ガード下でも静かに「AirPods Pro(第2世代)」お高いのが難点だが秀逸(石川温)
ASCII.jp / 2022年9月22日 22時0分
9月23日に発売となるアップルのAirPods Pro(第2世代)を10日間ほど試用する機会を得た。
9月7日(日本時間)に開催されたアップルのスペシャルイベントを現地で取材し、タッチアンドトライで新製品を試した際、最も「早く使ってみたい」と感じていたのがAirPods Pro(第2世代)であった。
会場で装着した瞬間、アクティブノイズキャンセルの効き具合に驚いてしまったのだ。数百人のメディア関係者が取材しているなか、一瞬で静寂に包まれた感じがしたからだ。
実際にAirPods Pro(第2世代)を入手したものの、アクティブノイズキャンセルの効き具合をどのように記事に落とし込み、読者の皆さんに伝えればいいものか。いろいろ悩んだあげく、とりあえず街に出ることにした。
まず向かった先は近所のパチンコ屋だ。普段、パチンコはやらないので、入るだけで緊張してしまった。
パチンコ屋はとにかく台の効果音と玉の音で結構、うるさい。そこでAirPods Pro(第2世代)を装着し、アクティブノイズキャンセルをオンにしたところ、見事に静寂に包まれたのであった。
と、実体験を書いたものの、これではさっぱり読者のみなさんには伝わらないだろう。
そこで、ふと思い出したのがApple Watchだ。先週発売となったApple Watch Series 8を装着しているのだが、Apple Watchには以前から周辺の騒音を図る機能が備わっている。これでどれくらいの騒音が発生しているかを調べればいいのだった。
実際にパチンコ店で計測したところ、86デジベル前後の騒音であった。この状態でAirPods Pro(第2世代)を装着し、外部音の取り込みモードにしたところ、80デジベルに軽減された。
さらにAirPods Pro(第2世代)を指でつまみ、長押ししてアクティブノイズキャンセルをオンにしたところ、62デシベルまで下がったのだった。これだけ音量が下がれば、かなり快適だ。
パチンコをよくやる人は、AirPods Pro(第2世代)を購入して、アクティブノイズキャンセルをオンして耳をいたわって台に集中するべきだ。
騒音強度を最小限に抑える「適応型環境音除去」
次に向かった先は電車が走るガードの下だ。実験した場所は京浜東北線と東海道本線が頻繁に通り、かなりうるさい。電車の走行時、なにもつけていない状態での騒音は93デシベルを記録した。
ここで外部音の取り込みモードをオンにすると、85デジベルいくかいかないかのレベルにまで下がった。AirPods Pro(第2世代)では「適応型環境音除去」という仕組みがあり、耳を守るために85デシベル以上の音を除去するような機能が備わっている。ガード下ではこの機能が発動し、なんとか85デシベル以下にしてくれているようだ。
ここで、アクティブノイズキャンセルをオンにしたところ、65デジベル程度まで下がり、かなり静かになり、電車が通っているのもわからないほどになった。
ちなみに音質に関しては高音はクリアであり、低音はしっかりとしているように感じる。空間オーディオは、iOS 16により、自分の顔や耳を撮影し、頭や耳のかたちに合った音を再生するようになった。そのため、空間オーディオがかなり効きが良くなったように感じた。
ユーザーにはうれしい、かゆいところに手が届く機能強化
AirPods Pro(第2世代)は音だけでなく、細かな使い勝手が進化している。
まず、U1チップテクノロジーにより、AirTagのように、iPhoneの「探す」アプリから、どの場所に置いたのかを調べることができるようになった。
AirPodsは出かけるときに「あれ、どこだっけ」とコートのポケットやカバンのなかなど、あちこち探すことが多い。そんなときも、探すアプリから一発で、どの方向か、どれくらい離れているかを確認し、すぐに見つけ出せるようになった。
本体ケースにはスピーカーも内蔵されているので、音を出して探すということもできる。
また、Lightning端子やMagsafe充電器だけでなく、AirPods Pro(第2世代)ではApple Watch用のワイヤレス充電器でもチャージできるようになった。さらにストラップホールがついたので、ストラップをつけておくことも可能だ。
どれも本当に地味な進化であるが、AirPodsユーザーとしてはかゆいところに手が届くような機能強化に感じる。
AirPods Proはもはや音楽を聴くためだけというより、ビデオ会議などに参加する際にも重宝に使えるデバイスと言えるだろう。朝から晩まで活躍する場面は本当に多し、今回、特にアクティブノイズキャンセルと外部音の取り込みモードはかなり秀逸だ。
本体価格が3万9800円とちょっとお高いのが難点であるが、使用シーンの多さを考慮すれば、なんとか元はとれるのではないか。
筆者紹介――石川 温
スマホ/ケータイジャーナリスト。「日経TRENDY」の編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。ケータイ業界の動向を報じる記事を雑誌、ウェブなどに発表。『仕事の能率を上げる最強最速のスマホ&パソコン活用術』(朝日新聞)、『未来IT図解 これからの5Gビジネス』(MdN)など、著書多数。
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