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【レビュー】Google Pixel 7も「Proがオススメ!」仕事にも使える機能が洗練!

ASCII.jp / 2022年10月13日 2時0分

グーグルのスマートフォン「Google Pixel 7」(左)のLemongrass、「Googl Pixel 7 Pro」(右)のObsidian

 グーグル、ならびに通信キャリアはauとソフトバンクが、Android 13を搭載する最新スマートフォン「Google Pixel 7 Pro」「Google Pixel 7」を発売します。今回、筆者は発売の少し前から実機を試すことができました。とても気になっている写真の「ボケ補正」や、「レコーダー」アプリによる自動文字起こしなど「Pixelならでは」と言える機能の進化を中心に試しました。

 そして上位モデルである「Pixel 7 Pro」の方がオススメという結論に至った理由も解説したいと思います。

仕事に使える「ボイスレコーダー」は賢くなった?

 グーグルは2021年秋に発売したPixel 6/Pixel 6 Proから、自社で設計・開発するシステムオンチップ「Google Tensor」と「Titan M」セキュリティチップの採用を開始しています。得意とするAI(人工知能)とAndroidを組み合わせることで、機会学習や音声認識など、他社のAndroidスマホと一線を画した「Google Pixelシリーズならでは」と言えるユーザー体験を実現しています。

Pixel 7 Proは6.7インチ、QHD+/アスペクト比19.5:9の有機ELディスプレイを搭載。最大輝度1000nits、ピーク輝度1500nitsのHDR表示に対応した高精細で明るいディスプレイも魅力
Pixel 7は6.3インチ、FHD+/アスペクト比20:9の有機ELディスプレイを搭載。こちらもHDR対応

 そのひとつに、Pixel純正「レコーダー」アプリによる自動文字起こし機能があります。レコーダーアプリで会話の音声を録音しながら、同時にテキスト起こしもしてくれるという、筆者のようなライターの仕事を力強くサポートしてくれるありがたい機能です。

Pixelシリーズ限定の純正「レコーダー」アプリ。音声記録と同時に日本語、英語などに対応する自動文字起こし機能を搭載しています

 2022年10月時点では英語と日本語のほか、ドイツ語/フランス語/スペイン語/イタリア語に対応しています。英語と日本語による会話の自動文字起こしは仕事にも十分に使える精度なので、筆者はPixel 6 Pro(とPixel 6a)を仕事の神器として愛用しています。またグーグルは現在、純正レコーダーアプリをPixelシリーズ以外の他社製Androidスマホに提供していません。今後も当面はPixelシリーズを選んだユーザーだけが、使える機能になりそうです。

 Pixel 7/Pixel 7 Proは、パフォーマンスが向上した最新の「Google Tensor G2」チップを搭載しています。レコーダーアプリによる自動文字起こし機能の使い勝手に、影響は表れるのでしょうか。新旧Pixelシリーズの実力比較は英語(US)と日本語で実施しています。

 Pixelシリーズのレコーダーアプリは特に英語を選択すると、ハイレベルな音声認識とテキスト変換の性能が実感されます。できあがるテキストは、仕事にも使えるレベルに到達しています。とはいえ、複数の参加者によるディスカッションが早口で繰り広げられると、文字起こしのテキストは「地続き」に記録されてしまいます。

 レコーダーアプリには会話の間が少し空いた瞬間、段落を分けてタイムスタンプを記録する機能があります。新旧Pixelのレコーダーアプリを比較すると、Pixel 7の方がタイムスタンプを会話の間合いを見つけて適切な場所に打つ精度が少し高いようです。その差は文字起こしの言語に日本語を選択した場合よりも、英語(US)の方がよくわかりました。筆者は日本語の文字起こしの方が仕事に使う機会も多いので、英語に迫る機能向上を期待したいです。

左がPixel 6 Pro、右がPixel 7 Pro。英語によるプレスカンファレンスをレコーダーアプリで文字起こししてみると、右側Pixel 7 Proの方が適切な箇所でタイムスタンプを記録、段落をこまめに挿入しながら読みやすいテキストに整えてくれました

 また録音された音声の再生速度を0.5倍(遅く)から最大3倍(速く)まで、調整できる機能が新しく付きます。ゆっくり正確に聴き直したい時にこれは便利でした。

Pixel 7 Proは録音した音声の再生速度が変更できます。いずれ他のPixelシリーズにも同じ機能が展開されそうです

 グーグルはPixelシリーズの発表会で「今年後半」にレコーダーアプリをアップデートして、「スピーカー判別」の機能を追加すると宣言しました。いわゆる話者の聞きわけについては、LINEの「CLOVA Note」アプリなど先に実現しているものがあります。ライバルと比べて、グーグルのレコーダーアプリの完成度にどれぐらいの差が出るのか楽しみです。

 なお、レコーダーアプリの文字起こしはオフライン対応なので、あまり機会はないと思いますが、飛行機で移動しながらミーティングの会話を記録・文字に起こしたい時などにも使えます。

 レコーダーで記録したデータは音声ファイルをGoogleドライブに保存、テキストはWordなどでも読み込みやすいファイル形式に変換後、メールで共有したり、グーグルのサービスと連係しながらスムーズにアーカイブできるところも優れています。「仕事がはかどるスマホ」として筆者がPixelシリーズに魅力を感じるポイントです。

文字起こしのテキストはGoogleドキュメントを経由して、様々なファイルフォーマットによる共有が可能
フォトアプリの編集メニューに新設される「ボケ補整」。0から100の間で1段階ずつシャープネス調整ができます

Pixel 7シリーズオンリーの新機能、写真の「ボケ補正」を深掘り

 グーグル独自のAIによる機械学習と、最先端のデジタルイメージ処理に関連するソフトウェアの技術は最新のPixel 7/Pixel 7 Proの特徴も際立たせています。

 人物や動物、そして電車などメインの被写体の背景に「動き」を付けて、ダイナミックな写真に加工できるカメラアプリの「モーション」モードや、映り込んで欲しくない被写体を後処理によって消すフォトアプリの「消しゴムマジック」などがその代表例です。

 Pixel 7シリーズから、フォトアプリにまた新しい「ボケ補整(Photo Unblur)」機能が加わりました。Pixel 7シリーズが搭載するTensor G2チップの高い処理能力を活かして、フォトアプリに保存した静止画データのピンボケやノイズをデバイス上で素速く除去するというものです。

 使い方はとても簡単。フォトアプリから「編集」を選び、「ツール」に新設された「ボケ補整」から補整強度を「0〜100」の間で1段階ずつスライダーを動かして細かくアレンジします。

 静止画データはPixel 7シリーズで撮影した素材に限らず、フォトアプリに読み込めればiPhoneやデジタルカメラで撮影したデータも同じように加工できます。筆者が試した限り、特別にPixelで撮影した写真だけ高い効果が得られるということもなさそうです。

 写真によっては、ピンボケ補整の効果はてきめんに表れます。補整強度を100近くまで上げてしまうと、被写体の輪郭周辺にブロック状のノイズが目立ってくる場合があるので、都度バランスを見ながらの調整が必要です。そして元の画像があまり盛大にボケていると、ボケ補整だけでピシッとシャープに整えるところまではさすがに無理でした。

ボケ補整を行う前の写真。後からよく見ると微妙にピンボケしてました。撮影直後に美味しくいただいてしまったので「撮り直し」が効きません
Pixel 7で「ボケ補整」を実行。AIによる機械学習処理が取り返しの付かないミスを帳消しにしてくれました

 写真を撮る直前には、被写体をタップしてしっかりとフォーカスを合わせる、暗い場所では三脚などアクセサリーも使うといった、スマホによる写真撮影の基本動作を押さえておくことが、やはり何より大事です。でも気をつけていたはずなのに、できた写真を見たら思いもよらずボケていたということもよくあります。パソコンソフトを使わなくても、スマホ単体である程度のレベルまで簡単にボケ補整ができる「安心感」はPixel 7/7 Proシリーズを選ぶ大事な理由のひとつになりそうです。

Pixel 6シリーズから踏襲する「カメラバー」にトリプルレンズカメラを搭載するPixel 7 Pro。光学5倍ズーム、最大30倍の超解像デジタルズームに対応する望遠カメラが私は好きです

Pixel 7 Proのカメラは「30倍ズーム」「マクロ」が楽しい

 Pixel 7とPixel 7 Proはカタチがよく似たスマホですが、それぞれの違いはサイズだけではありません。特にカメラの機能・性能についてはProの方が充実しています。

 Pixel 7はメインの広角カメラとウルトラワイド(超広角)カメラによるデュアルレンズ仕様ですが、Pixel 7 Proには4800万画素クアッドベイヤー配列のセンサーを載せた望遠カメラが追加されます。

 Pixel 7 Proは望遠カメラが、Pixel 6 Proよりも進化しています。光学ズームが4倍から5倍になり、ソフトウェアによる超解像処理を加えるデジタルズームは20倍から30倍に表現力がアップしました。

 高画素センサーになったことで、デジタルズーム撮影時には写真の中央部分を切り抜いて、精細感を保ったまま明るい写真を記録します。5000万画素のOcta PDクアッドベイヤーセンサーを載せた広角カメラを使って、2倍デジタルズーム撮影をする際にも同様の処理をし、写真のクオリティを担保します。

Pixel 7は広角・超広角のダブルレンズカメラを搭載。広角カメラにはProと同じ5000万画素のOcta PD Quad Beyerイメージセンサーを採用。画質はとても安定しています

 筆者は発表会などイベントの舞台に登壇する出演者を撮影するため、仕事では高倍率ズーム機能を搭載するデジタルカメラ、もしくはレンズを使っています。デジタルカメラだけでなくスマホでもキレイなズーム写真が撮れるようになれば、TPOに合わせてPixel 7 Proを選び、仕事道具の大幅な軽量化が図れそうです。Pixel 7 Proのズーム撮影を仕事の現場で試せる機会が楽しみです。

Pixel 6 Proの20倍デジタルズーム撮影
Pixel 7 Proの30倍デジタルズーム撮影。遠くの被写体に迫っても解像感を保った写真が撮れます

 もうひとつPixel 7 Proのカメラだけが対応する機能に、被写体近く3cmの距離まで寄れる「マクロ撮影」があります。使い方はとても簡単で、Pixel 7 Proのカメラを被写体に近づけると自動で超広角カメラによるマクロ撮影に切り替わります。ディスプレイに表示される“花のアイコン”をタップすればマクロ撮影がオフになります。

Pixel 7 Proのマクロ撮影。被写体に最短3cmまでカメラを近づけて精細感の高いクローズアップ写真が撮れます

 超広角レンズを使って撮影する際、画面の四隅にゆがみが生じますが、Pixel 7 Proは撮影時にソフトウェア処理によってきれいに歪みを補整します。筆者はiPhone 13 Proに搭載されているマクロ撮影機能をよく使っています。軽くてコンパクトなスマホのメリットを活かせばアーティスティックな写真による表現の幅が広がり、意外に重宝すると思います。

 Pixel 7シリーズのカメラが共通に進化したポイントとしては、Tensor G2チップにより、夜景モードによる撮影スピードが向上していることも挙げられます。ただ、Pixel 6 Proの夜景モードと撮り比べてみたところ、明暗部の階調表現力はPixel 6 Proの方に余裕があるように感じられました。画質のチューニングについてはPixel 7シリーズの発売後も継続的に練られはずなので、期待したいと思います。

Pixel 6 Proの夜景モードで撮影。こちらも十分に満足な出来映え
Pxile 7 Proの夜景モードで撮影。被写体に対する合焦と、シャッターアイコンを押してから画像が生成されるまでのスピードがPixel 6 Proよりも格段に速くなっています
上位のBluetoothオーディオコーデックであるaptX Adaptiveにも対応するゼンハイザーのイヤホン「MOMENTUM True Wireless 3」との接続が、Pixel 7シリーズの場合はaptX Classicにダウングレードされてしまうのが残念です

今年もやっぱり「Proがオススメ」

 最後にPixel 7シリーズのBluetoothオーディオの仕様について報告します。高音質オーディオコーデックはaptX HDとLDACに対応していますが、ハンズフリー通話の音声品質向上にもつながるaptX Adaptiveには非対応です。

 Bluetooth対応のヘッドホン・イヤホンにはaptX Adaptiveをサポートするデバイスが増えているので、オーディオライターとしては最新のPixelシリーズが対応できなかったことが残念に思います。

 なお、新世代の音声規格「Bluetooth LE Audio」への対応については引き続き調査を続けたいと思います。

 独自開発のGoogle Tensorチップを載せて、デザインも完全に一新されたPixel 6シリーズが誕生した時の衝撃に比べると、Pixel 7/Pixel 7 Proのインパクトは少しマイルドに感じられるかもしれません。でもそれは見方を変えれば、グーグルのTensorチップによるイノベーションが熟れてきたことを意味しているのかもしれません。今後、グーグルがソフトウェアアップデートにより新しい機能を追加するほど、最新のTensor G2チップを搭載するPixel 7シリーズの「余裕」が明らかに見えてくることを期待したいと思います。

 筆者はレコーダーアプリによる音声自動文字起こしと、カメラを中心にPixel 7 Proを使うと思うので、欲を言えばもうひと回り小さく片手で操作しやすい6インチ前後のPixel 7 Proが欲しかったです。とはいえ4万1800円の価格差をしてもなお、今年も「PixelシリーズはProがおすすめ」であると太鼓判を押すつもりです。

 

筆者紹介――山本 敦  オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。

 

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