外付けSSDの転送速度をM2 MacとM1 Macで比較
ASCII.jp / 2022年10月28日 16時0分
PCに限らず、タブレットやスマホの外付けSSDのイチオシとなる「Samsung Portable SSD」シリーズ。これまでも、そのパフォーマンスや、便利なセキュリティー機能などの魅力をお伝えしてきたが、そのパフォーマンスをMac環境でガッツリと測ったのは、かれこれ1年も前だった。環境もM1 MacとインテルMacで、macOSは Big Surだったので再計測することにした。
カラバリに心惹かれるM2チップを搭載した最新「MacBook Air」と、M1搭載「MacBook Air(2020)」とともに、最新Samsung Portable SSDを用意した。macOSは、macOS 13となるVenturaが登場しているが、テスト時はまだベータ提供だったので、ここではmacOS Monterey 12.6を使用した。
最速のThunderbolt 4/USB4の外付けSSDも検証!
パフォーマンスをチェックする外付けSSDを紹介しよう。まずは対応デバイスが多いUSB 3.2 Gen2インターフェースを採用し、リード最大1050MB/sec、ライト最大1000MB/secの性能を備える「Samsung Portable SSD T7 Shield 1TB」(以下、T7 Shield)。高速な外付けSSDとして、すでに流通在庫のみになっているが、リード最大2800MB/sec、ライト最大2300MB/secという高速性で、Macの外付けストレージとして愛用している人が多いThunderbolt 3インターフェース採用の「Samsung Portable SSD X5 1TB」(以下、X5)。そして最速の一角に位置するSamsungのPCIe4.0対応NVMe M.2 SSD「980 PRO 1TB」と、Thunderbolt 4/USB4対応SSDポータブルケースの玄人志向「GWM.2NVMe-40GC」で組んだ最速の外付けSSD(以下、980 PRO外付け)の3製品を用意した。
ベンチマークでパフォーマンスをチェック
1年ぶりとなるMac外付けSSDのパフォーマンスチェックに進んでいこう。ベンチマークアプリは、Katsura Sharewareの「AmorphousDiskMark 4.0」と、Blackmagic Designの「Blackmagic Disk Speed Test」を使用している。また、Mac環境はファイルシステムで、外付けSSDのパフォーマンスが変化(AppleシリコンとインテルMacでも)するのは、Macユーザーに広く知られていることで、これまでもいくどかパフォーマンスチェックを行なう要因にもなっている。
今回も、外付けSSDのファイルシステムには、Windows OSなど環境を選ばずにファイルをやり取りできる「exFAT」と、SSDに最適化されたMac標準ファイルシステムとなる「APFS」の2種類で、それぞれ計測している。
最速の読み書き性能を発揮するTB 4/USB4エンクロージャー
さっそく、結果を見ていこう。まずは、AmorphousDiskMarkの結果からだ。シーケンシャルの「SEQ」に加え、ランダムの「RND」の読み書き性能も計測。さらに複数の読み書き命令を受け取り、同時に処理することで、SSDを高速化させるNCQ(Native Command Queuing)の性能向上も計測できる。AmorphousDiskMarkは、デフォルトでSEQがQD(命令数)8、RNDがQD64で処理した際のリード・ライトの計測も行なっている。
ファイルシステムでの性能差はもちろん、リード、ライト3000MB/secという圧倒的なパフォーマンスを発揮した980 PRO外付けSSDも注目だが、最も注目なのは汎用性の高いUSB 3.2 Gen2インターフェースを採用する外付けSSDのT7 Shieldが、M2 Macで読み書き速度が大きく向上している点だろう。M1 Macに完全勝利とはいかないが、exFAT、APFSともに向上しているので、Windows PCなどとデータ交換する人も、APFSを使ったデータストレージに使いたい人も注目だ。
そして最速となる980 PRO外付けSSDも見逃せない。実売価格は980 PRO 1TBが1万9000円前後で、玄人志向 GWM.2NVMe-40GCは1万8000円前後となっているので、3万7000円前後で最速クラスの1TB 外付けSSDを作れるわけだ。M2 MacBook AirのCTOでは、8コアCPU、10コアGPU、512GBモデルから1TBへの変更は、プラス2万8000円となっているので、CTOしたほうが投資額は安価だが、980 PRO外付けなら標準搭載の512GB+1TBなので、これから買う場合も悪くない選択肢ではないだろうか。
X5を含め、Thunderbolt 4/USB4接続時に、書き込み速度が大幅に向上している点も注目だ。データの保管や、バックアップに使いたいのに、肝心の実効書き込み速度がUSB 3.2 Gen2の外付けSSDと同じだっただけに、M2 MacでThunderbolt 4/USB4外付けSSDの実用度は復活したかも知れない。
また、ファイルシステムの違いは、QDの結果で大きくなっているのがわかるだろう。M2 Mac、M1 Mac、さらにインテルMacに関係なく、写真、動画などのデータ保管先、Time Machineでのバックアップ先などに使うなら、APFSでフォーマットするのがおすすめだ。
Blackmagic Disk Speed TestもM2 Mac有利に
続いて、シーケンシャルアクセス速度を計測するBlackmagic Disk Speed Testの結果を見ていこう。
M2 Macが、M1 Macよりも高速なパフォーマンスを発揮する傾向は同じで、T7 Shieldの書き込み速度はexFAT、APFSともに120%台になっている。また、ファイルシステムでは、AmorphousDiskMarkほどの顕著な差は見られないが、APFS使用時は書き込み速度がアップする傾向が見られる。
ただ、Thunderbolt 3接続のX5の書き込みのみ、M1 Macが両ファイルシステムで大きく性能を伸ばしているのが、気になるところだ。
実ファイルのコピーをチェック M2 MacのほうがM1 Macより1秒程度早い
最後はRAWデータや、動画などの実際に使っているファイルを、外付けSSDとM2 Mac、M1 Macでコピーし、コピーに要した時間をチェックしてみた。
外付けSSDのファイルシステムはベンチマークと同じ、exFATとAPFSの両方を使用。コピーに使ったファイルには、273枚RAWデータを入れた5.5GBのフォルダー、容量5.75GBのmp4動画、49.7GBの1つの圧縮ファイルの3種類を用意した。コピーはMac→外付けSSD、外付けSSD→Macをそれぞれ3回実行して、平均を出している。
ファイルのコピーには、Mac標準ストレージの転送速度も影響してくる。まずは、AmorphousDiskMarkとBlackmagic Disk Speed Testで標準ストレージのパフォーマンスを計測した。
3000MB/sec近い読み書き性能を発揮した980 PRO外付けでは、Mac標準ストレージの速度が多少影響するだろうが、M2、M1 Macともに十分高速と言えるストレージを搭載しているので、問題ないだろう。
ファイルコピーの結果を見ると、外付けSSDのパフォーマンスアップがそのまま影響して、M2 Macがだいたい先にコピー完了している。267枚、5.5GBのRAWデータでも、その差は1秒程度なので日常使いではあまり体感することはないが、速いことに越したことはない。
M2 Macでそのパフォーマンスを伸ばしたUSB 3.2 Gen2インターフェースのT7 Shieldは、実ファイルのコピーでもしっかりと性能アップを見せている。とくに数GBクラスでは微々たる差だが、50GBクラスの大容量ファイルだと、M1 Macとの速度差が顕著に出ており、体感できる差になっている。日常的に数十GBのファイルを外付けSSDにコピーするシーンは少ないが、見逃せないところだ。先日発表されたM2を搭載したiPad Proでも、この傾向が見られるのか少し気になる。
外付けSSDで容量不足はサクッと解決
CTOでストレージ容量を増やしたいが、価格を見て1TBの選択枠をクリックする指が硬直、512GBをクリックしていたなんてこともあるMac。しかし、ガッツリと使い始めると、撮りためた写真、動画などでどんどんストレージ残容量は減っていくもの。そんなときにイチオシなのが、外付けSSDになるわけだが、M2 Macではパフォーマンスが向上。最新かつ高速なThunderbolt 4/USB4インターフェースだけでなく、USB 3.2 Gen2の外付けSSDも、扱いやすいだけでなく実性能向上と魅力がアップする。
Macのストレージ容量不足で悩んでいる人は、Samsung Portable SSD T7 Shieldや、NVMe SSD 980 PROとエンクロージャーを使った外付けSSDを使って解消しよう。
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