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【レビュー】第2世代「AirPods Pro」登場! 実力を全方位検証

ASCII.jp / 2022年9月23日 10時0分

第2世代のAirPods Pro。最新のApple H2チップを搭載しました。価格3万9800円

 アップルが第2世代の新しい「AirPods Pro」を発売します。スペシャルイベントで取材した詳細レポート「ほぼ4万円はアリ? 新しい「AirPods Pro」の“買う価値”を考察」に続いて、今回は実機をしっかりと使って確かめた音質やノイキャン機能の実力を報告します。

Apple H2チップの搭載で中味が大きく進化

 AirPods Proは、コンテンツのリスニングにとって不要な環境騒音を電気的な処理によって打ち消す、アクティブノイズキャンセリング機能を搭載するワイヤレスイヤホンです。さらに演算能力が上がったアップル独自設計の「Apple H2」チップを載せたことで、外観は初代機によく似ていますが、中味はより強力にチューンアップされています。

 3万9800円という価格は、同じアクティブノイズキャンセリング機能を搭載する左右独立型の完全ワイヤレスイヤホンの中でも、「高級機」に分類されると思います。今回筆者は実機で色んな機能を試してみて、新しいAirPods Proもコストに対する高いパフォーマンスを備えるワイヤレスイヤホンであることがよくわかりました。

左が第2世代、右が初代のAirPods Pro。外見はほぼ変わっていません

ノイズを強力にシャットアウト

 アップルが「前世代と比べて性能が最大2倍になった」と表現している、ノイズキャンセリング機能の仕上がりから確かめてみました。

 そもそもオーディオリスニングの体験向上を数値で表現することは困難ですが、実機で体験してみると第2世代のAirPod Proのノイズキャンセリング機能は明らかに強力になっていました。

 初代モデルも2019年秋に発売された頃は、周囲にまだノイズキャンセリング機能を搭載する完全ワイヤレスイヤホンが少なかったため、その消音効果は十分に満足できました。

 ところがその後、現在までにより強力に環境ノイズを消し、さらに耳へのプレッシャーを感じさせない自然なリスニング感を実現する完全ワイヤレスイヤホンが、他社からも数多く発売されました。特に飛行機や地下鉄など大きめの交通ノイズに長時間さらされる環境で比べてしまうと、初代AirPods Proのノイズキャンセリング機能よりも、しっかりとノイズが消せる製品がほかにもあることに気が付きます。

iPhoneのコントロールセンターから「ノイズコントロール」を選択して、アクティブノイズキャンセリングと外部音取り込みのモードを切り換えます

 新しい第2世代のAirPods Proはライバルのパフォーマンスに負けない、高い遮音性能を備えています。カフェの店内で使うと隣で話す人の声やBGMがグンと抑えられ、コンテンツの音声に深く入り込めます。

 地下鉄やバスに乗って試してみても、高域から低域まで継続的に響くノイズをピシャリと抑えてくれます。初代のAirPods Proを使い込んできたユーザーの方々も、すぐにその差に気が付くと思います。

XSから4種類のイヤーチップをパッケージに同梱しています

 AirPods Proが搭載するノイズキャンセリング機能の効果を最大化するため、パッケージに同梱されるイヤーチップは耳に合うサイズを正しく選択しましょう。

 静かな場所に移動して、AirPod Proの設定メニューから「イヤーチップ装着状態テスト」を走らせると、最適なサイズのイヤーチップを選んだ上で、AirPods Proが耳に正しく装着されているかすぐに確認できます。

「イヤーチップ装着状態テスト」から左右それぞれの耳に合ったイヤーチップを見つけることができます
新規に開発されたパワフルなドライバーとアンプを搭載。外部音取り込みモードに切り換えても、音楽や動画のダイアローグがはっきりと聴けます

音楽が聴きやすくなった「外部音取り込み」

 音質のインプレッションを報告する前に、外の環境音をクリアに取り込めるAirPods Proの「外部音取り込み」の進化について触れたいと思います。

 ノイキャンと外部音取り込みの切り替えは、リモコンが内蔵されているイヤホン本体のスティックを長押し、またはペアリングしたiPhoneのコントロールセンターなどから操作できます。

 第2世代のAirPods Proは外部音取り込みに切り換えた後もサウンドの輪郭が明瞭なまま保たれ、パワーが落ちません。音楽や動画のセリフがはっきりと力強く聞こえます。

 新規に開発されたドライバーとアンプの素性が、とても良いものであることがわかります。サウンドの輪郭がぼやけたりダブついたりしないので、外部音取り込みモードに切り換えることで注意を向けたい環境音が聞こえづらくなりません。

AirPods Proを装着、「適応型環境音除去」をオンにすると大音量環境で外部音取り込みをかけながらイヤホンを使っていても、10dB前後のノイズをブロックしてくれます

 「適応型環境音除去」も試しました。外部音取り込みモードをオンにしている最中に飛び込んでくる、大きな音のノイズを抑える新機能です。AirPods Proの設定に入り、「適応型環境音除去」の設定をオンにします。

 こちらの機能はイヤホンを普通に使っていても、その効果に気が付くことはないと思います。リスニング環境を変えても急に消音感が強くなったり、音楽のボリュームが上下するような変化もありません。

 筆者の場合、線路の脇を歩きながら試してみたところ、電車が真横を駆け抜けて85dBを越える大音量のノイズが飛び込んできた時に、AirPods Proがノイズ成分を10dBほど抑えて、85dB前後をキープしてくれました。突発的に発生した大きな音のノイズから、ユーザーの耳を護ることを目的として設計された機能なのだと思います。

Apple Musicで楽曲を再生。初代のAirPods Proと音質を聴き比べました

一段と伸びやかに、力強さを増したサウンド

 新しいAirPods ProのサウンドはiPhone 14 Pro Maxに接続して、Apple Musicの楽曲を聴きました。初代のAirPods Proも聴き比べのため用意しています。

 第2世代のAirPods Proは、初代モデルで好評のウェルバランスなサウンドを継承しています。ただ、全体にサウンドのエネルギー感が増して、立体的な描写力が向上したと感じます。ボーカルやピアノがぐんと前に出て鮮やかに躍動します。音の芯にしなやかさが加わり、メロディを一段と伸びやかに響かせます。

 ノイズキャンセリングの効果が高くなり、低音がとても聴きやすくなっています。アップテンポなロックやEDMを聴くと、ふくよかでスムーズな低音に包まれるような心地よさが満喫できました。大きな編成のジャズバンド、クラシックのオーケストラによる演奏は楽器の音の定位がとても力強く描かれ、横方向だけでなく、高さと奥行きにも限界を感じさせない音場の広がりを描きます。

 静かなボーカルソロから始まる楽曲を聴くと、AirPod Proがノイズをしっかりとシャットアウトしてくれるので、冒頭から楽曲の世界に深く入り込むことができます。筆者はギターが好きなので、静かなボサノヴァの楽曲を電車に乗りながら聴いても、ボーカルとガットギターの繊細なニュアンスをリッチに引き出すAirPods Proのリスニング感にとても満足しました。

サードパーティからもAirPods Proの特殊なノズル形状に合わせて装着できるイヤーチップが発売されています

ノイズの雑味がさらに少なくなり通話音声もクリア MacやiPadと一緒使いでビデオ会議用のヘッドセットに最適

 AirPods Proのシリコン製イヤーチップは、パッケージにXS/S/M/Lサイズの4種類が同梱されています。いずれかのサイズを選べば、最適なフィット感が得られると思います。初代モデルのイヤーチップを第2世代機にそのまま装着することもできたので、現在AirPods Pro用としてサードパーティーのメーカーが発売しているイヤーチップも、そのまま第2世代のモデルに付けられそうです。イヤーチップを交換して、音をカスタマイズしてみるのもよいでしょう。

 AirPods Proは、ハンズフリー通話にも活用できる通信デバイスでもあります。初代機からクリアで伸びやかな通話音声品質には定評がありました。

 iPhone 14 Pro Maxにつないで、新旧AirPods Proを装着した家族の話し声を比較試聴してみました。新しいAirPods Proはノイズの雑味がさらに少なくなり、音声が滑らかで聴きやすく感じられました。Mac、iPadとの相性もすごく良いので、ビデオ会議用のヘッドセットとして戦力になると思います。

空間オーディオ再生のパーソナライゼーションを行うと、対応するコンテンツでより切れ味鋭いサウンドが楽しめるようになります

iPhoneのTrueDepthカメラでユーザーの耳画像を撮影し 空間オーディオ再生を個人に最適化する

 Apple MusicやApple TV+で空間オーディオに対応する音楽や動画を再生して楽しむ際には、あらかじめiOS 16に新設された「パーソナライズされた空間オーディオ」を設定すると、サウンドがより力強く立体的に感じられるようになります。

 パーソナライズされた空間オーディオは、iPhoneのTrueDepthカメラを使ってユーザーの耳画像を撮影し、人によって異なる耳の形や周辺の骨格に合わせて立体音楽体験を最適化する機能です。

 AirPods Proの設定に入ってから、Face IDを登録するような手順で顔の輪郭、左右の耳画像を順に撮影します。セットアップは1分程度で完了するので、AirPods Proを初めてiPhoneにペアリングしたタイミングですぐに忘れず設定しておくと良いでしょう。

充電ケースに入ったままのAirPods Proが「探す」アプリから探索できるようになりました。ケースの小さなスピーカーから割と大きなブザー音が鳴らせます

ケースに入れたまま「探す」アプリで探索できる

 ほかにも、新しいAirPods Proの快適さが向上したことを実感できるポイントが、ふたつありました。

 第2世代のAirPods Proは、充電ケースが進化しました。特に小型のスピーカーが付いたことで、「探す」アプリからAirPods Proが探索しやすくなりました。

 以前はアプリを使って探索できるのは、ケースの外に出して紛失したイヤホンでした。でも多くの場合、イヤホンはケースに入れたまま見当たらなくなるものです。

 新しいAirPods Proは、ケースもサウンドを鳴らして探せるようになったので安心です。サウンドはiPhoneと初めてのペアリングが完了した時や、ケーブルを接続して充電を開始する時にも鳴ります。

AirPods Proの本体を指で支えつつ、スティック上に指をスライドさせて音量を変更します

 もうひとつは、本体のスティック部分を上下にスライドさせて、再生中コンテンツの音量が換えられるようになったことです。ポケットやバッグからiPhoneを取り出さなくても、スムーズに音量変更ができます。

従来は操作方法が感圧センサーだったが、第2世代のAirPods Proは「タッチコントロール」に進化しました

 イヤホン本体を人差し指と中指で支えて、薬指でスティックをスライドさせるとイヤホンが耳もとでぐらつくことなく操作が安定します。ボリュームを変えると、イヤホンから「ポン・ポン」という操作音が聞こえてきます。

ライフスタイルに革新をもたらす 「確かな進化の手応え」を感じた

 第2世代のAirPods Proは、初代モデルから順当な進化を遂げていました。劇的に新しい機能が載ったわけではありませんが、メリハリの効いたパワフルなサウンドを獲得したことや、あらゆる環境で求められる十分な遮音性能を発揮するノイズキャンセリング、まとまりの良くなった外部音取り込み機能など、第2世代を飛び越して「一気に第4世代ぐらいまで進化したような満足感」が得られました。

 かたや、約4万円という価格は周囲の完全ワイヤレスイヤホンに比べると、高価です。でも「ワンタッチペアリング」「Appleデバイス間の自動切り替え」や「空間オーディオとダイナミックヘッドトラッキング」に代表される、iPhoneを初めてとするアップルデバイスとの連係が本機ほど優れているワイヤレスイヤホンは、ほかにありません。良質なワイヤレスイヤホンは、ライフスタイルに革新をもたらしてくれるものです。まずは一度、新しくなったAirPods Proをストアなどで試してみることを、おすすめします。

 

筆者紹介――山本 敦  オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。

 

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