東工大など、量子アニーリングでの大規模シミュレーションに成功
ASCII.jp / 2022年9月22日 6時38分
東京工業大学などの共同研究チームは、2000量子ビット(キュービット)の量子アニーリングマシンを用いて物質中の欠陥の分布のシミュレーションを実行し、ノイズのない理想的な環境下での量子相転移の理論とほぼ完全に一致する結果を得ることに成功した。2000量子ビットを有する大規模な超伝導人工量子系が、ノイズの影響を受けずにほぼ完全に動作することを実証したのは世界初だという。
東京工業大学などの共同研究チームは、2000量子ビット(キュービット)の量子アニーリングマシンを用いて物質中の欠陥の分布のシミュレーションを実行し、ノイズのない理想的な環境下での量子相転移の理論とほぼ完全に一致する結果を得ることに成功した。2000量子ビットを有する大規模な超伝導人工量子系が、ノイズの影響を受けずにほぼ完全に動作することを実証したのは世界初だという。 研究チームは今回、従来の1000分の一にあたる1ナノ秒程度というごく短い時間スケールで、2000個の超伝導量子ビットを同期的に動作させるデバイス制御技術を開発。熱雑音の影響が量子ビットに現れる前に、短時間でシミュレーションを終わらせることにより、量子力学に基づく量子相転移の理論の正確な検証を可能にした。アナログデバイスである量子ビットの持つ誤差を精密に補正するキャリブレーション技術を開発してデータの信頼性を大きく向上させたことも、今回のシミュレーションの成功に寄与したとしている。 量子アニーリングマシンを用いた従来の量子シミュレーションでは、実行に1マイクロ秒以上の時間が必要だったため、その間に熱雑音が混入し、純粋な量子力学理論とは十分には一致しないデータしか得られていなかった。今回の技術を応用することにより、古典コンピューターでは検証困難な規模の動的量子現象を量子シミュレーションで解明することが可能になり、物質の量子力学的な性質の研究やそれに基づく開発が進展することが期待される。 研究は、東工大、Dウェーブ(D-Wave)、埼玉医科大学、南カリフォルニア大学との共同研究として実施され、ネイチャー・フィジックス(Nature Physics)のオンライン版に9月15日付けで掲載された。(中條)
【この記事をMITテクノロジーレビューで読む】
この記事に関連するニュース
-
東工大、CNTバンドル構造体のねじり変形で回位が生成されることを発見
マイナビニュース / 2024年6月24日 14時38分
-
東工大、磁束集中器を用いない高感度「ダイヤモンド量子センサ」を開発
マイナビニュース / 2024年6月7日 20時53分
-
東工大など、低次元超伝導体「グラフェン-カルシウム化合物」の新事実を発見
マイナビニュース / 2024年6月6日 14時6分
-
大規模量子コンピューターに向けた量子ビット制御超伝導回路の原理実証に成功
PR TIMES / 2024年6月3日 18時45分
-
物質中の創発磁気モノポールが示す新規な集団振動現象を発見
共同通信PRワイヤー / 2024年6月3日 14時0分
ランキング
-
1柴犬が必死でくわえようとするのはまさかの“一生無理”なヤツ 子どものような戦いに「激可愛すぎて永遠にリピート」
ねとらぼ / 2024年6月30日 7時0分
-
2様子見していたあのゲーム、今こそ買い時かも!特選Steamサマーセール「過去最安」編【Steamサマーセール2024年夏】
Game*Spark / 2024年6月30日 16時0分
-
3Windows 11、更新プログラム(KB5039302)により繰り返し再起動する問題発生
マイナビニュース / 2024年6月30日 17時16分
-
4なんだこれ……! “近未来すぎる砂時計”が話題に 「こういうのたまらん」
ねとらぼ / 2024年6月30日 12時0分
-
5「呪う気か」 ハードオフでジャンク品を発見→“まさかの販売風景”に恐怖 「買う猛者がいるのだろうか」
ねとらぼ / 2024年6月30日 9時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)