アベノミクス「解雇にあたってビタ一文払う必要はない」

アサ芸プラス / 2013年6月6日 9時58分

 安倍総理がもくろむ有期雇用制度の見直しは「非正社員」だけにとどまる話ではなかった。ここで再浮上してくるのが「事後的金銭解雇法案」。もともとこれは、解雇されたサラリーマンが裁判に訴えることを前提としている。しかし、これにはサラリーマンが自腹を切って裁判を起こさなければならないという壁が立ちはだかる。さらに問題なのは、元の会社を訴えたような人間を別の会社が、はたして雇ってくれるのかという点だ。

「結局、安倍総理も産業界も、実際に裁判に訴え出るサラリーマンは少ないと踏んでいる。しかも、ただでさえ不当なリストラが横行する中、事後的金銭解雇法案が成立すれば、会社側が『不服があるならどうぞ裁判で』と恫喝して、この法律を口実に解雇を乱発していくことは明らかです」(前出・政府関係者)

 その結果、これまで曲がりなりにも法律で守られてきた「正社員」が大量に解雇されていく。そして「非正社員」となった彼らに有期雇用制度の見直しが追い打ちをかけるという悪夢のようなシナリオなのだ。

 しかし、憤慨するのはまだ早い。虎視眈々の安倍総理周辺からは、

「有期雇用制度の見直しに続く第2幕として、これを正社員にも拡大適用しようとしている」

 という信じがたい声が聞こえてくるのだ。

 現行の労働契約法では、1回につき3年を超える非正社員の有期雇用は原則禁止されている。

 これは労働者が非正社員のままズルズルと使われ続けることを防止するための条項だが、逆に言えば3年以内の契約期間が終了すれば、会社側はいつでも労働者をお払い箱にできることを意味している。

 さらに、この条項が正社員にまで拡大適用されたらどうなってしまうのか。

「勤続年数が3年を超えれば、いつでもどこでも無条件でクビ切りできるということですよ」(官邸関係者)

 すなわち、日本の社会から正社員が消えてなくなることと同義。これこそが、先述の“本丸”たる「改定版・事後的金銭解雇法案」なのである。いや、正確にいうならば「金銭解雇」ですらない。官邸関係者が続ける。

「解雇にあたっては無条件という名のとおり、金などビタ一文払う必要はないからですよ。これこそ、産業界が求めたものです」

 ただし、いきなりやるとあまりにもインパクトが大きすぎることを考慮して、とりあえずは有期雇用の上限を3年から5年に延長するごまかしプランが実行されるという。

 最近は一部上場メーカーの大学院卒の社員といえども、30歳を過ぎるあたりから肩叩きが始まるといわれる。金のかかる正社員を5年で体よく使い捨てできれば御の字。もちろん、ゆくゆくはそれもまた3年に戻されていくのだが‥‥。

 

ジャーナリスト 森省歩

アサ芸プラス

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