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母親として苦労したから、できるサービスがある、Yohana松岡氏

ASCII.jp / 2022年9月26日 9時0分

今回のひとこと

「20年間、母親として大変だったことや、失敗してしまったこともある。これを経験しないようにし、それによって転ばないように、という気持ちを込めて作ったサービスである」

(米Yohana LLCの松岡陽子CEO)

月額1万8000円で家族のイベントをサポート

 次世代ファミリーコンシェルジュサービス「Yohanaメンバーシップ」が、9月15日から、神奈川県に限定してサービスを開始する。この事業を行うのは、パナソニック ホールディングスの100%出資子会社であるYohanaであり、CEOとして同社を率いる松岡陽子氏は、Google Xの共同創業者として活躍したほか、NestのCTO、アップル副社長、Googleヘルスケア部門副社長、米ヒューレット・パッカードの社外取締役などを務めた人物だ。2019年10月にパナソニック入りし、現在、パナソニックホールディングス 執行役員 くらしソリューション事業本部長も兼務する。

 Yohanaメンバーシップは、忙しい家族の生活を専門チームがサポートするサービスだ。月額1万8000円で、日々やらなくてはならないことや、やりたいことを整理し、これを専門チームがサポートしてくれる。

 たとえば、1週間の夕食の献立を考えてくれたり、子供にお勧めの絵本の紹介、結婚記念日や誕生日などの重要なイベントのリマインダー、家族への誕生日プレゼントの選定、テーマパークを満喫するためのプラン作成、プロクリーニングや料理代行の手配などを行ってくれる。

チーム

 Yohana LLC ジャパンプロダクトリードの藤田大法氏は、「季節や家族のイベントは後手後手になりやすく、できなかったことに罪悪感も生まれる。たとえば、年末の大掃除は時期が近づくにつれ、他のTo-doが立て込み、ぎりぎりの時点になって自分でやることを諦め、外部のプロに掃除を頼もうと思っても、今度は予約が取れなかったり、料金が高くなったりということになりがちだ」と自らの体験から振り返る。

 「Yohanaメンバーシップは、先回りをして提案してくれる。年末の大掃除もかなり早いタイミングから提案を行い、年末にこだわらなければ、料金が安いいまのうちに行うこともできる。後手後手に回っていたやりたいことが、先手先手で対応できる」とする。

 家族旅行では、交通機関や宿泊施設の予約はしたものの、家族旅行の直前まで仕事が忙しくなり、詳細なプランを決められないまま当日を迎え、現地に行ったら事前予約が必要なものばかりで、旅行を満喫できなかったということがないように、旅行の企画から手配までを頼むといったこともできる。

専門家の知見を取り入れ、人とデジタルをマッチング

 Yohanaメンバーシップを構成するのは、人とデジタルの組み合わせだ。

 利用者は、専用の「Yohana App(Yohanaアプリ)」を通じて、To-do(To Do)リストの作成やチャットでの相談、リストに基づいた作業の依頼、リストの進捗状況の確認などを行うことができる。アプリの向こうにいるのは、「Yohanaスペシャリスト」と呼ばれる人である。利用者の状況を理解し、要望や困りごとを一緒に解決して、日常を支える役割を担うことになる。

 さらに、To-doを解決するために、様々な分野の専門知識を活用することで解決方法などを調べる「Yohanaリサーチャー」や、くらしを長期的にサポートする専属パートナーである「Yohanaガイド」も参加して、チームを構成。それらの活動には、AIをはじめとした最新テクノロジーが活用されている。また、リアルな課題を解決するために、各分野の信頼できるパートナーやプロフェッショナルが参加する「Yohanaネットワーク」を通じて、高品質のサービスを提供することになる。室内のクリーニングや修繕、工事が必要な場合などは、Yohanaネットワークの人材を活用することになる。

 また、日本独自の仕組みとして、自宅に入ることが必要なサービスについては、トレーニングを受けたスタッフだけで対応する「プライムプロサービス」も提供するという。

 YohanaチームによるTo-do整理、企画提案、調査、手配などの作業は、月額料金のなかで何度も利用できるが、これ以外の実作業が発生する場合や、プライムプロサービスの利用には、別途料金が発生する。

 なお、2022年12月12日までに登録すると、キャンペーン料金として、月額8000円で1年間利用できる。

「日常、やらなくてはいけないことや、やりたいことは、Yohanaがリマインドしてくれる。だから安心して、仕事や子育てに没頭できるという環境をつくりたい」と語る。

米国での実績を踏まえ、国内展開

 Yohanaメンバーシップは、2021年9月に、先行する形で、米シアトルでサービスを開始し、これまでに1000世帯以上の家族が利用。約2万件のTo-doを処理したという。

 Yohanaメンバーシップを利用した家族からは、週8~10時間のゆとりが生まれたという声があがっている。

 また、2022年6月からは、ロサンゼルスでもサービスの提供を開始している。

 米Yohana LLCの松岡陽子CEOは、「米国では月額249ドルで提供しているが、この価格設定が高いという声は一度も聞いたことがない。お金を払ってでも、自分の時間を作りたい人、自分に余裕を作りたい人を対象にしている。時間ができたことはプライスレスであり、家族との大切な時間が持つことができたという声をもらっている。日本でも、時間をお金で買ってくれる人たちから提供をしていく」とする。

 神奈川県でのサービスは、シアトル、ロサンゼルスに続き、世界で3カ所目となる。日本では、2022年4月~6月にかけて、数10人を対象にしたトライアル調査を実施しており、92%という高い満足度を得たことから、今回のサービスに踏み切る。

「日本でもニーズがあると感じた。共働き家族が増えるなかで、仕事や生活で大変になっている気持ちを支えたい。Yohanaメンバーシップによって、日本の家族のウェルビーイングを支えていきたい」とする。

 先行してサービスを提供する神奈川県は、松岡CEOが育ったエリアでもある。選定した背景には、サービスの対象となる子育て世代、共働き世帯が多いこと、Yohana日本法人の本社が横浜みなとみらいにあることなどをあげている。

 松岡CEOは、「なるべく早くサービスを届けることを目指して全国に広げていきたい」と語りながら、「20年間、母親として大変だったことや、失敗してしまったこともある。これを経験しないようにし、それによって転ばないようにという気持ちを込めて作ったサービスである。日本人の気持ちを理解し、日本向けにサービスを改善した。これからも日本のお客様の声を聞きながら、サービスを良くしていく。それによってお客様の生活に寄り添っていきたい」と語る。

なりたい自分になれるテクノロジーを作る

 松岡氏のこれまでのキャリアに共通しているのは、「一人ひとりが、なりたい自分になってもらうためのテクノロジーを作る」ということだ。

 「私自身、子供が生まれたばかりのときも、仕事場に子供を連れて行き、仕事をしていた。コロナ禍になり、毎日、どうしたらいいのか、仕事をどうするのか、子育てをどうするのかに悩み、苦労した。だが、これは世界中の人たちが直面している課題である。テクノロジーを使って、助けたいと考えて、Yohanaを設立した。働く親とその家族サポートするウェルビーイングの会社を目指している」とする。

 日本でサービスを開始したことで、今後は、パナソニックグループとの連携も注目される。

 「パナソニックは、生活に入り込んだ製品を売っている会社である。それとサービスをつなげれば、暮らしを支えるプラットフォームになる。そこに取り組めることにワクワクしている」と語る。

 Yohanaでは、「今を生きる家族がしあわせであるように、希望のある日々をつくりつづける」をミッションに掲げている。そして、「私のミッションは、なりたい自分になるための人間視点のテクノロジーを開発することである」と松岡CEOは語る。

 Yohanaメンバーシップは、顧客の声を聞き、それをサービスに反映させるだけでなく、パナソニックとのコラボレーションや、パートナーとの連携で、暮らしに便利なサービスに進化させていくという。

 パナソニックグループにとっても、サービスを起点にした新たなビジネスへの本格挑戦となる。

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