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【レビュー】第2世代AirPods Proは音質・使い勝手ともに「別物」に大幅進化(西田宗千佳)

ASCII.jp / 2022年9月22日 22時0分

第2世代AirPods Pro。価格は3万9800円

 「第2世代AirPods Pro」が明日、9月23日から発売になる。それに先駆けて、製品実機を使ったレビューをお届けする。

 結論から言えば、第1世代AirPods Proと第2世代AirPods Proは別物だ。外観はほぼ同じであり、使い方にも極端な変化はない。だが、ちょっとしたシーンでの使い勝手は大きく改善されており、音質にも進化が見られる。

 どういう点が進化したのか、見ていくことにしよう。

デザインはそっくりだが中身は別物に

 第2世代AirPods Proは、第1世代と「こんなに似せなくても」と思うくらいそっくりだ。充電ケースにストラップホールが付いていたり、イヤホン本体も接触センサーの位置が変わっていたりとちょっとずつ違うのだが、「イヤホンと充電ケースをバラバラにして第1世代と混ぜた」とか言われると、ちゃんと見分けて組み合わせるのにかなり時間がかかりそうだ。つけた感じも同じである。

左が第2世代、右が第1世代。よく見るとわずかに違うのだが、ぱっと見には同じデザインだ
同じく左が第2世代、右が第1世代
こちらも同じく左が第2世代、右が第1世代
第2世代(左)、第1世代(見日)をつけてみたが、こうしてみると差が全くわからない

 ただ実際には、第1世代と第2世代は設計が完全に一新されており、iPhoneなどからも区別されて見える。だから、第1世代の充電ケースに第2世代を入れて使う……といったことは、基本的にはできない。

第1世代のケースに第2世代を入れても警告が出て動作しない

 ただ、デザインがそのままなので、イヤーピースは同じだ。付け方も変わっていないので、第1世代向けに作られたものはそのまま第2世代でも使える。

イヤーピースのサイズなどは第1世代と同じで互換性があるが、「XS」が新たに付属する

 コントロール用プロセッサーが「H1」から「H2」に変わった、という点が目立つのだが、実際にはマイクやオーディオドライバーなどのアコースティック部分に各種センサーまで、「バッテリーを除いてほとんど全部」が入れ替わっているそうなので、混ぜて使えないのも当然ではある。

ノイズキャンセル精度・音質ともに明確に向上

 ではどう変わったのか? まず音質面だ。

 宣伝などではアクティブ・ノイズキャンセル(ANC)の改良が強調されているが、確かにANCの効きは良くなった。騒音がすべて消えるわけではないが、中低音域の騒音が減り、「かなり快適になった」と誰もが感じるだろう。「2倍の効き」かはわからないが「大幅な改善」であるのは間違いない。

 音質自身も良くなった。こちらは第1世代・第2世代ともに「派手さのない、聞き疲れしにくい音」という意味では同様のテイストで、一聴した感じだと、変化が小さいように思えるかもしれない。だがしっかり聞いてみると、音の細やかさ・精細感が、やはり中低域を中心に改善している。甲高いハイハットのキレも良くなったように思える。

 この辺を考えると、アップルの説明通り「中身を刷新してより良い音を目指した」というのは間違いないようだ。

「外音取り込み」+「適応型環境音除去」の効果は

 そして、さらに違うのが「外音取り込み」時の音だ。外音取り込みとは、音をマイクから取り込み、イヤホンをした状態でも周囲の音が聞こえるようにするもの。ほかのヘッドホン・イヤホンでも採用する機種が増えてきている。

 AirPods Proの——というか、アップルの「外音取り込み機能」の特徴は、音が単に聞こえるのではなく、非常に自然な形で聞こえる、という点にある。

 イヤホンをしていない時に聞こえる時の音がお手本だとすれば、第1世代の時からそれにかなり近い音になっていた。第2世代ではそれがさらに進化し、「もっと生の音に近い」と感じる。イヤホンをしていないようだ、というのは言い過ぎだが、本当にかなり近い。

さらに音楽を流しても、音楽側の音質にもほとんど影響していないように見えるのが素晴らしい。外音取り込み機能の価値を高めるのが「適応型環境音除去」だ。

 この機能は第2世代から搭載された機能で、外音の大きさを把握し、それが長時間聴き続けることで聴力に影響を与える値であった場合、外音をそれ以下に抑えるものだ。

 耳栓が「全ての音を小さくするもの」だとすれば、適応型環境音除去は「一定レベルを超えた音を小さくする」もの。どちらも耳を守るものであることは同じだが、方向性が異なると考えればいいだろう。

84dBのところで外音取り込み+適応型環境音除去を使うと78dBに

 この機能は具体的に言えば、80dBを超える大きな音量、特に85dBを超える場合に効果的に働く。実際、84dBの音が出ている工事現場の近くで試してみると、第2世代AirPods Proをつけて「外音取り込み」にした時には78dBに下がった。

40dBの静かな部屋ではほとんど変化しない

 一方、静かな40dBの仕事場の中では、外音取り込みにしても39dB。ほとんど誤差のレベルしか変わっていない。

 これは、大きな音の時だけ自然な形で安全な範囲に収める、という適応型環境音除去の考え方に基づくものだ。

ノイズキャンセルをオンにすると、静かな場所でも同じように騒音が消える

 同じように「ノイズキャンセルを効かせた場合」の値も計測可能なのだが、こちらでは、84dBが57dBに、40dBが20dBに減っている。

 なお、ここで使った「音量の減少」の計測は、WatchOS9の「ノイズ」を使うことで確認できる。Apple Watchと第2世代AirPods Proを組み合わせた時にのみ、「AirPodsによって軽減されるレベル」として表示される仕掛けだ。第1世代AirPods Proを含むほかのヘッドホン・イヤホンでは表示されないのでご注意を。

U1を使うことで、充電ケースがある場所までの位置を正確に検出できる

U1+スピーカー内蔵で家の中でもすぐに見つかる

 もう一つ便利な点は「なくしにくくなった」ことだ。小さいものなのでどこかで落とす可能性はある。その点は致し方ない。だが、ケースに入れたままどこかへ置き忘れるとか、自宅内で行方不明になる、というパターンもある。

 そうした時に備え、これまでは、忘れ物タグ「AirTag」をAirPods Proと一緒に持ち歩く、もしくはケースにつけておく人もいたようだ。

 だが、第2世代AirPods Proの充電ケースの中には、UWBで通信をする「U1」というチップが内蔵されている。これはAirTagにも内蔵されているもので、iPhoneと組み合わせることで、AirPods Proの充電ケースのある場所まで距離・方向が、数センチメートル単位で把握できるようになる。

 そのため、家の中で見つからないのであれば、かなり正確に場所を把握して見つけられる。充電ケースにはスピーカーが内蔵され、「音を出す」こともしやすくなったため、これも見つけるのにはプラスと言える。

 そうした部分での「使い勝手の向上」もまた、第2世代AirPodsの魅力である。

 

筆者紹介――西田 宗千佳

 1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。 得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、アエラ、週刊東洋経済、月刊宝島、PCfan、YOMIURI PC、AVWatch、マイコミジャーナルなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。近著に、「ソニーとアップル」(朝日新聞出版)、「ソニー復興の劇薬 SAPプロジェクトの苦闘」(KADOKAWA)などがある。

 

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