【発売直前レビュー】軽量大画面、iPhone 14 Plusはゲーム・電子書籍で快適!
ASCII.jp / 2022年10月6日 1時0分
iPhone 14シリーズの中で、先行する3つのモデルから少し遅れて10月7日に発売を迎える「iPhone 14 Plus」のファーストインプレッションを報告します。Maxと同じ6.7インチの大画面iPhoneはやはりエンターテインメント性能が秀逸でした。
miniからPlusへ、大きくなった「もうひとつのiPhone 14」
Proじゃない方のiPhone 14シリーズには、今年6.1インチのiPhone 14と6.7インチのiPhone 14 Plusの2機種が揃いました。
残念ながら日本で人気が高いと言われている「mini」は14シリーズに更新されませんでしたが、iPhone 13 miniは引き続き併売しています。今後いつまでminiの販売が続くのか、あるいはminiが次のiPhone SEになるのかもわかりませんが、「mini派」の方は今のうちに好きな色のiPhone 13 miniを買っておいた方が、悔いが残らないと思います。
iPhone 14とiPhone 14 Plusの主な違いは、「画面を含む本体のサイズ」と「バッテリー容量」です。後者については、アップルが公開しているスペックが目安になります。ビデオ再生を連続した場合、iPhone 14は最大20時間、iPhone 14 Plusは最大26時間まで楽しめます。なおiPhone 14 Pro Maxは最大29時間です。
iPhone 14シリーズのカラバリ展開はどちらも同じ5色。今回試した「パープル」はiPhone 12やiPad Air/miniのパープルよりもかなりホワイトが混ざり、淡い色合いになりました。暖色系の照明をあてると、ピンクのようにも見えます。
6.7インチの大画面。ゲームや電子書籍を快適表示
6.7インチのSuper Retina XDRディスプレイは、やはり大きく迫力があります。iPhone 14 Pro Maxと同一サイズですが、フロントカメラ部分の切り欠きはiPhone 13シリーズを同じ形状。ディスプレイとして機能するエリアはDynamic Islandを採用するMaxの方がわずかに広いのですが、コンテンツの視聴体験は大きく変わりません。
動画を見たり、モバイルゲームや電子書籍を楽しむならばiPhone 14 Plusがおすすめです。画面が大きいので、ウェブページや電子書籍は縦横に表示領域が広がり、またテキストのサイズも大きくなります。筆者はよくiPhoneでマンガを読みますが、Plusの方が画と文字の両方が少し大きく表示されるので、迫力が増すだけでなく目が疲れにくく感じられました。
iPhoneで楽しむゲームは多くの場合、画面に表示されるタッチコントローラーに左右の手を添えてプレイします。画面が広いiPhone 14 Plusは指先でゲームの画面を覆ってしまう領域が少なく、中央のフィールドがより広く見渡せる余裕があります。ゲームの勝ち負けもさることながら、伸び伸びとプレイできる心地よさを実感します。
本体の左右に手を添えてゲームをプレイする際、iPhoneが内蔵するスピーカーのサウンドの出口を手で塞ぎがちです。Lightning端子がある、ボトム側のスピーカー穴のことです。この部分はすべてのiPhone 14シリーズが同じ形をしていて、うっかり手のひらで穴を塞いでしまうと、ゲームや動画のサウンドがチープになります。アップルにはぜひ、次のiPhoneから左右正面向きのスピーカーを採用して欲しいです。
明るい屋外でも見やすいディスプレイ
ディスプレイのピーク輝度性能はiPhone 14 Pro MaxとiPhone 14 Plusで少し違うため、その差が体験にも表れました。
標準コンテンツ(SDR)の表示は、iPhone 14 PlusよりもiPhone 14 Pro Maxのピーク輝度性能は200nitsほど高く、明るい屋外でウェブサイトや写真が見やすく感じられました。
HDRビデオコンテンツの表示についても、iPhone 14 Pro Maxの方がピーク輝度性能が400nitsほど高く、屋外ではさらにその差が800nitsまで開きます。ディスプレイ表示の総合力ではiPhone 14 PlusよりもiPhone 14 Pro Maxが勝る印象は確かにあります。
ただ、Plusのディスプレイもまた一般的なスマートフォンに比べると屋内外ともに、表示性能が十分に優れていると思います。筆者の場合、そもそも明るい屋外で長時間HDRビデオを見ることがあまり多くはないため、ビデオ再生はPlusでも十分に高い満足度が得られました。
6.1インチと6.7インチ、スマホカメラとしてはどちらが便利?
iPhone 14シリーズには広角・超広角カメラによる、デュアル12MPカメラシステムが搭載されています。iPhone 13シリーズからイメージセンサーを刷新して、さらにハードウェアとソフトウェアの連係密度を高めています。
さらに最新の画像合成技術である「Photonic Engine」が搭載されました。iPhone 13とiPhone 14 Plusで暗めの室内を撮影した写真にも差が現れます。iPhone 14 Plusのカメラは被写体の輪郭描写が鮮やか。色がくすまず透明感にも富んでいて、実際に目で見た印象に近く再現されます。
ただ、iPhone 14シリーズのほかのモデルに比べてしまうと、iPhone 14 Plusの立ち位置はやや中途半端に感じられる部分もあります。
カメラの性能を重視するのであれば、iPhone 14 PlusよりもiPhone 14 Pro Maxを選ぶべきです。明るい場所で近くの被写体を撮るぶんにはiPhone 14 Plusのカメラも遜色ないのですが、遠くの建物を写したい時にはやはりiPhone 14 Pro Maxが搭載する望遠カメラの有無がものを言います。さらに、Proシリーズにはマクロ撮影の機能もあり、被写体に最接近した写真でアーティスティックな表現を試したり、様々な発見が得られる楽しさが醍醐味です。
iPhone 14とiPhone 14 Plusのカメラの性能は変わりませんが、iPhone 14 PlusよりもiPhone 14の方が31gも軽いことの差は日々のハンドリングに効いてきます。いわゆる「コンデジ」カメラのように片手で軽々と持ちながら、写真が撮れる操作感はとても魅力的です。
iPhoneにジンバルやミニ三脚を組み合わせて、手持ちで写真や動画を撮る時にも、より軽いiPhone 14のメリットが効いてきます。「スマホカメラ」としての活躍をiPhoneに期待するならば、筆者は「Proを選ぶ」「小さい方を選ぶ」のが鉄則だと思います。
iPhone 14 Plusは「最高のポータブル音楽プレーヤー」かもしれない
iPhone 14 PlusでApple Musicなど音楽配信サービスのコンテンツを再生すると、6.7インチの大きな画面にカバーアートや歌詞がドカンと大きく表示されます。ポータブルオーディオプレーヤーとして、この表現力の高さは魅力的だと思います。
またiPhone 14 Plusは存在感があるので、ハイレゾ対応のUSB-DACを組み合わせてもサマになります。
iPhone 14 PlusはiPhone 14 Pro Maxよりも37g軽いので、本体を片手で持ちながら移動中にミュージックビデオを視聴しても疲れませんでした。もしも本体にケースを着けて利用するのであれば、iPhone 14 Plusの特長である「軽さ」が活かせる、ウルトラライト級のケースを着けるべきです。筆者はこの頃は耐久性能にも優れるディーフの「DURO Ultra Slim & Light Case」を愛用しています。
同じ6.7インチのiPhone 14 PlusとiPhone 14 Pro Maxの128GBモデルは、価格差が「3万円」です。だったら……、とMaxの方に手を伸ばしたくなりますが、性能差があることはわかっていても「軽い大画面iPhone」に何より魅力を感じる方、または鮮やかなカラバリに惹かれた方はiPhone 14 Plusを選んでも確かな満足感が得られると思います。
筆者紹介――山本 敦 オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。
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