「政界“怪”人プロファイリング」 -渡辺喜美-

アサ芸プラス / 2014年11月3日 9時56分

◆今週のキーマン:渡辺喜美〈わたなべ・よしみ〉(みんなの党前代表)●52年生まれ。第一次安倍内閣で規制改革担当相、金融担当相を歴任後、09年に離党し、みんなの党結党。今年3月、使途不明の多額借金問題が浮上した。

「名優は『出』が大事」を知らねば大根役者

 前回の当コラムに登場の小渕優子前経産相は「政治とカネ」疑惑が急展開、松島みどり前法相ともども辞任に追い込まれた。そんな中、よもやのトバッチリを受けた形なのが渡辺喜美氏。「8億円借金」「政治とカネ」疑惑を抱え、進むべき路線問題でも安倍政権との協調を譲らぬところから、党内で孤立しているからだ。

 5年前、「たった1人の戦い」で勇ましくも自民党を飛び出し、一時はみんなの党を36議席の勢力に育て上げた。しかし、渡辺氏の「独走」に嫌気が差して離党者続出、党も求心力を失い、20議席の小所帯に衰退してしまった。最近のNHK世論調査での政党支持率はなんと「ゼロ」を記録。時に軽妙な毒舌も買われて「政界新人類」ともてはやされたが、今や単なる「お騒がせ屋」と見る向きも少なくない。この不徳はどこにあるのか。比べてみたいのが、べらんめぇ口調、天才的な手八丁口八丁で総理の座一歩手前までいった「栃木のブルドーザー」。すなわち「ミッチー」の名で国民的人気も高く、副総理、蔵相などを歴任した喜美氏の父・渡辺美智雄氏である。

 筆者は45年近く永田町を取材しているが、ミッチーにも随分会った。彼が血気盛んな頃、自民党幹部と激論、頭にきてコーラの瓶を投げつけたこともあったが、「手が滑った」で不問に付された。あるいは、野党を「毛針にかかる魚は知能指数が低い」などと揶揄して怒らせた際も、結局は「ミッチーが言うなら仕方ない」でこれまた不問。いささか荒っぽかったが、愛される人柄であった。

 そのうえで、名優は「出〈で〉」が大事と知り尽くしていた。歌舞伎の揚幕が開くと颯爽、トントントンと六方を踏んだ団十郎がやがてグイと見得を切る。大向こうから「待ってました、成田屋ッ」の掛け声。要は念入りな計算のうえでコトがどう動きそうかの「潮目」をキッチリ読み切り、やおら表舞台に出るタイミングを熟知していた。福田赳夫内閣での厚相当時、モメにモメた医師優遇税制をめぐって日本医師会と渡り合った際にも、相手がウンザリし切ったところで勝負に出、見事に丸め込むことに成功。まさに「出」をわきまえた名優ぶりで、赫々たる戦果を上げたのだった。

 対して喜美氏。大根役者とは言わぬが、多々益々弁ずながら、「出」が的を外していることが多く、未熟さが漂う。親父が「不世出の怪人」なら、息子はまだまだ修業が足りない「小粒な怪人」と言わざるをえない。

 ここにきての一連の「政治とカネ」疑惑噴出で、国民の視線は厳しさを増している。筆者が見るところ、みんなの党の修復は不能、分裂不可避と言っていい。1月1日が政党交付金を得る起点となることから、喜美氏はなんとか年内に政党要件5人以上の側近議員を確保したうえで分党し、新党を立ち上げることが必要だろう。しかし、安倍政権が大揺れの今、与党志向の喜美氏はこの小政党をどこに持っていこうとしているのか。「出」が問われる。

 親父にとっては期待の星だった息子のこの体たらくぶりに、さすがの泉下のミッチーも「ナニやっているッ」と一喝しているのではないか。喜美氏、しっかりしろ。

◆政治評論家・小林吉弥

アサ芸プラス

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