掛布雅之 他ジャンルの選手と交流を持ち、新たな視点に気づけ

アサ芸プラス / 2014年2月6日 9時57分

 練習環境が充実しているのは決して悪いことではありません。やりたい練習がすぐに行える。むしろ、プロのアスリートとしてはこれ以上ない環境ではある。しかし、その一方で、設備が整っているばかりに、選手たちの考える力を奪ってしまっているのです。

 私たちの現役時代は十分な設備がなかったために、各選手が自分なりの練習法を考え出すしかありませんでした。砂入りのビール瓶での手首のトレーニングだって、練習設備が整っていないからこそ、自分なりに作り出したものなのです。

 現在の選手たちだって、トレーニング器具が昔よりもそろっているとはいえ、細かな部分でのトレーニングなどはまだまだ改良できる余地があるはず。阪神の選手たちも今の環境に満足するのではなく、自分自身に当てはまるオリジナルの練習を率先して編み出してほしいと願っています。

 オリジナルの不足をさらに言うならば、今の選手、特に若手が休まないのも原因の一つになっているかもしれません。

 もちろん、真面目に取り組むのはプロ野球選手として必要なことではあります。けれど、野球漬けの頭では思い浮かばない練習方法だって多くある。その意味でも、今のような自主トレの時期に本職である野球から離れて、他ジャンルのアスリートたちと接してみるのも新しいトレーニングを生み出すチャンスになるかもしれません。

 私も今だから言えますが、入団して3年目、4年目のオフシーズンは週に3回ほどマスコミに隠れてジムでウエートトレーニングを行っていました。全日本の大会で上位入賞していたウエートリフティングの選手と知り合って生まれた発想です。今でこそトレーナーをつけるのは珍しくはありませんが、当時、専門的な知識を持った方についてもらうのは、あまり行われていなかったと思います。体の小さかった自分には上半身の筋力トレーニングは最も必要としていましたし、ウエートの強化で打撃のパワーも身につきました。

 ふだん、野球脳になっている分だけ、他ジャンルのアスリートの練習法は新鮮でもありますし、自分の足りない部分を気づかせてくれるいい機会になります。特にペナントレースのないオフシーズンは、野球から離れられる唯一の時期でもあり、またとないチャンス。

 もし、オリジナルの練習に失敗して体のバランスを崩したとしても、その時は元の体に戻せばいいだけ。失敗してもいいから、選手たちには積極的に自分なりの方法を作り出してほしいです。

 他ジャンルの選手と接して自分を見つめ直し、柔軟な発想で新たな練習に打ち込めるような選手こそ、レギュラーにふさわしいとさえ言えると思うのです。

アサ芸プラス

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