4K HDRを100インチ超で楽しめる10万円台プロジェクターを狙え
ASCII.jp / 2018年12月25日 11時0分
増加中の4Kコンテンツを大画面で どうせなら100インチオーバーだ!
新4K8K衛星放送もスタートし、4Kコンテンツが充実中の昨今、4Kテレビの導入を考えている人も少なくないだろう。4Kテレビもずいぶんと身近な価格になってきていて、40V型クラスならば10万円台のモデルも増えている。とはいえ、「せっかくの4Kコンテンツだから、もっと大きなサイズで楽しみたい」という人もいるだろう。その要望に応えるのが、プロジェクターだ。
プロジェクターは投射距離によって画面サイズを調整できる。一般的な家庭のリビングでも100インチを超えるような大画面も実現できてしまうのだ。その一方で、4Kプロジェクターは高価だと思っている人も多いだろう。しかし、今や4K HDR対応のプロジェクターは10万円台の価格で発売されているのだ。このコストパフォーマンスの高さは大きな魅力だ。
そんなお手頃価格の4KプロジェクターがViewSonicのPX727-4K(実売価格13万円前後)。DLP方式のプロジェクターでXPR技術を使うことで830万画素の4K表示が可能だ。
XPR技術とは画素ずらしのことで、PX727-4Kの場合は、0.47型DMDを表示素子に使い、実解像度は1920×1080なのだが、画素をずらして表示することで3840×2160の表示を可能にしているのだ。
PX727-4Kの概要を紹介していこう。明るさは2200ルーメンで家庭用として十分な高輝度だ。投射レンズは1.2倍のズームを備え、台形補正機能も装備する。画質面でもRGBカラーホイールの採用による色再現性の高さ、独自の「Deeper Black」「High Contrast Ratio」技術で黒の締まる高コントラスト映像を実現している。
背面の入力端子は、4K HDRに対応するHDMI 2.0端子(HDCP2.2対応)が1系統。このほかにHDMI 1.4端子も1系統備える。このほかミニD-sub15ピン端子や音声入力用のステレオミニ端子、AmazonのFire TV Stickのようなドングルタイプのプレーヤーに給電が可能なUSB Type-A端子も備えている。こうしたドングルやUHD BDプレーヤーを接続して、4Kコンテンツをそのまま4K解像度で楽しめるのだ。
なお、HDR方式はHDR10に対応しており、UHD BDやNetflixなどの動画配信サービスの4K HDRコンテンツの視聴が可能だ。
コントラスト感の高い映像で色乗りも良好
さっそく映像を見てみよう。筆者の視聴室は120インチのスクリーンが常設してあるので、それに合わせて映像を投射した。投射距離はおよそ4m弱といったところ。一般的な家庭を考えると、80インチ(投射距離約2.6~3.13m)、100インチ(投射距離約3.25~3.9m)くらいが使いやすいだろう。
投射された映像のフォーカスを合わせたら、形状歪みを補正する。メニューから調整用のテストパターンを表示して、台形補正機能で正しく図形が表示されればOKだ。最初のうちは手間取るかもしれないが、慣れてしまえばさほど時間もかからない。
メニューを見ていくと、画質調整をはじめとして設置時の調整機能などもひと通り揃っており、メニュー位置の設定や入力された信号の情報、ランプ使用時間なども確認できる。機能的には十分なものと言えるだろう。
画質調整でメリハリ効いた絵に早変わり!
さっそく4Kコンテンツを見てみたが、コントラスト感の高いくっきりとした映像だ。画面の明るさは全暗の環境ならば十分。薄型テレビのように明るい部屋でも楽しめるというわけではないが、部屋の照明を落として映画館のような環境にすれば不満はない。
映像は「Movie」モードで見てみたが、画質的にはモニター調の正確さを重視した映像で、元の映像をストレートに描写する傾向だ。これはこれできちんと映画を楽しめるが、薄型テレビのようなメリハリのくっきりした映像のほうが見映えがする。そこで、画質調整をいじってみた。
明るさを「45」、コントラストを「70」、色の濃さを「60」とすると、メリハリが効いて、色も豊かな映像になった。少々派手めだが、このくらいのほうが楽しい。画質調整をうまく使えば、モニター的な表現からテレビ的な見やすい表現までしっかりと対応できる。あとは好みに合わせて微調整すればいいだろう。
4K HDRの高輝度&高精細な映像で ケタ違いの迫力を楽しめた
UHD BD版の『ジュラシックワールド:炎の王国』を見たが、雨の降る邸宅の屋根に恐竜が降り立つ場面を見ると、屋根の濡れた感じがなかなかにリアルだ。黒の締まりも十分で、暗さがしっかりと出る。しかも部屋の窓の灯りは眩しいほどで、室内の人間たちが怯えている様子も再現。暗い屋外と明るい室内の両方を見通しよく描き分けており、HDRの高コントラストな表現もなかなかよく出来ている。
室内で恐竜が暴れ回る場面でも、暗い廊下と照明の眩しさがしっかりと描かれるし、黒光りする恐竜の肌の質感やギョロリとした目の輝きなどもきちんと再現でき、緊張感がよく伝わる。4K映像のディテール感は少しソフトな感触だが、解像感が足りないというよりは、スクリーン投影の映画らしい雰囲気が強まるイメージなので不満はない。
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4Kテレビのような絶対的な明るさは足りないので、部屋の照明を消すなど環境を整える必要はあるが、暗部の再現性や月明かりや照明などの眩しい光の感じはしっかりと出ていて、かなり見応えのある映像だ。しかもおよそ120インチの大画面なので、迫力や臨場感がケタ違い。大画面の迫力を考えると、50インチクラスの4Kテレビよりも見応えがあると感じるほどだ。
色再現にしても、明るく鮮やかな色だけでなく、薄暗い場面の恐竜の体色も暗いグリーンやブルーをきちんと再現しているし、肌の色も自然だ。
4Kコンテンツを大迫力で観られるのは プロジェクターユーザーの特権だ!
プロジェクターは、薄型テレビとは映像の見え方に違いがあるし、部屋を暗くする必要があるなど手間もかかる。しかし、映画館のような特大の画面で映像を楽しめるのは大きな魅力。しかも、40インチクラスの4Kテレビと同程度の価格で100インチを超える大画面が楽しめるとなれば、より魅力を感じる人も多いはず。
4K HDR対応で10万円台というDLPプロジェクターはほかにもあるが、製品によっては投射レンズの性能のせいか、映像が甘く感じたり、HDRらしい高輝度表現が物足りない製品もある。その意味ではViewSonicのPX727-4Kもちょっと心配していたのだが、実際に見て見ると、それらより1ランク上の実力と映像表現力を備えていることがわかった。これからますます充実してくる4Kコンテンツを大画面で楽しむならば、PX727-4Kのような4K HDRプロジェクターは有力な候補になるはずだ。
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