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Nokia vs. OPPOの訴訟は、OPPOの敗訴でドイツ市場から撤退も、世界で争いは続く

ASCII.jp / 2022年10月15日 12時0分

 OPPOは8月、ドイツでのスマートフォン販売を停止した。Nokiaが現地で起こしていた特許訴訟にOPPOが敗訴し、販売差し止めとなったからだ。中国でのスマートフォン市場が縮小する中、OPPOには大きな打撃となりそうだ。

OPPOのドイツ版サイト。製品情報はすでに消えており、Q&A形式ですでに販売したサポートは提供すると記されている

Nokiaに敗訴、ドイツ市場から姿を消したOPPO

 8月初め、OPPOとOnePlus(OPPOのサブブランド)がドイツ市場から姿を消した。スマートフォン特許に明るいFlorian Mueller氏は、「特許訴訟の結果、大手スマートフォンメーカーが世界有数の市場であるドイツから撤退した」とし「歴史的に見ても初めて」だと記している(http://www.fosspatents.com/2022/08/shocking-nokia-patents-other-lawsuits.html)。

 OPPOとOnePlusの2022年Q2での世界シェアは10%で、4位となっている(https://www.counterpointresearch.com/global-smartphone-share/)。ドイツは年2200万台程度のスマートフォンが販売される市場で、サムスン、アップル、シャオミ、ファーウェイが強く、OPPOとOnePlusを合わせても2%程度だ(https://gs.statcounter.com/vendor-market-share/mobile/germany)。

 OPPOとNokiaの特許訴訟はマンハイムとミュンヘンの2地区で展開されている。Nokiaはここで、5G関連の特許2件について、OPPOとOnePlusがライセンス料を支払うことなく使用していると主張していた。

 特許は、オーディオコーディングに関連する「ピッチラグ予測」(EP2080193)、効率的な不連続通信のための手法および装置で”キープアウェイクメッセージ”によるリソースの柔軟な割り当てに関するもの(EP3557917)が中心。

 NokiaとOPPOは2018年にライセンス契約を交わしていたが、2021年に契約期間が終了。その後もOPPOは更新なしに特許を使い続けているという。

 裁判所はNokiaの主張を支持、OPPOにドイツでの販売停止を言い渡した。OPPOのスマートフォンとスマートウォッチは店頭から姿を消した。

 現在、OPPOのドイツサイトにアクセスすると、同社が公式パートナーを務めるUEFAチャンピオンズリーグの写真があり、下に「製品情報は利用いただけません」というメッセージが表示される。Q&A形式で、OPPO製品は継続して利用でき、サポートやアップデートも受けられると伝えている。

国際展開進めてきたOPPOにとっては大きなつまづき

 OPPOは2004年創業で、多くの中国のモバイル端末ベンダー同様、当初はMP3プレイヤーなどを製造しており、2011年にスマートフォン市場に参入した。中国では20代など若年層を中心に人気に火がつき、事業見直し期にあったシャオミの低迷もあって2016年には中国市場のトップに立った。

 2016年の成長率は2倍以上で、その後も販売台数のレベルを維持したものの、ここ数年は中国市場全体の縮小とともに減少傾向にある。

 シャオミと同様、OPPOは国内で成長した後は国外に拡大を始めた。タイやインドなどに進出した後の2018年に欧州で販売を開始。同年、日本にも上陸した(米中関係もあり、米国では展開されていない)。

 現在、同社の売上の半分が中国外からとなっている。そのうちドイツ市場が占める比率は少ないとしても、中国市場が急減速していることを考えると、打撃であることに変わりはない。NokiaはオランダでもOPPOに勝訴している。

2022年第2四半期は前年同期比10%減となった中国スマホ市場

 急ピッチで成長してきた中国のスマートフォン市場だが、そもそものスマートフォンの普及や買い替えサイクルの長期化などが市場に影響を与えている。

 Canalysによると、2022年第2四半期の中国スマートフォン市場は前年同期比10%減少となった。「618」こと6月18日のECイベントもあったが、2021年のレベルには至らなかったとCanalysは記している。

 OPPOは、OPPO Find X5シリーズなどのハイエンドを投入しているが、コロナ禍の影響を受けて変化する市場のニーズとの乖離があったようだ。出荷台数は前年同期から30%も減少し、シェアは18%に。

 10月、米特許商標庁(USPTO)の特許審判部はOPPOの請願を受理し、Nokiaの特許の審査を開始した。特許審判部は特許の有効性を調べるものとなり、OPPOはNokiaとの特許訴訟を米国に拡大する可能性があるとMueller氏は記している(http://www.fosspatents.com/2022/10/oppo-lands-several-punches-as-nokia-has.html)。

 

筆者紹介──末岡洋子

フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

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