クリエイターのためのTikTok企業案件マネタイズ座談会
ASCII.jp / 2022年12月20日 11時0分
100組のTikTokクリエイターを対象に、3ヵ月で総額約3000万円の制作支援金、さらに人気クリエイターによるセミナーや参加者同士の交流にてノウハウの共有がなされるなど、次世代のTikTokクリエイターを発掘、支援することを目的にしたプログラム「TikTok creator academy」。
本連載では、2022年7月~9月で実施されたTikTok creator academy第2期で行われたセミナーの模様をレポート! 第10回となる今回のテーマは、TikTokクリエイターとメディアマーケターによる「TikTokにおけるマネタイズ座談会」。
*以下記載内容はクリエイター・マーケター個人の見解であり、TikTokの公式見解ではありません
今回の講座内容は、以下のようなものになっている。
【 第10回講義のまとめ】 ・クリエイターとマーケターが語るマネタイズ ・TikTokにおけるマネタイズの軸はPR動画 ・PR動画で好まれるクリエイターの資質 ・案件をもらい続けるための工夫と意識 ・この先意識していく必要があるのは「質の高い動画を投稿して消えていかないこと」
クリエイターれもんえいみさんとマーケター原田さんが語る企業案件
第10回目となる今回は、座談会形式で「マネタイズの秘訣」という、これからTikTokクリエイターとして活躍していきたいと思っている人なら、誰もが気になるテーマが取り上げられた。
講師として登場したのは、「●●な女」と題したあるある動画を多数投稿しているTikTokクリエイター「れもんえいみ」さん、そしてソーシャルメディアマーケティグを多数手掛ける株式会社TORIHADAの原田直道さん。第9回でも講師をつとめた「しんのすけ」さんを司会に、PR動画を実際に手掛けるクリエイター側と、広告を提案する側であるマーケター側それぞれの立場から、TikTokにおけるマネタイズの方法や、注意点などが語られていった。
れもんえいみさん。TikTokデビューは2020年4月で11月現在のTikTokフォロワー数は46万人。4コママンガを思わせる動画シリーズ「●●な女」シリーズが人気で、PR動画の依頼は多数舞い込んでいる。
株式会社TORIHADAの社員である原田直道さん。TikTokにおける広告動画や配信なのどの企画提案チームを束ね、TikTokクリエイターを起用した広告宣伝の企業に提案する業務を担っている。
司会進行役は映画紹介系TikTokクリエイターとして有名なしんのすけさんが務めた。
TikTokにおけるマネタイズの軸はPR動画
最初のテーマは、TikTokにおけるマネタイズの具体的な方法について。原田さんは大前提として「TikTokという土俵の中では、PR動画やハッシュタグチャレンジが主流」だと説明をした。
1年前からそうした依頼はかなり増えていて、金額ベースで比較すると3~4倍に増加しているという。それだけ企業がTikTokの価値を認めたということであり、今後もさらに大きな市場になっていくだろうと語る。
一方、れもんえいみさんが初めてPR動画を手掛けたのは、TikTokを初め3ヵ月後の2020年7月。当時は「TikTokでお金が稼げることも知らずに始めた」というだけに、企業からの依頼メッセージに驚いたそうだ。
そこからしばらくは月イチペースでPR動画の案件を企業と直接行ってきたれもんえいみさんだが、安定的な収入源とするにはほど遠い収入だったそう。それが激変したのは、2021年の1月に事務所に所属してから。事務所側の営業の成果もあり、月に2~3本程度の依頼がコンスタントに舞い込むように。マネジメントを任せられるようになったことで、物心両面でかなり負担が減ったという。
れもんえいみさんは、こうした案件増加の理由は、広告を出稿する企業側の「TikTokというプラットフォームへの信頼感が増したこと」にあると分析。TikTokがローンチしたての頃は、企業としてもTikTokがマーケティングに活用できるプラットフォームなのかどうか見極めていたのだろうと説明。それが、TikTokの社会的認知が進むにつれて、PR案件依頼がくるようになったと実感。現在では、依頼の半分くらいはお断りしているほどの盛況ぶりだという。
PR動画で好まれるクリエイターの資質
どんなクリエイターが案件を発注する企業に好まれるのかという点についても語られた。
原田さんは「企業へのアピールポイント(提案方法)は“どれだけ再生数が回るか”と“クリエイターとクライアント企業との親和性の一致”が肝心」であると説明。
再生回数が多ことに加えて、それがいかに広告の効果に結びつくかが大事というワケだ。
クリエイターとしてれもんえいみさんが規式しているのは、自分の好き嫌い。そう聞くとわがままのようにも思えるが、言い換えれば、自身のブランドは自分で構築していく必要があるということだ。TikTokの場合、競合他社の商品にNGが設けられるわけではないため、現状ではクリエイターの判断任せ。れもんえいみさんの場合、同じジャンルの商品が連続しないよう意識しているのだという。
企業へと提案する案件の金額についても言及があった。結論からいうと「相場はまちまち」だそうだが、金額の算出方法は変化してきていると原田さんは語る。「かつてはフォロワー数に応じて金額を極めていましたが、現状ではフォロワー数と再生数とをかけ合わせて提案することが多い」のだそうだ。フォロワー数と再生数は一致するわけではなのが判明したこと、そして前述のように広告の効果を意識したためだろう。
着実に増加しているPR動画についてれもんえいみさんは、「1年前にくらべるとおすすめフィードにPR動画が登場する割合いはかなり増えた」と実感。しかしその分、PR投稿でユーザーの心をつかむことに骨を折っているともつぶやいた。れもんえいみさんの場合は、女性心理の「あるある!」な共感に訴える場合と、インパクトを狙った奇想天外な動画と両極端を、案件の商材やクライアントの要望によって使いわけるという。
原田さんとしても「クライアントとしては商品を買ってほしいのが第一。しかしクリエイターの強みを活かさないと広告も生きない」とコメント。そうした両者の間を取り持った提案するのがコーディネーターの仕事であり、そのためにはクリエイターのファンであるユーザーのコメントのトーンにも目を配っているのだという。
案件をもらい続けるための工夫と意識
刻々と変化しつつあるTikTokと企業広告の関係性。そんな中で、どうしたら案件を安定してもらい続けられるかについても語られた。
原田さんまず、広告の役割としては
1:名前を知ってもらう 2:内容を知ってもらう 3:実際に使ってもらう
の3フェーズがあると解説。この場合、2の部分がTikTokでの役割となる。商品の内容を理解をしてもらうためには、“生きた言葉”を持った動画が重要だという。特にTikTokは音声ありで視聴するケースが多いので、テロップだけでの訴求は難しいのだそう。「業界的にはしんのすけさんのように(ジャンルに捕らわれすぎず)広く商品紹介ができる人を求めている。コスメなど競合する投稿者が多いジャンルよりは、ニッチな分野でのオンリーワンを狙う作戦もある」と付け加えた。
れもんえいみさんも、キャラクターとしての“トンマナ(一貫性)”はとても意識するそう。「普段はダンス動画を投稿している人が踊らないRR動画を出しても違和感となる」とした。また、案件動画の投稿後は、コメント返しを積極的にする、ライブ配信をするなど、再生数を伸ばすための意識は強くも持っているそうだ。
結論としては(キャラクターを持ったクリエイターが)実感を持ってしゃべるのが最良であるというわけだ。
この先意識していく必要があるのは「質の高い動画を投稿して消えていかないこと」
クロストークの終わりに語られたテーマは、ここまでの話題を踏まえた上で、今後どうしていったらよいのかという点。
れもんえいみさんが真っ先に上げたのは「炎上しないこと」。仕事として安定した動画を提供するには、自身や商品のスタンスも含めたバランス感覚が重要との考えであり、また社会的に大きな出来事が起きた日には、予定していた投稿を延期するケースもあるという。自身の展望としては、「質の高い動画を投稿して消えていかないこと」だと本音で語ってくれた。
れもんえいみさんの発言には原田さんも同意を示して「以前はクリエイターが少なかった分、投稿した動画で多少のボヤ騒ぎが起きてもどうにかなった。しかし、クリエイターや代理店の増えた昨今では安定して動画を提供できる信頼性が大事であると説明。企業案件において今後はより、クリエイター側の道徳観が求められるケースが増えていくだろうと結んだ。
本連載では、今後もTikTok creator academy 第2期で行われた講座内容を紹介していく予定だ。
TikTok creator academyとは?
TikTok creator academyとは、次世代のTikTokクリエイターを発掘、支援することを目的にしたプログラムです。直近ではTikTok creator academy第2期が2022年7月~9月で実施されました。TikTok creator academyでは、応募者の中から選ばれた約100組のクリエイターに、TikTokより制作支援金として約10万円x 3ヵ月が支援されます。また、参加者には特別なプログラムとして、クリエイター同士の交流促進となるサポートや、特別なワークショップやセミナーを通して、動画の制作方法やフォロワー数を伸ばすためのコンテンツ戦略について学ぶ機会が与えられます。
【TikTok creator academy プログラム内容や特典の紹介】 [ 1 ] 約10万円 x 3ヵ月の制作支援金 [ 2 ] 豪華講師陣によるセミナーへの参加(7月~9月の間に2回ほど実施) [ 3 ] 毎週行われるセミナー/交流会への参加(平日月、水、金いずれかの7pmから開催予定) [ 4 ] 同期クリエイター同士で交流が出来るコミュニティへの招待・参加
この記事に関連するニュース
-
サイバー・バズのSNSに特化したエージェントサービス「Be One Agent」にZ世代注目のTikTokクリエイター「B.B. ALIE」が専属加入。提携クリエイターとして「MC TAKA」らも参画
PR TIMES / 2024年11月21日 13時45分
-
高速バスの会社がTikTok!?「推し活遠征女子 by WILLER公式」、フォロワー1万人を突破!“推し活”女子から圧倒的支持
PR TIMES / 2024年11月14日 14時0分
-
Castee、シリーズAで4億円超を調達 登録クリエイターの総フォロワー数3億人突破、2025年にアジア展開を開始
PR TIMES / 2024年11月7日 17時40分
-
「ヲタ芸」一本でTikTokトップクリエイターへ。世界で活躍するヲタ芸チーム「ゼロから打ち師始めます。」が「TikTok Awards Japan」2024に3年連続ノミネート!
PR TIMES / 2024年11月1日 18時15分
-
今年活躍したクリエイターを表彰する「TikTok Awards Japan」2024を開催決定!「Creator of the Year」は誰の手に?ノミネート61組を発表、ユーザー投票受付をスタート
PR TIMES / 2024年11月1日 16時0分
ランキング
-
1リンク付き投稿は拡散力減?イーロン氏明かすXルール 「告知投稿めっちゃ影響」不満も続々
J-CASTニュース / 2024年11月26日 17時11分
-
2『ドラクエ3』大魔王ゾーマ様、配信者になる―自己紹介では「嫌いなもの:ひかりのたま」とポロリ、「“ほりい”とかいう人間も泣き叫んでた」
インサイド / 2024年11月26日 13時10分
-
3東芝マテリアルを日本特殊陶業が買収 1500億円で
ITmedia NEWS / 2024年11月26日 12時44分
-
4HD-2D版『ドラクエ3』勇者「俺だけバラモス倒せなかった…」←なんで? 嘆きの声続出の理由
マグミクス / 2024年11月25日 17時25分
-
5オリエンタルランド、東京ディズニーリゾート販売の“3800円のマイボトル”回収 対象個数は4240個…… 「ご迷惑とご心配」
ねとらぼ / 2024年11月26日 17時12分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください