超おススメ「TIME LOCKER」に見る新時代スマホゲームのあり方
ASCII.jp / 2017年1月6日 17時15分
まずはさっそくプレイしてみてほしいところだが、このゲームのおすすめポイントをいくつか説明しておこう。
1. 絶妙なゲームバランス
どんなゲームでも、一番重要なのはゲームバランスだ。ゲームが終了したときに、自分の腕のせいでやられたのだと思えば納得がいく。「なんとかすればやられなかったかも」「次はもっとうまく行きそう」と思えば次をプレイする気になるものだ。TIME LOCKERは、その絶妙なバランスを実現している。
出現するアイテムを拾っていくと、どんどんパワーアップしていく。いままで倒せなかった敵も簡単に倒せるようになる。もうやられなくなるんじゃないかと思えるくらいに強くなることもある。でもいつかはやられてしまう。そのバランスが実に絶妙なのだ。
2. クールなグラフィックデザイン
スマホ向けゲームは、グラフィックに凝る傾向がある。しかし、TIME LOCKERはそこをすごくわりきっている。画面のスクリーンショットを見ていると、シンプルすぎるように見えるかもしれない。地面は、白地に十字が書いてあるだけ。登場するモデルはクマとか犬とかヘビとかのシンプルなモデルで、テクスチャーも貼ってない単色のモデルだ。しかし、これが動きも含めてすごくかっこいい。引き算によるデザインと言えばいいのだろうか。スマホの小さな画面に映えるデザインになっている。
3. 軽妙な効果音
なによりも音がきもちいい。普通のシューティングゲームではリアリティーを追究した爆発音だが、このゲームでは弾が敵にあたると音楽のようにきれいな音を立てる。まるで楽器を奏でているようだ。
4. リーズナブルな課金
スマホゲームでは、どうしても課金が問題になる。ゲーム中に登場するコインを課金で購入するという仕組みも多い。このゲームでは、360円で購入すると、3倍の価値がある赤いコインがたまに出現するようになる。たまに課金でキャラクターが購入できる。それ以上はない。つまり、そもそも際限なく課金するということができない仕組みになっている。通常は際限なく課金させるゲームが多い中、この課金方法はとても割り切っていて素晴しいと思う。
©2016 SotaroOtsuka
スマホ時代のゲームに求められるもの
さて、TIME LOCKERは超おすすめだが、ここからスマホ時代のゲームのあり方について考えてみたい。どんなゲームであっても、そのゲームが成立した基盤がある。たとえば、ファミコン用ゲームでは、ファミコンやアナログテレビといったハードウェアだ。画面に表示できるスプライト数の制限は、十字キーといった入力ハードウェア、さらにアナログテレビのにじみなどといったハードウェアの問題が、必然的にゲームデザインに影響を及ぼすことになる。
スマホ時代のゲームはなにに制約されるのか。もちろんグラフィック性能や計算速度は圧倒的に性能が上がっている。しかし、スマホの画面はえてして小さい。操作は画面をタッチすることが基本となり、十字キーのような操作は難しい。また、操作する指で画面が隠れてしまう。プレイ環境も違う。移動時間などの細切れの時間にプレイすることになるため、1回のプレイ時間は短くなる。
制約条件の違いは、ゲームの内容に大きく影響を与える。そのような制約をふまえて新しいゲームデザインが考え出され、スマホならではの画期的なゲームデザインが生み出される。こうした新時代のゲームデザインの嚆矢として、TIME LOCKERには価値があるように思う。
江渡浩一郎
メディアアーティスト。2011年からユーザー参加型のイノベーション創発のプラットフォームとして「ニコニコ学会β」を起ち上げ、現在は実行委員会委員長を務める。ニコニコ学会βは、グッドデザイン賞、アルス・エレクトロニカ賞を受賞。 http://qreators.jp/qreator/koichiroeto
協力:QREATOR AGENT
起業家、デザイナー、研究者など、職業・業界にかかわらず、クリエイターの才能を最大化することを目的に結成されたPR会社。江渡浩一郎(メディアアーティスト)、落合陽一(メディアアーティスト/筑波大助教)、きゅんくん(メカエンジニア)、坂巻匡彦(プロダクトデザイナー)など、約170名のクリエイターが所属している(2016年8月上旬時点)。
http://qreators.jp/qreator/ichiran
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