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「Adobe MAX 2022」注目の新製品・新サービス、アップデートまとめ

ASCII.jp / 2022年10月22日 12時0分

基調講演に登壇したCEOのシャンタヌ・ナラヤン氏。3年ぶりのリアル開催を喜ぶとともに、アドビのこれまでの歩みを振り返った

 アドビのクリエイター向けイベント「Adobe MAX 2022」が10月18日、19日、約3年ぶりに米国ロサンゼルスで開催された。コロナ禍で2年間はオンラインでの開催を余儀なくされたが、今年はハイブリッド開催となり、6000人を超えるクリエイターが会場となったロサンゼルスコンベンションセンターに足を運んだ。

 100以上のオンラインセッションと200以上の対面セッションが実施され、アーティストのジェフ・クーンズ氏、映画監督のシアン・ヘダー氏、コメディアンのケヴィン・ハート氏、ミュージシャンのスティーヴ・アオキ氏ほか著名人も多数登壇した。

 19日、20日には日本向けのオンラインイベントも開催された。こちらには篠原ともえさんやチームラボの堺大輔氏、工藤岳氏、TikTokクリエイターの修一朗氏、芸人のアタック西本氏らが参加。30以上の日本オリジナルセッションも用意された。

AIによるアップデートが続々 話題の「Generative AI」にもアプローチ

 アドビ40周年の節目となる今年の主要テーマは「精緻さとスーパーパワー」「スピードと手軽さ」「コラボレーションによるクリエイティブワーク」。1つ目の「精緻さとスーパーパワー」は、主にアドビの人工知能AIエンジン「Adobe Sensei」によってもたらされるものだ。Photoshop、IllustratorなどAdobe Creative Cloud製品の多くで、AIによって作業を効率化できるアップデートが発表されている。

 近年AIの開発を加速しているAdobeだが、基調講演ではテキストから画像を作成するなど、今話題になっている「Generative AI」についても言及。フェイク防止やクリエイターの権利保護を目的にとした「コンテンツ認証イニシアティブ(CAI)」を活用し、新しい研究に投資することで、クリエイターのためのGenerative AI製品の開発にアプローチしていくことも明らかにされた。

「Adobe Substance 3D Modeler」のデモ。VRヘッドセットを装着してモデリングすることで、直感的な作業が可能になり作業効率が高まるという

 このほか、3D制作ツール群「Adobe Substance 3D Collection」には、新たにモデリングツール「Adobe Substance 3D Modeler」が追加された。PCとコントローラ付きのVRヘッドセット(Meta Questに対応)をシームレスに切り替え、没入型の空間で直感的な操作でモデリングができる。また「Adobe Substance 3D Sampler」でも、画像から直接3Dモデルを作成する3D Capture機能が強化されている。

「Adobe Expressはコンテンツを編集してSNS投稿する作業をスピーディーにこなしたいクリエイターにとっても、パワフルなツール」と説明するベルスキー氏

 2つ目の「スピードと手軽さ」の中心は、「Adobe Express」だ。クリエイティビティの民主化を目指すアドビが、昨年末から提供を開始したWEB&モバイルで利用可能なクリエティブツール。多くのテンプレートが利用でき、誰もが簡単に本格的なコンテンツを作成できる。「Adobe MAX 2022」にあわせて、非営利団体向けに「Adobe Express」の有料プランを無償提供する取り組みも発表された。

「レビュー用に共有(ベータ版)」では、作業中の画面から制作物を簡単に共有できる

 3つ目の「コラボレーションによるクリエイティブワーク」では、コロナ禍に強化されたオンラインでのコラボレーション機能を、さらに手軽かつスピーディーに使えるようになった。Photoshop、Illusurator、Indesignには「レビュー用に共有(ベータ版)」機能が追加され、作業中のデータを画面を切り替える手間なく、素早くシェアできる。シェアされたメンバーはWEB上で確認してコメントを書き込むことができ、必要であればピンや矢印、マルなどで指示も出せる。その内容はクリエイターのツール上にリアルタイムに通知されるしくみだ。

フィードバックも使用中のツールから画面を切り替えることなく、確認できる

 映像コラボレーションツールのFrame.ioも、現在ではAdobe Premiere Pro、Adobe After Effectsからシームレスに利用できるようになっている。フレームに付けられた指示やコメントを、作業中の画面から確認することが可能。加えて今回、富士フイルムとRED製カメラが、データの直接アップロードできる「Camera to Cloud」に対応したことも発表された。

アドビCreative Cloud担当エグゼクティブバイスプレジデント兼CPOのスコット・ベルスキー氏(左)と、FigmaのCEO、ディラン・フィールド氏(右)

 基調講演ではこのほか、アドビが9月に買収を発表したFigmaのCEO、ディラン・フィールド氏も登壇。ウェブベースのデザインツールを提供する同社だが、「アドビのチームと協力し、その技術を活用することで、より速く新たな機能を追加できると考えている」とさらなる成長への期待が語られた。このほか「コンテンツ認証イニシアチブ」と、ニコンとのパートナーシップも発表。また日本ではUUUMの協力のもと、動画製品のマーケティング活動を強化することも明らかにされている。

アドビが主導する「コンテンツ認証イニシアチブ」のブースには、ニコンとライカが来歴を記録できる技術を備えたカメラを参考出展した

Adobe Creative Cloudの主なアップデート

Adobe Photoshopでは「オブジェクト選択ツール」で、植物や空、建物、道路など複雑なオブジェクトも選択できるようになる

●Adobe Photoshop  Photoshopでは最もよく使用されるツールのひとつ「オブジェクト選択ツール」で、AIによる自動選択の範囲が拡張されている。植物や空、建物、道路など複雑なオブジェクトも選択できるようになり、髪の毛などのディテールもしっかりキープできる。選択したオブジェクトの削除や塗りつぶしもワンクリックでできるようになっている。また古い写真を復元できるニューラルフィルターも追加された。

・オブジェクト選択ツールの向上 ・ワンクリックで削除と塗りつぶし ・背景の削除(iPad版) ・「写真を復元」ベータ版 ・「レビュー用に共有」ベータ版

●Adobe Lightroom  より画像の特定の部分をより簡単に選択できるようになり、特定の人物の肌を滑らかにする、歯の白さを補正するなど細かい部分の編集がやりやすくなった。またPhotoshopでやるように、邪魔なオブジェクトの削除も簡単にできる。

・マスキング選択の強化 ・オブジェクトの選択 ・コンテンツに応じた削除 ・アダプティブプリセット ・比較中に編集

●Adobe Illustrator&Adobe Indesign  新機能の「クロスと重なり」で、イラストとテキストの重なりや前後の配置を簡単にコントロールできるようになった。テキストをアウトライン化せずに作業できるため、あとから文字やフォントの変更もできる。 またAdobe InDesignとAdobe Illustrator間でのコピー&ペーストが使いやすくなった。

「Adobe Illustrator」では新機能の「クロスと重なり」で、イラストとテキストの重なりや前後の配置を簡単にコントロールできる

・クロスと重なり&3D機能の強化 ・クイックアクションの追加 ・3D機能の強化 ・グラデーションスナップ、タッチ機能強化、ファイル名変更&保存機能(iPad版) ・IllustratorとIndesignとの連携強化 ・「レビュー用に共有」ベータ版

●Adobe Express  リリースから今まで多くのアップデートが実施されているが、最近ではAdobe Creative Cloudと同様にAIを用いた機能が強化されている。おすすめのテンプレートやフォントの提案など、より速く簡単にコンテンツが作成できるようになっている。

・テンプレート&フォントの提案 ・背景の削除 ・画像の入り抜きの精度向上

●Adobe Fresco ・自由変形&リキッド化 ・ベクターアウトラインとエアーブラシ ・無制限のブラシ履歴 ・画像からの自動カラーパレット作成

●Adobe Premire Pro ・境界線のアライメントコントロール ・モーショングラフィックス・テンプレートが2倍速く

●Adobe After Effects ・H.264のネイティブエンコード ・トラックマットレイヤーの選択 ・コンポジション・プリセットの刷新と50以上のアニメーションプリセットの追加

●Adobe Character Animator ・モーションライブラリー

●Adobe fonts ・日本語フォントの追加 ・Adobe Expressとの連携強化

●Adobe Stock ・新素材の追加 ・PNG形式でのダウンロード ・クイックアクションの追加

 

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