池上彰 そうだったのか!日本復興を阻む「敵」(6) 国債暴落“魔”のシナリオ

アサ芸プラス / 2012年5月16日 10時58分

──日本の国債が暴落したら、どうなるんでしょう?

 まず、1つは、国債が売れないわけで金利がものすごく跳ね上がることになります。要するに、今、例えば5年モノとか10年モノとか発行済みの国債は普通に市場で売買されているわけです。それが需要と供給の関係で値段が下がるわけですね。でも、満期になって戻ってくる値段は変わらない。この差額の利息がこれまでよりも増えるわけですよ。ということで、金利がたいへん高くなるというわけです。

──金利が高くなれば庶民は助かるのでは?

 なるほど、確かに預金の金利は上がりますが、それで桶屋が儲かるとはいかないんですね。まず、その高くなった金利に合わせて国債を発行しなければいけない。今は、日本は1%足らずの金利で国債を発行できていますが、それが突然、10~15%になる。日本の全ての金利というのは、1年以上の国債の金利を基準に決められているんですね。そうすると住宅ローンから何から突然17~18%、20%になるわけです。銀行からお金を借りようとした時にです。もちろん預ける預金の金利も上がりますけど、庶民は一切お金が借りられなくなりますよ。

──それは困ります。

 それに加えて第2に、日本の信用が落ちるわけですから、極端な円安になります。輸出は増えますが、輸入品はものすごく高い値段になる。ガソリンがいったいいくらになるのか、プラスチック製品は全て石油製品ですから、とてつもなく値段が上がります。私たちの身の回りの生活必需品の値段がとてつもなく跳ね上がる超ハイパーインフレになってしまうんです。

──‥‥。

 加えて、S&Pとかムーディーズとか格付け会社が、日本がこの消費税増税法案が通らなければ、国債の格下げを検討しているとすでに発表しています。今格下げされないでいるのは「ちゃんと消費税を増税するんでしょ」ということ。だから格下げはこれ以上しないで待っていてあげますよという話なんですよ。

──当然、格付けは下がりますよね。

 そうすると、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)と言って、国債が紙くずになっちゃった時の保険というのがあるんですが、その保険が商品になっていて誰でも買えるんですよ。だから日本の国債が非常に信用が高い時にはCDSは低いんですよ、保険料だから。その低い時にCDSを買っておいて消費税法案が廃案になった瞬間、日本の国債に対する信用が失われますからCDSがポンと跳ね上がるんですよ。その時売れば大儲けできるんです。消費増税反対と言っている人たちがCDSを買っておくと大儲けできるんですけどね。

──消費増税廃案がお金儲けにつながるんですか。

 それを虎視眈々と狙っているハイエナがいっぱいいる可能性もありますね。

──野田総理の消費増税で国会は空転しています。

 だって、自民党の谷垣総裁だって消費税を10%にする必要があると言ってたでしょ。じゃ、やりゃいいじゃない、っていう話ですよ。

──それでも審議が進まないのはなぜでしょう?

 消費税を上げる点では意見は一致しているんですからね。小沢元代表を切ろうと、こういう話でしょ。そういう意味で、政治家が政争に明け暮れているというのは無責任ですよ。消費税を上げなきゃどうにもならないと思っても次の選挙で落ちるのが怖いから、「俺は反対したんだけど」と言い逃れしたいんですね。

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