田母神俊雄が教える「紛争が戦争に変わる瞬間」(3)日米同盟強化のアキレス腱

アサ芸プラス / 2013年2月27日 9時59分

 東アジアの脅威は中国だけではありません。北朝鮮では、新たな核ミサイルが開発され、3度目の核実験が行われました。

 ロシアは北方領土で演習を行うことが伝わっています。また先日、北方領土返還要求全国大会が開かれた2時間半後、ロシアに北海道の利尻島沖を1分以上にわたり、領空侵犯されました。

 韓国も相変わらず慰安婦問題を持ち出します。このような周辺諸国に囲まれた日本の安全保障体制は厳しくなるばかりなのです。

 こうした状況下で我が国が取るべき最善策は、日米関係の強化です。日米同盟は、民主党政権で微妙な立場でしたが、安倍政権の誕生をアメリカのオバマ大統領は歓迎しています。また、安倍総理が「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)を招集したのも、日米同盟の深化が念頭にあるのでしょう。

 しかし、一方でアメリカの動向に気をつけなければいけないのも事実です。なぜなら、日本に危機感が増すほど、日米同盟強化が取引材料となり、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に参加させる格好の口実となるからです。

 世界各国の首脳は、国際社会で揉め事や事案があった場合、それぞれの国の国益の増大に利用できないかと考えるわけです。当然、中国は「戦争をするぞ」と日本を脅し、尖閣諸島の領有に向けて情報戦争を強化するでしょう。対してアメリカは、日米同盟の強化を条件に「日本をTPPに参加させるための材料」として徹底的に使うでしょう。

 その先例として、注目すべきなのが、韓国の米韓FTA批准です。

 11年11月、韓国が米韓FTAを批准しましたが、その1年前に起こったのが、北朝鮮による韓国への砲弾発射事件です。数人が死傷したこの砲弾発射が行われた当時、韓国国内では米韓FTAについて反対意見が強かったのです。そんな折、北朝鮮からの砲撃を受けて一気に流れが変わり、アメリカに頼りたい韓国は、米韓FTAを結んでいます。

 その結果、韓国はどうなったでしょう。米韓FTAの実態などほとんど報道されない日本では「サムスン、現代、LGなどが世界の優良企業として成長した」と言われていますが、それは韓国国民にとって幸せなことなのでしょうか。米韓FTAにより、韓国の輸出産業はアメリカ流の株主資本主義に形態を変えています。韓国企業は、競争力を高めグローバル市場で利益を上げるため、国内の人件費をどんどん切り下げています。株主が儲かる一方で、国民は生活に困窮し始めています。

アサ芸プラス

トピックスRSS

ランキング