伊藤咲子「ひまわり娘」ロンドン録音秘話

アサ芸プラス / 2012年10月26日 10時54分

 ♪涙なんか知らない いつでもほほえみを──。明るく澄んだファルセットが気持ちよく伸びる「ひまわり娘」は昭和歌謡を代表する名曲だ。伊藤咲子(54)に、デビュー曲となったこの歌との出会いを語った。

「しよ暗い時代だったから詞は明るくしようって」

「スター誕生!」で優勝した翌年(74年)の1月、ロンドンにレコーディングに行きました。すごく寒かったのを覚えています。

 曲はまず作曲者がデモテープに吹き込んでくれていたんですが、詞がつかないとイメージが湧かないんですね。そのあとで、阿久(悠)先生の詞をいただいて、

「へぇ~、ひまわり娘というタイトルなんだ、かわいい~!」という印象でした。あとで「どうしてこの曲なの? この詞なの?」ということを阿久先生にうかがったら、「オイルショックで暗い時代だったから、明るい詞を自分は書きたかった」と。「それで、そういう詞に合うコを探していたら、目の前に現れてきたのが伊藤咲子だった」とおっしゃったんです。

 まだ15歳の少女歌手のデビュー曲の録音にロンドンにまで「遠征」。しかも作曲はシュキ・レヴィというイスラエル人だった。そして編曲は、ザ・ビートルズのアレンジをしたケン・ギブソンという豪華さ。だが、ロンドンは停電が当たり前で、レコーディングではハプニングも‥‥。

 プロデューサーの方に言われたんです。「お前、学校に好きな子、いるだろう?」って。そして「その子のことを思い浮かべて歌ってごらん」とアドバイスをいただきました。♪誰のために咲いたの それはあなたのためよ‥‥「あ、そうか、そういうことか!」って、だんだん自分の中でイメージ作りができていったんですね。

 私自身はすごく楽しくレコーディングできました。午後3時になったらガチャ! と電源が切られたりするハードな現場でしたから、周りの大人の方たちはオロオロしていらっしゃったんですけど(笑)。 89年に実業家と結婚し、歌手活動を休止。04年になってようやく活動を再開すると、07年に離婚という波乱が待っていた。そして09年に化学系のエンジニアと再婚。満を持して、10年末に新曲「女の歌」(作詞・一青窈、作曲・合田道人)をリリースした。「女の歌」は25年ぶりの新曲です。一青窈さんは阿久悠さんの世界が大好きだということで、番組で「ひまわり娘」を一緒に歌ったこともあるんです。なので今回、彼女にお願いしてみたんです。

 すごい詞ですよね。「♪どしゃ降りの台所 何度も泣いた」って。私、最初の結婚生活は18年ほどだったんですけど、初めて詞を見た時、「私の結婚生活、窈ちゃん見てた?」と思って(笑)。「ひまわり娘」とは真逆の世界ですね。でも世の中の主婦の方にメッセージとして伝えられるんじゃないかと思います。

 ライブにご夫婦で来ている方は、私の歌を聴きながら、旦那さんの顔を見ますよ。「どうなのよ?」という感じ(笑)。熟年離婚という言葉がはやっていますけど、どうかそんなふうにならないで。この歌で、もう一度、出会った頃を思い出してくださいって、お話ししています。

 現在の彼女はライブ活動が中心だ。東日本大震災の被災地でのボランティアコンサートにも、積極的に参加している。

 福島県の須賀川市に行かせてもらいました。「咲子さん、ボランティアで来てもらえますか?」と声をかけていただいたので、「もちろんです!」と。昨年の8月でしたね。被災地の方が一緒に私の歌を口ずさんでくださって、逆に私が元気をいただき、申し訳ない気持ちでした。阿久先生は、日本が暗いから明るい「ひまわり娘」を作ったとおっしゃった。私の歌で1人でも「元気になりました」という方がいらっしゃるなら、私はどこでも行かせていただきたいと思います。

 須賀川市には「ふくしまシード」というボランティア団体があり、「ひまわり咲かそうプロジェクト」が進められている。

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