている車ごと30メートル下の崖にダイブして、俺が車から飛び降りたら車が爆発するシーン。崖下は砂だからマットはいらないだろうと言うと、スタッフは「こんな自殺ショー、やっていられない」と言って動かないんだよ。だから俺は、崖から飛び降りて無傷を証明したよ。実際は、砂が柔らかすぎて、着地する時にとっさに体をひねっていなかったら、両膝骨折していたところだった。「危なかったー」と思いながら、撮影スタート(笑)。
安全対策をしていたら時間がかかるし、むしろ事故が起こったりもする。そういうシーンは、勢いでやったほうがいい。意識を失うか、救急車で運ばれないかぎりは、俺にとっては成功なんだ。
海外ロケも刺激的で最高だよ。本物の銃が持てるフィリピンでロケをした時は、町なかでホールドアップなんて日常茶飯事。トイレに行けば「金を出せ」と頭に銃を突きつけられるし、同じ車種の車に間違えて乗ろうとした時は、いきなり中からアメリカ人が銃をブッ放してきたからね。俺の頭スレスレを弾が走ったよ。
映画の製作費3000万円を両替しに行った時は、両手に金の入った紙袋と、そのへんにいたヤツに借りた銃を腹に差して、スラム街を歩いたよ。日本の平和ボケがウソのような生命エネルギーが、あそこにはあふれているんだ。
俺はクレイジーだ、破滅型だと言われるけど、そういう“現実と虚構の境目”にいるのが、役者的だと思わないか?
そう思って映画で頑張ってきたけど、今の映画は息苦しいよ。事件が起これば、バットで殴るシーンはNO、銀行がスポンサーについていれば、銀行強盗はNO、製薬会社がついていればシャブ中はNO。そんな中で、いい俳優が育つのかは疑問だね。
だから俺はあと4年でセミリタイアして、考古学者になるつもりなんだ。世界を放浪して、各国の美女と関係を持つ、遺跡と美女巡り。どうよ?
俺はどうせろくな死に方をしないから、映画の世界にいて志半ばで死ぬよりは、最後は自分で見切りをつけて散りたいんだよ。
俺が演じてきたアウトローたちには、そういう魅力があった。切なくて哀しくて、花火のように一瞬にして散る。俺は死ぬまで、“破滅の美学”を持ち続けていたいと思っているよ。
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