テリー伊藤対談「三田紀房」(3)洋服屋時代の三重苦が原点

アサ芸プラス / 2014年9月26日 9時51分

テリー コミックスが累計600万部と大ヒットして、テレビドラマにもなった「ドラゴン桜」は、倒産しそうな落ちこぼればかりの学校から東大入学者を出すという、非常におもしろいストーリーですよね。このアイデアはどこから出てきたんですか。

三田 前段から話すと、ある企画が編集部の都合で、急にボツになったんです。それで急遽、別の連載作品を作らなきゃならないということになって「じゃあ何の作品なら企画が通るの?」と聞いたんですよ。すると、ゴルフか学園ものだと。ゴルフは1回描いたことがあって、すごく苦労して、イヤだったんですね。じゃあ学園ものにしようと(笑)。学園ものでは、「金八先生」という一つのフォーマットがあるんですよね。熱血先生が不良を更生させていくという。

テリー 学園ドラマはだいたいそれですね。

三田 それを漫画でやっても、あんまりヒットしそうにないなと。だったら、三流高校に主人公がバーンと出てきて、ここから東大生を出すという目標を決めて、そこに向かっていく。いわゆるスポコン的要素を入れたものをやればうまくいくんじゃないかと、僕のほうから提案して、それで始めたんです。

テリー すばらしいですね。僕も読ませてもらいましたけど、全部で21巻ですよね。

三田 ええ。

テリー 漫画とはどのように結末に持っていくものなんですか。何巻目ぐらいで終わるとか、最初に決めるものなんですか。

三田 スタートする時は、ここまでっていうのはあまり決めないんです。人気と作品の評価によっていろいろ変わるので。今はだいたい、25巻ぐらいがストーリーのワンセットなんですね。というのは、本屋さんの棚に並べる時に、25巻以上長くなると、本屋さんが置きたがらない。新規の読者の方は、1巻からそろっていないと、なかなか触手が動かないんです。

テリー 確かに。バシッと最初から最後まで読みたいもん。

三田 コミックの数が全部で25巻ぐらいだと、本屋さんは棚にビシッとそろえて置いてくれるんです。それ以上長くなると、どうしても途中の巻が抜けたりして、購買する動機につながらない。ですから、17、18巻ぐらいを過ぎた頃から、終わりを意識して、どれぐらいのところでピタッと納めるのか、という計算を始めるんですよ。

テリー プロですねえ。三田さんは、漫画家だけじゃなく、プロデューサーですね。こんなことを言う漫画家さんは、見たことがない。今までの漫画家の概念を変えましたね。すごい。

三田 どうなんですかね。他の漫画家さんのことは、意識していないですけど(笑)。やっぱり、家業を継いで苦労した経験が大きいんですね。売れない、金ない、メーカーに支払えないという、この三重苦をイヤというほど味わった。だから漫画を描いて、利益を上げて、出版社とともにお互いにウィンウィンの関係になりたいという気持ちが非常に強くある。連載を始める時は、どうやってこの作品を売るか、どうやったら売れるのか‥‥そこに最大の力を注ぐ感じです。

テリー ウォルト・ディズニーと近いですよね。

三田 出版社にとっても、売れないものを作っていても意味がないわけです。だからある程度、きちっと結果が出せる人にチャンスは回ってくるわけですから。だからそこは結果を出し続けないと、我々も居場所を確保できないという、本当にどこの世界でも一緒なんです。

テリー よくミュージシャンの方と話すんですが「今回いい音楽ができたんだよ」と言っても、売れないと、結局世の中に残らないですよね。加山雄三さんは「名曲というのは売れないとダメなんだよ。どんなにいい曲ができても、売れないと名曲って言われないんだよな」と。同じですよね。

三田 ええ、まったく一緒だと思いますね。我々もどうしても経済的な基盤の上に成り立っている商売なので。結果を残して、数字を追い求めていかないと、生き続けられないというか、サバイバルできない。そこはいちばん重要視しています。

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