芸能界ピンチヒッター裏・物語(2)

アサ芸プラス / 2012年3月28日 11時0分

 インタビュー ひし美ゆり子が語る「アンヌ隊員」の舞台裏「コスチュームが窮屈なのは代役だったから」

「ウルトラセブン」のアンヌ隊員が当たり役となったひし美ゆり子(64)。40年以上たった今でもその人気と輝きは衰えない。その“アンヌ”は、実は代役だったというのだ。

「それが、出演している時も気がつかなくて、代役であることを聞いたのは、番組が終わって20年ほどたってからなんです。出演中、スタッフや共演者の方々が、誰一人として『キミは代役なんだ』と言わなかったんです。皆さんの心遣いと言いますか、本当に優しい方々でしたね。
 実は、最近まで代役だったのか半信半疑だったのですが、あるファンの方が準備稿の台本を入手したんです。それを見せていただいたところ、台本のタイトルに『レッドマン』とあり、『アンヌ隊員 豊浦美子』と印刷されていました。それでようやく、代役であることがハッキリとわかったんです」
――ウルトラセブンは個性派俳優が多数出演していましたが、皆さん優しかったんですね。
「皆さんから『アンヌ』と呼ばれていたのですが、いつも食事や飲み会の話ばかりしていました。『アンヌ、おいしいものを食べに行こう!』とか。だから、芝居うんぬんでお声がけされたことはありませんでしたね」
――アンヌ隊員を演じるにあたり、心がけたことはありますか。
「実は前作の『ウルトラマン』を観ていませんでしたし、当時の私は女優意識が薄かったんです。セリフを覚えることで精いっぱいでしたので、スタッフやキャストの方々に迷惑をかけないことばかり考えていましたね。例えば、撮影時間には絶対に遅れないように、とか」
――では、撮影で苦労されたことはありますか。
「苦労というほどではないのですが、アンヌ隊員のコスチュームが少し窮屈だったんです。今思えば私が代役だったので、サイズが合わなかったんでしょうね。そこは自分なりにくふうして何とかこなしました。
 もっと大変だったのは、ロケ地が山の中、造成中の荒野だったりしたので、トイレのない場所が多かったことです。他のスタッフやキャストの皆さんは男性だったので、トイレがなくても平気だったんでしょうけど」
――我慢できない時は、どうしていたんですか?
「ある現場でのことなんですが、原っぱの片隅で済ませようと思ったんです。すると照明さんが気を遣ってくれて、レフ版4枚で私を囲ってくれたんです。にわか造りのトイレでしたが、そんなこともありましたね」
――女性ならではの苦労もあったのですね。
「いちばん困ったのは生理中でした。あの頃、自分が生理だなんて恥ずかしくて誰にも言えません。コスチュームが汚れたら、台本とかで隠すのに精いっぱい。撮影所の拠点に戻ってから、慌てて手洗いしたこともありました。衣装のスタッフも男性だったので、隠すのに苦労しましたね」
――では、ウルトラセブンへの出演は、その後の女優人生にどのような影響を与えたのでしょうか?
「女優時代は特に影響はありませんでした。フリーとなってからは、アンヌ隊員とかけ離れた役ばかりでしたし、東映、松竹、東宝、日活の作品でお色気を必要とされる作品が多かったんですよ。
 芸名も『菱見百合子』から現在の『ひし美ゆり子』に変えていたので、アンヌ隊員を演じた女優であることに、気づかなかった方も多かったみたいです」
――とはいえ、アンヌ隊員の人気は40年以上たった今でも衰えません。
「97年に刊行した私の著作が、1年で7度も増刷したんです。それでようやく、アンヌ隊員の人気を知ったんですよ。最近は40代から50代の友達が増えたのですが、放送当時はみんな少年でした。そんな方々からウルトラセブンの『ロケ地巡り』に誘われることもあるんです。アンヌ隊員を演じたおかげで、楽しい60代を過ごしています」

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