テリー伊藤対談「鉄拳」(3)「振り子」は母を亡くした体験が元

アサ芸プラス / 2014年2月13日 9時58分

テリー すごいタイミングだったんだね。12年に、イギリスの大物バンド「MUSE〈ミューズ〉」のプロモーションビデオに採用されたよね。ネットを通じて、世界的に鉄拳のパラパラ漫画が認知されていったじゃないですか。

鉄拳 はい。

テリー そして13年は、国民的人気テレビ小説のオープニングになって、そして年末の紅白という大舞台の中でも出てきた。どのような気持ちですか。田舎へ帰ろうと、その日付も決まっていたのに、テレビの一企画で描いたパラパラ漫画がこんなに大きく広がって、日本を代表する文化人になって。

鉄拳 人生諦めないほうがいいなって思いますね。何がきっかけで仕事が増えるかわからないので。不思議ですね、ホントに不思議です。だって、もしパラパラの仕事が来ていなかったら、今頃はたぶん田舎で仕事をしてるので。

テリー そうだよね。

鉄拳 いろんな人の支えのおかげですね。

テリー MUSEの公式映像にもなった「振り子」は、何分の作品ですか。

鉄拳 最初は3分だったんですが、完成した作品は4分半ぐらいになります。

テリー 例えば3分作ると、制作日数はどれぐらいかかるんですか。

鉄拳 1200枚で、だいたい2カ月が普通ですね。

テリー 僕もあれは本当に感動して、4~5回見させてもらいました。作品の中にあるメッセージ性みたいなものは、もともと自分の中にあったんですか。「振り子」では、夫婦の出会いからずっと描写していますが。世界中が涙を流した作品ですよね。

鉄拳 表現は自然に浮かんできたので、きっと自分の中にあったんですね。

テリー というのは。

鉄拳 小さい時に母を病気で亡くしたんですけど、親父がずっと看病をしてたんです。そういうシーンを、僕もずっと病院について行って見ていたので、脳裏に焼き付いてたんでしょうね。親父が母親に対して頑張ってる姿とか。「振り子」を作る時に、親父の看病している映像がすぐに浮かんできて。それに近いものを描こうと思いました。

テリー 実体験から来ている作品だったんだね。それは表現にも力が宿るよね。「振り子」が世界中の人に届いて、今までとまったく違う分野の人たちが評価してくれますよね。周りの人たちが接する態度も変わってきたような気がしますが、どうですか。

鉄拳 お客さんが、今までは「おい、鉄拳」と呼び捨てだったのが、さん付けになりました(笑)。あとは、今まで会えなかった人に会えるようになりました。

テリー 例えば?

鉄拳 秋元康さんとか、尾崎豊さんをプロデュースした須藤晃さんとか。

テリー それでAKB48のプロモーションビデオも担当して。

鉄拳 3カ月で3本作って、トータル6000枚近く描いたんです。大変でした。

テリー 原画はどこにしまっているんですか。

鉄拳 自宅です。いちおうディスクには焼いてますけど、個展もやるので、原画もまだ必要ですね。今までのネタのスケッチブックが1000冊ぐらいあったんですけど、それを捨てて、パラパラの原稿を置いてます。

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