最新Core i7にMSIならではの冷却技術を組み合わせたコスパに優れるノートPC、MSI「Modern 14 C12M」
ASCII.jp / 2022年10月21日 11時0分
MSIと言えばゲーミングノートPCだが、実はビジネスモバイルも手掛けている。それもディスクリートGPUを搭載しない統合GPUモデルも存在する。軽く、薄い、今回はMSIのモバイルノートPC「Modern 14 C12M」を紹介しよう。
外観はスタンダードスペックだがビジネスのことをよく考えた機能性が魅力
Modern 14 C12Mは14型フルHDのビジネスモバイルで、製品名のとおり「Modern」シリーズの1モデルだ。Modernシリーズには、性能を求めたディスクリートGPU搭載モデルや、統合GPUでもより高性能なAMD Ryzen搭載モデルもある。一方、本製品はIntel CPU搭載モデル。シリーズ中でもとくにスタンダードな性格と言えるだろう。
サイズは319.9×223×19.35mm。狭額縁ベゼルの採用は当然だが、本製品の左右ベゼル幅はとくに狭く、14型でありながら幅32cmを切っている。奥行きは22cm少々、厚みは20cm弱なのでここは標準的と言えるだろうか。重量も約1.4kgなのでモバイル可能な重量である。
カラーリングは「アーバンシルバー」。個性の時代ではあるがビジネスにおいては悪目立ちはしたくない。そして清潔感はなにより重要だ。シルバーはブラックに次いでビジネスノートPCに適したカラーリングと言えるだろう。周囲の明るさに応じてホワイトにも見えダークグレーにもなる。
ディスプレイは14型で1920×1080ドット(フルHD)、ノングレアというビジネスモデルのスタンダードなスペックだ。ディスプレイベゼル部分はブラック。本体と同色のほうがシームレス感は高くベゼルの狭さを実感できる一方、ブラックの本製品は境界がハッキリし画面への集中力が高まる印象だ。正面からの色味はよいが、左右浅めの角度から見ると若干暗く感じたが、機密情報を扱うビジネスではこのくらいの視野角でよいのかもしれない。また、ディスプレイ上部ベゼルには92万画素のWebカメラを搭載している。
ディスプレイを開くと、普段使いの角度あたりでヒンジの端が本体をリフトする。適度なチルト角がつき、キーボードの入力もしやすい。また、ディスプレイは180°まで開くことができ、ファンクションキーのひとつに表示画面の180°回転機能を割り当てている。こうした使い方は商談などのビジネスシーンでよくあるものだ。この操作をモタつくことなくスムーズにできるのは勝手がよいと感じた。
キーボードは10キーレスの日本語配列だ。日本語配列としてはスタンダードなキー配列と言えるだろう。従来製品ではEnterの右にもう1列キーを設けていたが、本製品ではこれを廃している。Enterの打ち間違いがなくなり、各キー間に適度なスペースも生まれ、スタンダードだが入力しやすいキーボードに仕上がっている。まだ左CtrlとFn、「¥」とBack Space、「}」とEnterなど、キーとキーの間が詰まったものもいくつかある点には慣れが必要だが、このくらいなら苦労しないですむだろう。
インターフェースは、USB 3.2 Gen2 Type-C×1、USB 3.2 Gen2 Type-A×1、USB2.0 Type-A×2、HDMI×1、microSDカードリーダー×1、ヘッドホン/マイクコンボジャック×1。高速なUSB 3.2 Gen2を備えており、キーボードやマウスなどの接続に便利なUSB 2.0もある。microSDカードリーダーも搭載しているのはありがたい。欲を言えば標準のSDカードリーダーならよりよかったが、たとえばSDカード機器をmicroSD+SD変換アダプタで運用するといった方法なら本製品のmicroSDカードリーダーで読み取ることが可能になる。
なお、本体にはACアダプタ用ジャックを備えているが、USB 3.2 Gen2 Type-C端子はUSB PDに対応しており、こちらでも充電可能だ。
バッテリーはリチウムイオンで3セル、容量は39.3Whだ。14型クラスでは60Wh、70Whといった大容量バッテリー搭載モデルもある中で、本製品の39.3Whはやや少なめと言えるだろう。公称駆動時間は約7時間。ベンチマークを用いた駆動時間テストは後ほど紹介するが、長時間駆動をウリにするモデルではない。平均的なモバイルニーズなら問題ないと思われるが、もっと外で使いたいという方はUSB PD充電器を携行したり、USB PD対応モバイルバッテリーを携行したりといった工夫をしたい。USB PDについては高速充電にも対応している。本体バッテリー容量が小さいこともあり、バッテリーベンチマークで空になった状態からUSB PD充電器をつなぎ、しばらく目を離していた間に95%まで充電できていた。こまめに充電すれば、そこまでバッテリーに苦労しないと思われる。
なお、バッテリー駆動の比率が高い使い方では、バッテリーをいかに劣化させないかも重要だ。よくあるのが100%まで充電せず80%程度に抑える手法。本製品もこれに対応しており、ユーティリティの「MSI Center Pro」から設定可能だ。
コスパを重視しつつも最新スペックでメモリも大容量
CPUはC12MのとおりIntel第12世代のCore i7-1255Uを採用している。第12世代Coreはハイブリッドアーキテクチャの採用が特徴だが、Core i7-1255Uは高性能なPコアを2基(4スレッド)、高効率なEコアを8基組み合わせた10コア12スレッドの仕様となっている。モバイル向けに消費電力が大きなPコアは少なめ、一方でEコアをフルに搭載してマルチスレッド性能を高めたコンフィギュレーションだ。
メモリはDDR4-3200で8GBまたは16GB。オンボード仕様だ。今回試す「Modern-14-C12M-605JP」は16GBで、もうひとつの「Modern-14-C12M-603JP」は8GB。また、Modern-14-C12M-603JPのほうがメモリ搭載量は少ないのだが、Microsoft Office Home & Business 2021をバンドルしているためこちらのほうが少し価格は高い。
グラフィックス機能は前述のとおりCPUに統合されたIntel Iris Xe Graphicsを利用する。Intel UHD Graphics時代よりも性能は向上しているが、ゲーミング向けの性能ではない。ごく軽量のカジュアルなゲームを楽しむことは可能だが、基本的に本製品はビジネス用途と割り切るのがよいだろう。
ストレージはM.2 NVMe SSDで512GB。一般的なビジネスモデルよりも少し余裕がある。一方、業務によってはこれでは足らないという場合もあるだろう。そうした方にはMSI公認サポート店にて、ストレージ増設が可能だ。転送速度はシーケンシャルリードで2.5GB/s、同ライトで1.2GB/s。4KランダムQ1T1リードも60MB/s程度で、NVMe SSDとしてはそこまで高速というわけではない。ただし、通常使用においては十分なレスポンスだ。
オフィスアプリや写真補正など「重め」の作業も快適
Modern 14 C12Mのパフォーマンスをベンチマークで見てみよう。使用したのはMAXON「CINEBENCH R23」、UL「PCMark 10」、「3DMark」、「Procyon」。電源設定は最適なパフォーマンス、MSI Center Pro側は「ハイパフォーマンス」。
CINEBENCH R23のスコアはCPU(Multi Core)が9224pts、CPU(Single Core)が1789pts。第12世代Coreとしては比較的コア数、とくにPコアを絞ったCPUだが、それを考えれば9000ポイント台のマルチスレッド性能は十分なスコアだろう。5年以上古い2コア4スレッド時代、数年前の4コア8スレッド時代の「U」SKUモバイルCPUと比べれば倍以上のスレッド性能だ。また、シングルスレッド性能もクロックを抑えた「U」SKUとしては高い。こうしたスコアのとおり、通常のアプリケーション起動やデスクトップ操作でも機敏だ。
PCMark 10では、Overallが5430。Essentialsは10417、Productivityは7409、Digital Content Creationは5631だった。おおむね想像どおりと言えるだろう。ホームシナリオのEssentialsがとくに高いが、このシナリオには昨今のビジネスで機会が増えているビデオチャットなども含まれている。Digital Content CreationはディスクリートGPU非搭載ということもあり3Dが関係するRendering and Visualizationスコアが低かったものの、CPU処理中心のPhoto Editingスコアは高い。ビジネス資料作成などで写真やイラストの加工を行なうような用途は十分に対応可能だ。
3DMarkはFire Strikeが3539、Night Raidが13639、Wild Lifeが9562といったスコアだった。仮に3Dゲームを楽しむなら解像度を1280×720ドットにとどめ、画質も軽めの設定といったところだろう。たとえばファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークを1280×720ドット、標準品質(デスクトップPC)で計測したところ8001ポイントで「快適」評価、57.7fpsを得られた。
ビジネスモデル、とくにPCMark 10でPhoto Editingスコアがよかったことから、ProcyonのPhoto Editingベンチマークで実際にAdobe PhotoshopやLightroom Classicを使った場合にどの程度の性能が得られるのか見てみた。こちらのスコアは5871。なお、ProcyonにはOfficeベンチマークもあるが、こちらは完走していない(本製品の問題ではなくほかの製品も同様)。WordやExcelのテストは問題なく動作しており、その部分については軽快なレスポンスだった。
最後にバッテリー駆動時間をPCMark 10のModern Officeシナリオで計測したものを紹介しておこう。OSの電源設定をバランス、MSI Center Pro側もバランスを指定しディスプレイ輝度100%の際はスコアが6905、駆動時間が5時間15分。快適な性能&輝度ではこのくらいだが、電源設定をトップクラスの電力効率、MSI Center Pro側をSuper Battery、ディスプレイ輝度を最小から一段回引き上げたところで同テストを実施したところ、スコアが6788、駆動時間が7時間5分となった。バッテリーセービングを心がければ2時間弱も駆動時間を延長できている。
なお、パフォーマンス設定ではCPUスコアがよく、バランス以下バッテリーセーブ寄りの設定では静かだった。まず冷却機構。同社ゲーミングノートPCでは左右で2基のファンを搭載するが本製品は1基。熱源のCPUからは2本のヒートパイプが熱を輸送する。ファンとヒートシンクは背面から見て左寄りにあり、そのヒートシンクも14型としては大き目だ。また、性能についてはソフトウェアからもアシストする。MSI Center ProにあるSmart Priority(スマートプライオリティ)がパフォーマンスを求めるアプリケーションに優先度を付与する。
コストパフォーマンスは抜群。USB PDを駆使すればより快適に
Modern 14 C12Mは最新Core i7にMSIならではの冷却技術を組み合わせ、CPUが持つ性能を最大限引き出せる。一方の価格も本製品の魅力だ。「Modern-14-C12M-605JP」は実売価格11万6800円前後。もうひとつの「Modern-14-C12M-603JP」が13万4800円前後だ。昨今のPC価格としてはかなり攻めている。コストパフォーマンスという点においては抜群によい。そしてモダンデザインはたしかにビジネスにマッチするだろう。
一方、薄さ軽さの点ではそこまで攻めてはおらずスタンダードの域だ。ここを求めるユーザーニーズとは少々異なる。また、モバイルとして本製品を上手に使うなら、バッテリーとの付き合い方を検討しておくとよいだろう。まず、最近のノートPCとしてはやや短めだが、よくある1日の外回り業務であれば問題ないと思われる。しかし、長時間の外回りや出張などでさらなる長時間駆動を求める場合は、USB PD充電器を用いたり、USB PD対応のモバイルバッテリーを併用したりといった工夫で解決したい。
Modern 14 C12Mシリーズ詳細ページ MSIサイト
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