人手不足解決に向け、自動式搬送ロボットが熱い! CEATECで見つけたトランスフォーマー型ロボ
ASCII.jp / 2022年10月25日 9時0分
3年ぶりのCEATECで見つけた最新のロボットたち
3年ぶりのリアル開催となったCEATEC 2022。自動車系メーカーの出展がなかったことが少々淋しかったが、それでも家電メーカーの多くはしっかりとブースを陣取り、最先端技術を紹介していた。その中で各社が出展していたのが、様々なシーンでの活躍を想定した移動ロボットだ。
今、働く現場では深刻な人手不足が続いており、それは物流業界にとどまらず、生産現場でのちょっとしたモノの移動といったシーンにまで及んでいる。こうしたシーンでは設定したルートを自動走行し、指定した場所まで障害物などを避けて安全に届けられることが求められる。特に重要なのが積載時でもいかに安定してモノを運搬できるかで、農作業用途では悪路での走破性も重要となる。
CEATEC 2022では、そうした様々なシーンでの対応を可能にした移動ロボットが提案された。
京セラは高精度なセンシング技術を搭載した 自動配送ロボットを展示
開発した京セラによれば「物流における人手不足や非接触ニーズに対し、京セラが独自開発したセンサーや制御システムで、周囲の環境を高精度に検知。人や障害物を自動で回避しながら自律走行を安全にできる」とした。
そのスタイルは、大型トレイを搭載した構造となっており、部品から完成品、さらには廃棄物といったかさばるモノも積載できる仕様となっている。トレイの前・後方にはステレオカメラを装備し、これが路面の凹凸を高精度に検知して障害物を避けて走行することを可能とした。人の飛び出しや周囲の環境の変化には、前方に向けて搭載したミリ波レーダーが機能する仕組みだ。
また、検知した路面状況や障害物等の周囲情報を自ら把握して走行経路を生成。これを元に自律走行できる高い学習能力も併せ持つ。中でもポイントとなるのが。ステレオカメラやミリ波レーダー、周囲監視のためのマルチアングルカメラが、トレイの外周側面に廃されていることで、これにより架台部分の車両設計の自由度が高くなり、ニーズに応じた集積トレイやボックスの形状を変更することにも対応できる。
京セラでは展開事例として、自動宅配サービスや移動販売サービス、工場敷地内での配送サービスなどで活用できるとし、その上で路車協調システムと連携することで。安全な走行の下、労働力不足の解消をはじめとする快適な社会の実現に貢献できるとしている。
三菱電機が提案する 搬送用ロボット(AMR:Autonomous Mobile Robot)サービス
コンセプトは「人と協働する自律走行ロボットが、ラストワンマイル物流・配送を変える」というもの。労働人口が減少する中で、今や質の高いサービスを提供するためには業務の自動化・ロボット化が欠かせない。それが業務の効率化につながり、人々がもっと自由に過ごせる社会を実現できるというわけだ。三菱電機はここにスポットを当てAMRを開発した。
車両の前後にはLiDARが装備され、前方にはカメラを組み合わせて障害物を検知しながら自動走行する。最大の特徴は自律走行しながら同時に数センチ単位の高精度な地図を製作できることで、これを実現したことで一度通ったルートを正確に踏襲できる。これは前後に搭載したLiDARや、準天頂衛星による高精度測位技術を併用することで実現した。
車体の上部はユニットを載せ替えることで様々な用途にも対応。たとえば、移動するデジタルサイネージや、買い物した荷物などを指定した場所や時間に自動配送する手ぶら観光などの用途も想定する。出展車両は移動するゴミ箱となっていた。
このAMRはすでに実用化に向け、三重県多気町にある商業リゾート「VISON(ヴィソン)」で実証実験を進めている。すでにこのゴミ箱式搬送ロボットや、一人乗り用パーソナルモビリティー「SCOO(スクー)」を展開中で、ゴミ箱タイプで20台、パーソナルモビリティで50台を投入する計画だ。
m2Laboは車幅を自在に変更できる 「MobileMover Transformer」を出展
静岡県牧之原市に本社を置く「エムスクエア・ラボ」は、農業の社会的課題を先端技術で解決することを目的に設立されたベンチャーだ。同社はAmazonが展開するウェブサービス「AWS」内で、農業の現場での活躍を想定したユニークな搬送用ロボットを出展した。
その名も「MobileMover Transformer(トランスフォーマー)」。このロボットは、なんと車幅を自在に変えることができる、なんともユニークなメカニズムを備えている。
同社によれば、農作業の現場では可搬性が重視される一方で、狭い出入り口でもスムーズに通過できないかという要望も数多く聞かれたという。この双方のニーズに応えるためには車幅を変化させる方法しかないと判断し、この構造に開発に踏み切ったというわけだ。基本的なパワートレーンはスズキ自動車のセニアカーの技術を採用するが、トランスフォーマーでは左右幅が変化するため、リンクを介しての4WD駆動方式に変更されている。
車幅を変えるのに要する時間は10秒足らず。外側にはみ出ていた車輪が見事に車体内に収まり、同時にリンク機構との兼ね合いで全長はその分だけ逆に長くなる。ただ、その動きは驚くほどスムーズで、その様を見ていると、まさに映画“トランスフォーマー”の世界観が蘇る。前方にはLiDARが組み込まれ、後方には絶対位置を検知するGPSレシーバーが装備される。これにより、田畑の畝なども正確に自動走行できるという。
中央には様々な運搬に対応できるカーゴが取り付けられ、担当者によれば後方にはクレーンを装備して遠隔操作で荷物の回収も想定しているという。また、将来はぬかるみにより強いキャタピラ仕様の駆動方式も選択肢として考えていると話していた。
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