池上彰 そうだったのか!日本復興を阻む「敵」(2) 首長の力量で復興に大きな差

アサ芸プラス / 2012年5月8日 10時58分

――被災地はガレキの他にどんな問題を抱えているのでしょう?

 はい、もう1つ深刻な問題があるんですね。実は被災地は、地震と津波の前からほとんど町の機能が崩壊したようなところが多かったんですよ。過疎化が激しく進んで、岩手の海岸線を上がっていくと、これは地震と津波で崩壊したのか、そもそも人がいなくてこんなに寂れてしまったのか区別がつかないようなところがいっぱいあるんですよ。はっきり言ってしまえば、もう自治体としての機能が成り立っていなかったような状態のところに地震と津波が襲ってきたという現実があるんです。だから単に“復旧”というわけにはいかんのです。

――もともと過疎化の問題があったところに加えて、震災が決定的に追い打ちをかけてしまった。

 そうなんですね。そうするとね、単にそこにお金をつぎ込んで町並みが復興したところで、人がいないんですよ。戻ってくるも何ももともとほとんど住んでいないわけですからね。

――単にお金をかけるだけじゃダメなんですね。

 そうなんですよね。そうなってくると、それは各地方の自治体が個別に解決できる問題ではなくなってくるわけですよ。それはやはり県レベルで考えなければならないことなんですね。そこで県知事の能力が問われてくるということですよ。実際に被災地でも、目覚ましく復興を遂げているところもあれば、まったく手付かずのところもある。たいへん大きな差が出てきています。

――知事に任せっぱなしではダメなんですね。

 自治体によっては勝手にさっさとやっているところもあれば、国が方針を出してくれないから何もできないと手をこまねいているところもあるんですね。ほら、これまでの日本って、あくまで中央集権で上から言われたことをやる、あるいは上からお金が下りてきたからやるということになっていたでしょ。自治体のトップがそれに慣れていると、新しいことをやろうと思ってもできないんですよ。

――なるほど、自分たちで考えて実行していくことがやはり大事だと。

 昨年、松本復興相が“上から目線”で問題になりましたが、あの「知恵を出さないところには力を貸さないぞ」発言は、ある意味、真実を言い当てている部分があるんです。つまり、霞ヶ関で考えても現地のことはわからないわけですよ。中央官庁の机上だけで計画を立ててお金を下ろしても、結局うまくいかなくなったりする。現場だからこそわかる知恵を出せば、国だってお金を出しやすい、ということは言えますよね。もちろんあの言い方は論外ですけどね。

――ここぞという非常時に首長の力量が問われるわけですね。

 というふうに考えていくとですね、日頃から読者の方が住んでいる地方自治体の首長を惰性で選んでいると、平時は大丈夫であっても、非常時に大変な目にあうということなんですよ。

――現実問題として、自分たちにハネ返ってくるということか‥‥。

 そのとおりです。

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