池上彰「アベノミクス“成長戦略”の盲点」(2)日銀に積み上がる莫大な金

アサ芸プラス / 2013年8月27日 9時58分

──選挙では国民の支持を受けたアベノミクス3本の矢「財政出動」「金融緩和」、そして今度は「成長戦略」。その実現性はどのくらいですか?

 はい、そう来ましたね。その成長戦略の一つがiPS細胞で、再生医療はそれなりに経済効果があるだろうと言われています。ところがその他には大したものがないわけですよ。例えば規制緩和をするといって、最近、薬のネット販売が解禁になったでしょ。でも、これって今まで薬店で買っていたのをネットで買いますよということですから、需要がネットに移るだけで大した経済効果はないわけです。

──確かに、購入する人の数は同じなわけですからね。

 さらに言うと、自民党議員は選挙で衆参ともに増えましたが、実はさまざまな業界・団体からの支援を受けて今回の選挙に勝ったわけです。そうなると、それぞれの業界はウチの規制は守ってほしい、あるいは「TPPに反対する」と公約を掲げて当選した人だっている。つまり、自民の内部に規制緩和に反対する勢力が増えちゃったんです。

──改革を進めたい安倍総理にとっては頭が痛い。

 そう、自民党の議員が増えたから安倍総理はいろんなことができるんだけど、増えた中には規制緩和に反対するという勢力がもっと増えるというものすごい矛盾になっている。そういう意味で3本目の矢がなかなか難しいわけです。

 そこで、次に出てきているのは、企業に対する減税という案です。法人税を少しでも減らせば日本の企業は利益を得やすいし、海外に逃げていくのを抑えることができる。しかしながら一律に法人税を下げてもそれほど効果がない。企業がため込んでいる内部留保のお金で工場を建てたり、新しい事業のために社員を雇うという形で使った場合に減税するというものです。これは一定の効果が見込めそうです。

──企業がため込んでいるお金を吐き出せば少しは経済が回るわけですね。

 そう。今とにかく“大胆な金融緩和”をして日銀が市場にじゃぶじゃぶお金を提供しているでしょ。これはどういう仕組みかと言うと、各銀行は過去に政府が発行した国債を大量に持っているわけです。それを日銀が買い上げているわけですが、そのお金は各銀行が日銀に持っている当座預金口座に振り込まれるわけです。ですから、各銀行がそのお金を企業にどんどん貸し出せば、企業は新しい仕事を始めることができ、景気もよくなるはずなんです。しかし実際にはお金を借りたいという企業が出てこない。結果的に、日銀の当座預金にどんどんお金が積み上がっている。これを業界用語で“ブタ積み”というんです。

──ブタですか?

 ええ、オイチョカブのブタですよ。つまりムダに多くて、役に立たない積み上がり方をしているという意味です。なるほど金融業界の人もオイチョカブをするんだなぁなんていうのは、よけいな話でしたね。

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