【レビュー】Wear OS 3搭載ラグジュアリースマートウォッチ、モンブラン「SUMMIT 3」登場!
ASCII.jp / 2022年10月4日 12時0分
ドイツの高級筆記具メーカーであるモンブランが最先端のスマートウォッチを発売していることはご存知だろうか。「SUMMIT 3(サミット・スリー)」はモンブランらしい高級感と、グーグルのスマートウォッチ向け最新OSであるWear OS 3をいち早く搭載する先進性に注目したい新モデルだ。本機のファーストインプレッションを報告しよう。
「SUMMIT=頂き」の名を冠するモンブランの最新スマートウォッチ
1906年にドイツで創業したモンブランの「万年筆」はあまりにも有名だ。アルプスの最高峰モンブランの山頂に積もる雪をイメージしたという、ブランドロゴの「ホワイトスター」を冠する筆記具は世界中多くの人々の憧れになっている。
2022年の夏、同社のクラフツマンシップとSUMMIT(山頂)の名を受け継ぐスマートウォッチに新しい第3世代機が登場した。9月初旬の時点で、サムスンのGalaxy Watchシリーズを除き、最も早くグーグルのWear OS 3をプリインストールしたスマートウォッチである点にも注目したい。税込価格は17万2700円。
ケースの素材は丁寧に磨き抜いたチタニウム。特徴についてはまた後述するが、ケースのカラーバリエーションには明るいシルバー系のチタニウムグレーと、落ち着いた上品なチタニウムブラック、両方をコンビニしたチタニウムバイカラーの3種類がある。いずれのモデルにもカーフレザーとラバー、2種類の素材が異なるストラップが付く。
今回はチタニウムグレーのモデルを試す機会を得た。本製品にはブラックカーフ(レザー)とブルーラバーストラップが同梱されている。
輝き豊かなチタニウムケース。軽く心地よい装着感を実現した
SUMMIT 3はAndroidスマホ、またはiPhoneにペアリングして楽しめる。Wear OS 3以降は、グーグルのWear OSアプリを使わずに各メーカーの専用アプリを使ってペアリングや本体の設定をする。モンブランはAndroid/iOS対応のSUMMITアプリを用意している。今回はGoogle Pixel 6aにAndroid版アプリを入れて試した。
ケースのサイズは42mm、厚さは14mm。1.28インチの正円形有機ELタッチディスプレイを搭載する。風防は透明度が高くキズにも強いサファイアクリスタルガラスだ。本体は水深50m/5気圧防水対応とした。
チタニウムといえば、筆者は鈍いグレーがかった色合いの金属を思い浮かべてしまう。ところがSUMMIT 3のチタニウムケースの色はとても明るく煌びやかだ。
ベゼルのエッジは滑らかに磨き上げて光沢感を持たせた。ケースの側面やラグにはブラッシュド加工を施している。ふたつの異なるトーンに磨き分けられたケースは、光の反射が描き出す複雑な立体感がとても美しい。モンブランのこだわりが強く伝わってくる。
ストラップは背面のピンをずらすだけで、ケースから簡単に着脱ができる。従来のSUMMITシリーズのために発売されたモンブラン純正のストラップや、これから登場する新しいアクセサリー製品との互換性が確保されている。市販品についても幅22mmのストラップの中に対応するものが見つけられそうだ。
純正のストラップを付けるとケースとの間にルーズな隙間がなく、手首に心地よくフィットする。ストラップが動いても突起が肌に触れて煩わしく感じられることもない。細部まで行き届いた気配りが感じられる。
筆者はSUMMIT 3を初めて装着した時に、同じサイズやボリューム感の腕時計に比べて本機がとても軽いことにも惹かれた。他の金属に比べて軽いチタニウムをケースに使っているからだろう。夜眠りながら、あるいはジョギングなどのトレーニングで体を動かしながら、本機を長時間身に着けていても苦にならない。大きめサイズのウォッチケースを好む女性ユーザーにも本機をおすすめできる。
ワークアウトを支援するフィットネス機能も充実
SUMMIT 3はペアリングしたスマホから通知を受けるだけでなく、Google Playストアから任意のアプリを追加して様々な用途に使える。
純正の「フィットネス」アプリによる、ユーザーのアクティビティ計測が幅広くできる。歩数・心拍・睡眠・ストレスの計測は、ウォッチを身に着けている間は常時自動計測する。
記録後のログはSUMMIT 3の画面上で振り返ることができる。モバイルのSUMMITアプリでも、同じアクティビティの時系列に整理された記録が見られると良いのだが、現在のところウォッチで計測したデータをクラウドで共有して、モバイルアプリに読み込む機能がない。メーカーに聞いたところ、将来は該当の機能を搭載するため、現在鋭意開発中という回答が得られた。今後の対応に期待したい。
なお、Google FitアプリをSUMMIT 3に投入して、記録したアクティビティのデータがスマホのFitアプリと同期するかも確かめたが、これもうまくリンクしないようだった。Wear OS 3が本格始動した後に、グーグルによるアップデートが行われて解決するのかもしれない。今後も引き続き注目したいポイントだ。
ワークアウト計測のメニューもまた「ランニング/トレッドミル/ハイキング/ウォーキング/サイクリング(屋内外)/HIIT/ヨガ/その他」と充実している。こちらはユーザーが計測の開始と終了をウォッチ上で操作する方式だ。
SUMMIT 3のディスプレイは視認性が高く、タッチ操作に対するレスポンスも良い。ワークアウト時の利用にも適したスマートウォッチだ。
カスタマイズ性に富んだ文字盤。ボタンの操作性も心地よい
モバイルのSUMMITアプリからウォッチフェイスを選んだり、ウォッチフェイスごとにディティールのカスタマイズが細かくできる。モンブランの伝統的な時計製造の歴史にインスピレーションを受けたという「1858」「ジオスフィア」「Time Walker」「Poem」に代表されるウォッチフェイスはルックスが美しく、また実用性にも富んでいる。
ケースの右サイドには「ホワイトスター」ロゴを配置したリュウズを中央に、そして上下にボタンを配置した。各ボタンのクリック、リュウズの回転操作がとてもスムーズにできる。
リュウズをクリックするとランチャーが起動して、ウォッチにインストールされているアプリが選べる。リュウズをダブルクリックするとGoogle Pay対応のNFCペイメント機能が起動する仕様だが、日本ではまだウェアラブルデバイスによる支払い機能が利用できない。
上側のボタンはシングルクリックで最近使ったアプリの一覧、ダブルクリックで直近最後に使ったアプリが起動する。下側のボタンをシングルクリックすると先述のSUMMIT純正フィットネスアプリが起動する。
ほかのWear OSを搭載するスマートウォッチと同様に、ホーム画面を表示した状態でディスプレイを左右にスワイプすると「タイル」が切り替わる。Wear OS 3以降からグーグル以外のサードパーティのアプリによるタイルも充実すると言われている。今後さらに使い勝手が良くなることを期待したい。
安心の省電力設計。バッテリー交換にも対応予定
SUMMIT 3には米クアルコムによるウェアラブルデバイス向けのシステムICチップである「Qualcomm Snapdragon Wear 4100+」が搭載されている。処理パフォーマンスと省電力性能が高いチップを搭載して、さらに内蔵バッテリーをSUMMIT 2よりも増量した。ウォッチの設定から画面の明るさ調整を行えば、フル充電から1日中余裕で持つスタミナを実現している。
充電器には専用スタンドが必要だが、汎用性の高いUSB-Cケーブルが使える。このスタンドにもモンブランを象徴するホワイトスターのロゴがあしらわれている。
SUMMIT 3を購入後、長期間の使用に伴って内蔵バッテリーのパフォーマンスが落ちてきた場合、モンブランサービスによるバッテリー交換が利用できるようになりそうだ。サービスの提供方法については現在検討中だという。10万円台後半のプレミアムなスマートウォッチがバッテリーの摩耗を心配することなく長く使えるのであれば、購買意欲はさらに高まってくるというものだ。
モンブランのSUMMIT 3の魅力を総括しよう。本機はスマホからの通知を受けるだけでなく、フィットネス・ヘルスケアも充実する多機能スマートウォッチだ。
高級ブランドならではと言える、センスの良いウォッチフェイスやストラップによるカスタマイズの楽しみも充実している。気に入ったスマートウォッチが、バッテリーを交換しながら長く愛用できるのも嬉しい。これらの魅力を備えながら、無理に背伸びすることなく買える価格を実現していることが何より魅力的だと筆者は思う。「初めてのプレミアムスマートウォッチ」にも最適だ。SUMMIT 3の誕生により、Wear OS 3を搭載するスマートウォッチにもまた熱い視線が注がれるに違いない。
筆者紹介――山本 敦 オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。
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