「はやぶさ2」チーム、リュウグウの進化をシミュレーション再現
ASCII.jp / 2022年9月25日 17時18分
宇宙航空研究開発機構(JAXA)や東北大学などの研究チームは、小惑星探査機「はやぶさ2」が回収した小惑星リュウグウのサンプル(同探査機が回収した3番目に大きなサンプルを含む17粒子)を日米欧の放射光施設5カ所、ミュオン施設などで宇宙化学的・物理学的手法によって解析。リュウグウの形成から衝突破壊までの歴史を解明した。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)や東北大学などの研究チームは、小惑星探査機「はやぶさ2」が回収した小惑星リュウグウのサンプル(同探査機が回収した3番目に大きなサンプルを含む17粒子)を日米欧の放射光施設5カ所、ミュオン施設などで宇宙化学的・物理学的手法によって解析。リュウグウの形成から衝突破壊までの歴史を解明した。 研究チームは今回、リュウグウの太陽系内での形成とその位置、天体材料物質の情報、含まれていた氷の種類、天体表層および内部での水との反応による化学進化、天体衝突の影響などについて調査。サンプルの硬さ、熱の伝わり方、比熱、密度などの実測値を使って、リュウグウ母天体形成後の天体内部の加熱による温度変化、および衝突破壊プロセスの数値シミュレーションを実行。リュウグウの形成進化について以下の知見を得た。 1. リュウグウの母天体は、太陽系形成から約200万年後に、極低温(マイナス200℃以下)の領域で岩石と水と二酸化炭素の氷を含む、直径100キロメートル程度の天体として形成された。 2. 太陽系形成から約300万年後、氷が融解して水による初期化学反応が起こった。 3. 太陽系形成から約300万~500万年後、およそ50℃まで温まり、水と岩石の化学反応が進行。天体内部は強く含水化し、天体表層には弱い含水化作用が働いた。 4. その後、リュウグウ母天体の10%程度の大きさ(直径10キロメートル程度以下)の天体と大規模衝突し、直径50キロメートル程度の岩塊と小さな岩片に分裂した。衝突点付近は強く加熱圧縮された。 5. 衝突点から離れた領域の岩片が再集積し、リュウグウを形成した(直径1キロメートル以下)。 小惑星の形成進化のシミュレーションに、実際の小惑星のサンプルの硬さや温まりやすさなどの測定結果を取り入れたのは世界初だという。研究成果はサイエンス(Science)オンライン版に9月22日付で掲載された。(中條)
【この記事をMITテクノロジーレビューで読む】
この記事に関連するニュース
-
すばる望遠鏡、カイパーベルトの外縁を超える可能性のある天体を発見
マイナビニュース / 2024年6月27日 14時54分
-
JAXA吉川真さんが語る 日本航空宇宙学会「ジュニア会員制度」とは?
sorae.jp / 2024年6月23日 17時0分
-
【2010(平成22)年6月13日】小惑星探査機「はやぶさ」が地球に帰還
トウシル / 2024年6月13日 7時30分
-
JAXA、MMXの探査でフォボスの形成過程を約70%の確率で解明可能と証明
マイナビニュース / 2024年6月12日 19時20分
-
小惑星アロコスにRNA類似物質が存在か? ハワイ大らの研究
財経新聞 / 2024年6月7日 16時34分
ランキング
-
1柴犬が必死でくわえようとするのはまさかの“一生無理”なヤツ 子どものような戦いに「激可愛すぎて永遠にリピート」
ねとらぼ / 2024年6月30日 7時0分
-
2様子見していたあのゲーム、今こそ買い時かも!特選Steamサマーセール「過去最安」編【Steamサマーセール2024年夏】
Game*Spark / 2024年6月30日 16時0分
-
3Windows 11、更新プログラム(KB5039302)により繰り返し再起動する問題発生
マイナビニュース / 2024年6月30日 17時16分
-
4なんだこれ……! “近未来すぎる砂時計”が話題に 「こういうのたまらん」
ねとらぼ / 2024年6月30日 12時0分
-
5「呪う気か」 ハードオフでジャンク品を発見→“まさかの販売風景”に恐怖 「買う猛者がいるのだろうか」
ねとらぼ / 2024年6月30日 9時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください