既存GPUと一線を画す4Kの強さ。GeForce RTX 4090のゲーム性能を徹底検証!
ASCII.jp / 2022年10月11日 22時10分
Ada Lovelace世代のフラッグシップGPU「GeForce RTX 4090」(以下、RTX 4090)は、16384基という膨大なCUDAコアの力でRTX 3090 Tiの2倍近い性能を叩き出したモンスターGPUである。技術的な見どころや基本的ベンチマーク(3DMark)は前回の記事で解説済みだ。
今回は「GeForce RTX 4090 Founders Edition」(以下、RTX 4090 FE)の実ゲームにおけるパフォーマンス検証の結果をお届けする。予め言及しておくと、NVIDIAはRTX 4090をゲーマーのためのプロダクトと位置付けていない。重量級、特にレイトレーシングを使用したゲームプレイには最高のGPUではあるが、RTX 4090 FEは24GBものVRAMや強力な計算力、AV1対応のNVEncなど、コンテンツクリエイション分野にも強くアピールしている製品である。とはいえ、ゲームの画質とフレームレートを極大化したい筆者にとって、RTX 4090のゲームパフォーマンスは十分に時間をかけて検証するに値するトピックだ。
検証環境は前回とまったく同じだ。比較対象として「GeForce RTX 3090 Founders Edition」(以下、RTX 3090 FE)と「GeForce RTX 3090 Ti」(以下、RTX 3090 Ti)、「Radeon RX 6950 XT」(以下、RX 6950 XT)を準備したが、RTX 3090 TiおよびRX 6950 XTは強めのOC設定をしたファクトリーOCモデルとなっている。TGPだけで言えば、今回準備したRTX 3090 TiのほうがRTX 4090 FEよりも高く設定されている。
また、RTX 4090 FEの補助電源ケーブルは4本すべて接続した状態で検証しているが、TGPはデフォルトの450W設定のままとしている。HDRは特記していない限りすべて有効化、NVIDIA Reflexはオフにできる状況下ではすべて無効としている。また、DLSS Super ResolutionやFSR 1.0/2.xといったアップスケーラーおよび動的解像度変更機能もすべて無効としている。
各ゲームのフレームレート計測手段については、すべて「CapFrameX」によるフレームレート実測値を採用した。ゲーム内ベンチマークがあっても実測値で統一した理由は、DLSS Frame Generationで生成されたフレームの存在は「現時点では」ゲーム内ベンチマークでは勘定に入れることができないためだ。また、解像度はフルHD(1920×1080ドット)/WQHD(2560×1440ドット)/4K(3840×2160ドット)の3本に絞っているが、これは時間と体力的な制約によるものである。
WQHDでもフレームレートが落ちない「Apex Legends」
最初に試すのは「Apex Legends」だ。画質は最高設定とし、射撃練習場における一定の行動をとった時のフレームレートを計測した。144fps制限は起動オプション(+fps_max unlimited)で解除しているが、ゲームの仕様上300fpsが上限となる。
フレームレートが一番高いのはRTX 4090 FEだが、フルHD〜WQHDまではRX 6950 XTもRTX 3090 Tiを押さえ込むなど良い仕事をしている。Infinity Cacheの有用性は十分あるといえる。しかしながら、4Kになるとメモリーバス幅256bitのRX 6950 XTは急激に失速。逆にメモリーバス幅の広いRTX 3090 FEより上のGPUが優勢になる。特に最低フレームレートにおいてその傾向が強い。
その中でもRTX 4090 FEの4Kでのパフォーマンスは次元が異なる。SERやOpacity Micromapなどの新機能がまったく意味を成さないゲームではあるが、CUDAコアとそれを支えるキャッシュ、さらにメモリー帯域等が単純に強いためだと考えられる。300fpsでキャップになるせいもあるが、RTX 4090 FEの平均フレームレートはフルHD→4Kで1割程度しか落ちていない点は驚くしかない。
負荷不足で回らないこともある 「Rainbow Six Siege」
「Rainbow Six Siege」では、APIにVulkanを選択。画質“最高”にレンダースケール100%を追加した。ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートを計測した。
このゲームでもRTX 4090 FEが他のGPUをフレームレートで上回っているが、フルHDのみRTX 30シリーズと4090 FEの差が非常に小さい。この理由は単純に負荷不足、即ちシェーダーに割り振る仕事が不足しているからと考えられる。WQHDになると処理すべき負荷が増し、RTX 4090 FEの馬力が活かされるようになるといった感じだろうか。CPUボトルネックの可能性も残されているが、フルHDよりもWQHDのほうがフレームレートが出ている時点で、ゲーム側の問題と考えたほうがよさそうだ。
「Overwatch 2」では低解像度でも圧倒的に強い
「Overwatch 2」では、画質“エピック”を選択し、レンダースケールを100%に固定。フレームレート上限は600fps、FSR 1.0は無効に設定した。マップ“Eichenwalde”におけるBotマッチを観戦中のフレームレートを計測した。
これまでのゲームと異なり、RTX 4090 FEはフルHDでもRTX 30シリーズやRadeonに対しフレームレートで大差を付けている。RX 6950 XTはフルHDでは割と強かったが、WQHDになるとRTX 3090 Tiに追い抜かれ、4KではほぼRTX 3090 FE+α程度の性能になる。
RTX 4090 FEも解像度があがるほどにフレームレートを落とすものの、最終的に4K設定ではRTX 3090 FEの1.8倍弱、RTX 3090 Tiの約1.5倍の平均フレームレートを叩き出した。導入コスト的にApex Legends〜Overwatch 2のようなeスポーツ系タイトルには向かないGPUではあるが、4Kで快適にプレイできる環境が欲しいのであれば、RTX 4090 FEは一考に値するGPUと言えるだろう。
4Kでも100fps以上をキープする 「Tiny Tina's Wonderlands」
「Tiny Tina's Wonderlands」ではAPIにDirectX 12を選択。画質は“バッドアス”とした。ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートを計測した。
ゲームの内容はどちらかと言うと脳天気系だが、描画負荷はレイトレーシングを使わないFPSとしては相当重い(後述するがシェーダー負荷も高いので消費電力も高い)。そのため、RTX 4090 FEでもフルHDで240fpsキープは難しい。フルHDではRTX 3090 TiやRX 6950 XTより3割程度速いだけだが、解像度が上がると実力差が顕わになる。ほかが100fpsを大きく割る数値になっているなか、RTX 4090 FEは4Kで120fpsプレイがなんとか狙えそうな数値になっている点に注目だ。
Radeon有利の「Forza Horizon 5」では……
「Forza Horizon 5」では画質“エクストリーム”に設定。ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートを計測した。
もともとForzaシリーズはRadeonとの相性が良く、RTX 3090 Ti〜RX 6950 XTの中で見ればどの解像度においてもRX 6950 XTが強い。特に、メモリーバス幅の制約があるにも関わらず、4KでRX 6950 XTがRTX 3090 Tiを上回っているあたりはその傾向が強く窺える。
しかし、RTX 4090 FEは4K時においてRX 6950 XTの最大1.5倍程度のフレームレートを出している。フルHD〜WQHDでも高いフレームレートを出しているが、解像度が低くなるほどRTX 4090 FEの費用対効果が薄れていく。RTX 4090 FEは究極の4KゲーミングのためのGPU「でもある」といえる。
4Kになったら突然覚醒した 「Microsoft Flight Simulator」
「Microsoft Flight Simulator」はAPIにDirectX 12を選択。画質は“ULTRA”、アンチエイリアスは“TAA”に設定した。ランディングチャレンジ“シドニー”で一定時間飛行した時のフレームレートを計測した。カメラは常時機外後方に固定している。今回はレビュー用に提供されたβビルドを利用している。
Microsoft Flight Simulatorは最近のアップデートでエンジンが改修され、劇的にフレームレートが改善したが、フルHD〜WQHDではRTX 4090 FEのパフォーマンスはまったくと言っていいほど出ていない(ただし、βビルドという点に留意)。むしろ、解像度が低い設定ではRX 6950 XTのほうが優秀まである。解像度が上がってもどのGPUでも50fps程度が出ていることから、強烈なCPUバウンドは解消されていないと考えられる(リアル志向のシミュレーターなので仕方ない話だが)。
しかし、Microsoft Flight SimulatorはDLSS Frame Generationに対応している。前回解説した通り、DLSS Frame GenerationはCPUバウンド時に輝く技術である。DLSS Frame Generationについては後ほど改めて検証することにしたい。
4Kでライバルをようやく上回った「Far Cry 6」
ここからはレイトレーシングありのゲームでの検証となる。「Far Cry 6」では画質は“最高”、高解像度テクスチャーやVRS(FidelityFX Variable Shading)、レイトレーシング等もすべて有効化。ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートを計測した。
フルHD〜WQHDでは、RX 6950 XTがRTX 4090 FEを押さえ込んでいる。レイトレーシングの性能はGeForceがRadeonを圧倒しているのにこの結果が出るということは、このゲームがRadeonに対する最適化が進んでいるというよりも、GeForceのパワーをうまく使えていないと言うほうが正確な表現のような気がする。GeForceだと全然回らないというのは同じUBIの「Assassin's Creed Valhalla」でも観測されたことである。
ただ、解像度を4Kまで上げると、フレームレートが落ちないRTX 4090 FEがトップに立つ。後ほど解説するが、このゲームはGeForceで回らないぶん、電力も使わないためワット当たりのフレームレートはRX 6950 XTよりも高いのだ(かといって、Far Cry 6のためにRTX 4090 FEを買えと言うつもりはないが……)。
ほぼフレームレートが変化しなかった 「Marvel's Spider-Man Remastered」
「Marvel's Spider-Man Remastered」では、レイトレーシングを含む全画質設定を最高設定とし、アンチエイリアスはTAAを選択した。マンハッタンのマップ内を移動する際のフレームレートを計測した。
このゲームもFar Cry 6と同様に、フルHDでは仕事が少ないためにGPUのパワーを上げてもフレームレートが上がりにくい設計であることが窺える。ただし、レイトレーシング系の設定が重いせいか、RX 6950 XTは今回1人負け的な様相を呈している。
WQHDでもRTX 4090 FEは最低フレームレート以外大きなメリットを出せずにいるが、4Kになると他が落ち込むことで相対的にRTX 4090 FEのパフォーマンスが高く見える。このゲームの魅力の1つであるシネマティックな映像美を最高の設定で楽しみたい人には、RTX 4090 FEは悪くない選択といえるだろう。
DLSS無しでは4Kプレイは厳しい「Ghostwire: Tokyo」
「Ghostwire: Tokyo」でもレイトレーシングを含む全画質設定を一番重くなるように設定。マップ内の一定のコースを移動した際のフレームレートを計測した。
フルHDではRTX 4090 FEとRTX 3090 Tiのフレームレートがほぼ同じなので、Spider-Manと同傾向か? と思ったが、WQHDになるとAmpere世代のRTX 30シリーズは急激に失速。この時点でRTX 4090 FEは3090 Tiの1.3倍程度のフレームレートになる。4Kになると差がさらに広がり、最終的には格差は1.7倍にまで拡がった。CUDAコアやRTコアの数、さらに動作クロックの高さがこの差の源泉になっていると推測される。
「F1 22」でも圧倒的な強さをみせる
「F1 22」では画質“超高”をベースにレイトレーシングのクオリティーも最高に設定。異方性フィルタリングはx16、アンチエイリアスは“TAA+FidelityFX”とし、ゲーム内ベンチマーク(条件は“モナコ”+“ウエット”)再生中のフレームレートを計測した。このゲームではDLSS Frame Generation対応のβビルドを使用しているが、βビルドの制約からHDRはオフにして検証している。
F1 22では、フルHDでもRTX 4090 FEが強い存在感を示している。解像度が上がるほどにフレームレートの差は拡大し、4KになるとRTX 4090 FEの平均フレームレートはRTX 3090 FEの1.9倍弱にまで高まる。4Kでは既存のハイエンドGPU勢が平均50fpsにすら届いていない中、RTX 4090 FEだけ73fpsというのは驚くほど強力である。
「Cyberpunk 2077」の超重設定ではRTX 4090でも厳しい?
最後に試すのは「Cyberpunk 2077」だ。今回はDLSS Frame Generationが実装されたβビルドを使用する。画質は“レイトレーシング:ウルトラ”をベースに、DLSS Super Resolutionを無効化、さらにレイトレーシングの反射クオリティーを一番重い“サイコ”に設定(将来的にはさらに上のOverdriveモードが追加されると思われる)。ここでもHDRはDLSS Frame Generation検証の制約から無効としている。
プリセットの“レイトレーシング:ウルトラ”よりさらに重いレイトレーシング設定でテストしているため、RTX 4090 FEでも4Kで平均40fpsも出すことができていない。DLSS Super Resolutionを使わない設定であれば、WQHDがギリギリのラインといえるだろう。ただ、WQHDでのプレイで満足するなら、既存のRTX 3090 TiやRTX 3090でもほとんどのゲームで高いフレームレートが出せるため、導入する意義は薄れる。
お詫びと訂正:掲載当初、Cyberpunk 2077のグラフ内のゲームタイトルを誤って表記していました。該当部分を訂正すると共にお詫び申し上げます。(2022年10月11日23:55)
意外にもワットパフォーマンスは優秀?
これまで筆者のGPUレビューでは、Time Spyデモ実行時のピーク値をサンプルとして消費電力を論じることが多かったが、ゲーム側の処理が違えば消費電力も変わってくるわけで、実際にはゲームや解像度設定によりビデオカードが消費する電力、即ちTBP(Total Board Power)も変わってくる。
今回、全部のベンチにおいてTBPを計測しつつフレームレートを計測する時間的な余裕は得られなかった。そこで、CapFrameXがフレームレートのデータと同時に記録する「GPU Power」の値を利用する。GPU Powerについてはこちらの記事を参照して頂きたいが、現行GPUはドライバーのAPIを通じてTBPに近い値をGPU Powerとして取得することができる。
ただし、リアルなTBPよりは10%程度低くなることが経験則で分かっている。TGP 450WのRTX 4090 FEなら、TBPが450WならGPU Powerはだいたい410W程度と予測できる。
まずは各ベンチマークごとのGPU Powerの違いを見てみよう。各GPUと解像度ごとに2つの数値が記されているが、上がベンチマーク中に観測された最大値、下が平均値となる。
まずは軽めのFPS系タイトルでの比較だ。Apex LegendsのフルHD設定では、RTX 4090 FEのGPU Powerは最大300W、平均236Wであると読むが、WQHD、4Kと解像度が上がるに従い、最大値が350W、402Wと上がる。つまり、フルHDではフレームレート制限があるため、RTX 4090 FEのパワーを使い切っていないということが読み取れる。
RTX 3090 FEやRX 6950 XTはどのゲームでも最大値が大きく変わっていない点から、割とフルパワーに近い状況で動いていることがわかる。RX 6950 XTのGPU Powerは325Wあたりに収束しているが、これは同カードのPPTの上限値に一致する値だ。
そして、RTX 4090 FEがRainbow Six SiegeにおいてWQHDのほうがフルHDよりフレームレートが高い理由も、このGPU Powerからある程度推察できる。つまり処理が軽すぎてGPU Powerが上がりきらない、つまりGPUがオーバースペックすぎることを示している。
一方、Overwatch 2ではRTX 4090 FEのGPU Powerがそれなりに高く、GPUパワーをそれなりに使えていることが示されている。RTX 4090 FEよりフレームレートの低いRTX 3090 Tiのほうが高いGPU Powerを記録していることから、RTX 3090 Tiのワットパフォーマンスはそれほど高くないことが示唆されている。
重量級のTiny Tina's Wonderlandsでは解像度が高くなるほどGPU Powerが高くなるが、GPUのTGP限界近くまで使うにはフルHDやWQHDでは負荷が足りない。一方Forza Horizon 5では、RTX 4090 FEのGPU Powerが既存GPUより低い割にフレームレートは出ているという点に注目したい。
また、Microsoft Flight Simulatorでは、RTX 4090 FEやRX 6950 XTのGPU PowerがフルHDとWQHDにおいて非常に低い。これはCPUバウンドになってGPUがほぼ寝ていることを示している。Microsoft Flight SimulatorがDLSS Frame Generationに対応するのは非常に合理的なチョイスといえる。
続いて、レイトレーシング系のゲームでのGPU Power比較だが、Far Cry 6とMarvel's Spider-Man RemasteredのフルHDおよびWQHDでは、RTX 4090 FEは全然パワーを使っていない。パワーを使っていないのでフレームレートも出ていないと言い換えることができる。Ghostwire: Tokyoもその傾向にあるが、Far Cry 6等よりはGPUパワーを使えていることが分かる。
処理の重いF1 22やCyberpunk 2077では4K時の最大消費電力の大きさに注目。どのGPUも限界ギリギリまで使っていると推察できるが、フレームレートでは圧倒的にRTX 4090 FEが上だ。つまり、新GeFoceの消費電力は大きいが、パフォーマンスに見合った消費電力になっているといえる。GPU Powerの値だけ見るとRX 6950 XTは低い(理由は設計によるものと、前述のAPIの制限)が、フレームレートも低いことを考えるとワットパフォーマンスは決して高いとはいえない。
フレームレートのデータを取得した時のGPU Powerが得られれば、ワットパフォーマンスを求めることもできる。今回はベンチマーク中におけるGPU Powerの平均値と各ベンチマークの平均フレームレートに注目する。1Wあたりにすると数値が小さくなりすぎるので、GPU Power 10Wあたりのフレームレートを算出してみた。
こうしてみるとTGPの近いRTX 4090 FEとRTX 3090 Tiでは、圧倒的にRTX 4090 FEのワットパフォーマンスが優れている。今回テストに使用したRTX 3090 Tiが水冷仕様のハイエンドファクトリーOCモデルなせいもあるが、RTX 4090をTGP 450W設定で使ったとしても、RTX 3090 Tiよりも効率よく処理することができる事を示している。Microsoft Flight SimulatorのようにRX 6950 XTがRTX 4090 FEを上回る、もしくは並ぶケースも観測されたが、今回の検証ではレアケースといってよい。
TBPはRTX 3090 TiのハイエンドOCモデルよりやや下
最後にNVIDIAのビデオカード用電力計測デバイス「PCAT」を利用して、ゲーム中の実TBPも確認しておこう。ただ、筆者の手元にある初代PCATは8ピンケーブル最大3本とPCI Express x16スロットからの消費電力計測が限界であるため、RTX 4090 FEに8ピンケーブルを4本接続した状態では計測できない(12VHPWRに対応したPCAT v2が存在するらしいので、ぜひ使ってみたいものだ)。すでに前回の検証において8ピンケーブル3本と4本で消費電力に大きな違いはなく、どちらもTGP 450Wで運用されることが確認できているので、妥協案として8ピンケーブル3本接続した状態で計測している。
使用するゲームはCyberpunk 2077で、画質などの条件はフレームレート計測時のものと同一だ。解像度を4KにすることでRTX 4090 FEに最大の負荷がかかるようにしている。ベンチマーク中のGPU Powerはすでにお見せした通りだが、ここではキャラを1か所(Jig-Jig Street)で静止させた時の電力なので、先のデータとは違った値が出ても何ら不思議な所はない。
これによると、TBPが最も高いのはRTX 3090 Tiだが、GPU-Z上で確認できるTGPが480Wであることを考慮すれば当然の帰結だ。ただし、Cyberpunk 2077を使った検証では常時480Wフルで出るというわけではなく、平均としては463Wという結果になった。一方、RTX 4090 FEは8ピンケーブル3本でも瞬間的に470Wを超えることもあるが、平均では426Wとなる。先に示したベンチマーク中のGPU Powerとそれほどかけ離れているわけではなさそうだ。また、RX 6950 XTの平均TBPは382Wと高く、ベンチマーク中のGPU Powerとは50W以上離れている。
これらの事を合わせて考えると、RTX 4090 FEは最大600Wで動作可能というスペックだけに眼がいってしまうが、実際に運用してみると既存のRTX 3090 TiやRX 6950 XTのファクトリーOCモデルに比べ、消費電力が極端に大きいわけではないといえる(それでも400Wオーバーは大飯食らいではあるが)。
最後に、接続する8ピンケーブルの数を変えて、Cyberpunk 2077をプレイ状態で放置した時のRTX 4090 FEのGPU温度やクロックの動きを「HWiNFO Pro」で追跡してみた。時間軸の左のほうのデータにブレがあるのは、温度などの初期条件の統一に筆者のミスがあったためだが、時間経過によって差がなくなっている点に注目していただきたい。
ゲーム中のGPUクロックは接続した補助電源が3本でも4本でも2730MHz〜2625MHzあたりで変動している。GPU温度についても66〜76℃で差がない。なお、RTX 4090 FEのクーラーの性能は十分高いが、PCケースの中には450Wなりの熱量が放出されるので、運用するのであれば十分な換気態勢を作っておきたい。
次回、クリエイティブベンチで 遂にRTX 4090 FEの真の実力が明かされる!?
RTX 4090 FEレビューは2回で終わらせようと思ったが、ここまですでに1万字余を連ねてきたため、一度ここで区切っておきたい。次回はDLSS Frame Generationのパフォーマンス、そしてクリエイティブ系アプリでのパフォーマンス検証をお届けする予定だ。
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