掛布雅之「後継者誕生こそが阪神を磐石にさせる」(2)

アサ芸プラス / 2014年4月16日 9時57分

 掛布氏は「若手の底上げ」のため、まず自宅地下に設けたトレーニングルームに伊藤隼太、森田一成を呼び、極秘特訓を始めた。これも初めて明らかにされるものだ。その様子はこうだ。

〈私はスポンジボールを真正面から投げて打たせるというティー打撃を、1人30分程度ずつ行った。これは現役時代に中西太打撃コーチに教えてもらった練習方法である〉

 掛布氏が説明する。

「柔らかいスポンジボールは、インパクトの瞬間にグシャッと潰れます。バットが入る角度によって、異なる潰れ方ではじき返されるため、スピンをかけるコツをつかみやすいのです」

 さらに一二三慎太、中谷将大、西田直斗、北條史也ら、素質ある若手それぞれにアドバイスを与えた。

〈阪神はチームとして大きな過渡期を迎えている。生え抜きという内から出てくる力を時間をかけて育成して、いつの日か、次世代のミスタータイガースがチームの中から生まれなければ、盤石の体制を作りつつあるライバル、巨人との差がもっと広がる。そうなれば再び暗黒時代に逆戻りである。能力を持った選手はチームにいるのだ〉

 掛布氏の野球理論の基礎となったのは、現役時代に山内一弘、中西太、安藤統男という3人の名コーチから受けた指導。例えば山内コーチには、

〈ある夜、一人でバットを振っていると(中略)私の前に並行に並べた2本のゴルフクラブで20センチほどの空間を作り、「クラブに触れないようにこの間を抜いてスイングしてみろ!」と言うのだ〉

 この奇妙な山内式指導法を、掛布氏はこう回想する。

「私の打撃理論の原則の一つに、体をレベルに使うというものがあります。私の考えでは、バットはダウン→レベル(水平)→アップと軌道を描くことになりますが、インパクトの瞬間にレベルスイングができていなければ、ゴルフクラブに当たってしまいます」

 中西コーチと取り組んだのは、前述したスポンジボールを使った打撃練習。

「ボールにスピンをかけ、角度をつけて飛ばす打法でした。数ミリ感覚でボールの下に角度をつけてバットを入れ、逆回転を与えて飛ばす技法を磨きました」

 藤村富美男、村山実、田淵幸一からバトンを受けた4代目ミスタータイガース・掛布雅之はこうして作られた。そしてこの体験が今、阪神DCとしての指導にも大きな影響を与えているのだった。

アサ芸プラス

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