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【レビュー】第10世代iPad実戦チェック! 本体・キーボード・ペンシルの使い心地は?

ASCII.jp / 2022年10月24日 22時0分

ホームボタンのないオールスクリーンデザインになった第10世代のiPad

 アップルが新しい第10世代のiPadを発売します。デザインが大きく変わったことに関心が集まっていますが、使い勝手は良くなっているのでしょうか。発売前に実機を試したところ、新旧世代で変わった点や他のiPadとの違いがよく見えてきました。

iPad Airとも違った!注目したいデザインのポイント

 いわゆる「無印」のiPadは、シリーズの中で最も安価なエントリーモデルとして、長らく親しまれています。国内では文部科学省が押し進めている教育改革案のGIGAスクール構想により、近年は小中学校で学ぶ生徒たちの手元にも広がりました。また商業施設の情報端末、あるいは会計用端末として無印iPadが活躍する姿もよく見かけます。

 本機の発売後も第9世代のiPad、第5世代のiPad Airがともに販売を継続するので、iPadシリーズの中で第10世代iPadがどんな個性を発揮するのか気になります。

iPad Pro/Airのようにシャープなエッジのデザインになりました。本体の厚さは7mm

 新しい第10世代のiPadは、第9世代のiPadよりも本体が0.5mm薄くなりました。質量はWi-Fiモデルが10g、Wi-Fi+Cellularモデルが17gも軽くなっています。デザインはiPad ProやiPad Airのようにエッジがシャープになっています。筆者は持ちやすく感じました。

左が第10世代のiPad。右は第5世代のiPad Air。無印iPadの方がコーナーの面取りが大きく緩やかです

 プレスリリースの画像から、筆者は新しいiPadのデザインが第5世代のiPad Airと同じなのだと思っていました。並べてみると新しいiPadの方がコーナーの形状がもっと大きくカーブしています。iPad Airの方がシャープな印象をうけます。

Smart Connectorは本体の側面に配置しています

 新しいiPadは専用キーボードを接続・給電するためのSmart Connectorを本体の側面に設けています。第1世代のApple Pencilに対応しているので、側面にマグネットコネクタがありません。

フロントカメラの配置が側面に移動しています

 新しいiPadがとびきりユニークな点はフロントカメラのポジションです。本体を横向きに構えると、フロントカメラはディスプレイのトップ中央に鎮座しています。これまでは斜め下の角度からiPadのカメラに煽られるため、ビデオ会議などに参加すると通話相手にまっすぐ目を向けることが困難でした。新しいiPadは正面向きの自然なカメラアングルになるので、カメラにも視線が合わせやすくなりました。

第10世代のiPad専用の「Magic Keyboard Folio」を装着

カバー&スタンドにもなる、打鍵感良好な専用キーボード

 「Magic Keyboard Folio」はよくできた第10世代iPadの専用アクセサリーです。ディスプレイを守るカバーの役割も兼ねるキーボードと、本体背面に装着するカバーの2ピースセパレート構成です。背面カバーには角度調整ができる収納式のキックスタンドがあります。

フルサイズのキーボードを採用。トラックパッドとファンクションキーも搭載しています

 第9世代のiPadにも専用アクセサリーのSmart Keyboardが用意されていますが、Magic Keyboard Folioの方がキーボードの打鍵感が安定していると感じます。トラックパッドにファンクションキーも揃っているので、本格的なドキュメント作成がしやすくなりました。無印iPadがますますモバイルPCに置き換わるデバイスになった実感があります。

キーボード側を360度回転させてすぐ平置きにできます

 キーボード側は360度回転させたり、取り外すことでiPadを平置きにもできます。Apple Pencilによる手書き作業に素速く移行できるので、筆者のようにiPadによる仕事はキーボードとペンの両方を使うユーザーにはありがたいです。この点ではiPad ProやiPad Airが対応する「Magic Keyboard」よりも優秀なアクセサリーだと思います。

角度調整に対応するキックスタンド。テーブル置きの場合はとても安定します

 ひとつMagic Keyboard Folioに解決すべき課題があるとすれば、セパレート筐体のキックスタンド方式なので「ひざ打ちタイピング」が不安定になりがちなところです。ひざ上のスペースも広く取られます。サードパーティーのアクセサリーメーカーから、ひざ打ちにも適したキーボードが出ることを期待したいです。

USB-C接続のハイレゾ対応ポータブルヘッドホンアンプとの相性がとても良くなりました

ハイレゾ対応ヘッドホンアンプをUSB-C端子に直結!

 第10世代のiPadもデジタルコネクタはUSB-Cになりました。メリットは色々考えられますが、筆者の場合は昨今種類が増えているUSB接続のポータブルヘッドホンアンプが使いやすくなりました。安価な無印iPadでも楽しみやすくなれば、Apple Musicのハイレゾロスレス再生への関心もまた高まりそうです。

 オーディオといえば、新しいiPadは横向きの2スピーカーオーディオを採用しました。Apple TV+の空間オーディオに対応する動画コンテンツのサウンドは豊かな広がりが感じられます。オールスクリーンデザインとあいまって、新しいiPadはエンターテインメントコンテンツの再生プレーヤーとしての魅力が一段と増しています。

第1世代のApple Pencilに対応

ほかのiPadと比べて「気になる点」もある

 第10世代iPadに注文を付けたいこともあります。ひとつはApple Pencilです。やはり第1世代ではなく、第2世代の新しいペンシルに対応して欲しかったと思います。どんなペンも使い心地は人それぞれに好みが分かれるものですが、筆者が気になるのは充電やペアリングの手間です。Apple Pencilはその登場以来、iPad本体に直接つないでペアリングや充電ができることを魅力に掲げてきました。新しいiPadでは別途ケーブルと変換アダプターが必要になるため、いざバッテリーが心配になった時のためにアクセサリーを持ち歩く必要があります。

 アップルには今後、iPadのUSB-Cコネクタに直結できるApple Pencilの開発に挑戦してほしいです。

ペアリングや充電の際には「USB-C to Apple Pencil」アダプタとUSBケーブルが必要。直結できるApple Pencilも欲しいです

 もうひとつApple Pencilの「書き心地」に関して指摘したいことがあります。これは第9世代モデルも同様でしたが、無印iPadのディスプレイはタッチセンサーにカバーガラス、液晶パネルを一体にしたフルラミネーション構造ではありません。Apple Pencilで文字や線を書きながら、斜め横からペン先を見つめるとよくわかりますが、描画の位置とペン先との間にわずかなギャップが発生します。もしも精密なデッサンや製図の作業に適したiPadを探しているのであれば、やはり上位のAirやProを選ぶべきです。

第10世代のiPadはフルラミネーションディスプレイではないため、ペン先と描画の間にわずかなギャップが生まれる感覚があります

 第10世代のiPadは専用アクセサリーのMagic Keyboard Folioがとても洗練されたことから、ノートPCの代わりとして、あるいはサブ機としての魅力が一段と増していました。A14 Bionicチップの性能も色あせない力強さを感じます。ただ、Apple M1チップを搭載するiPadでなければ、iPadOS 16の新しいマルチタスキング機能である「ステージマネージャ」が使えないことは覚えておきましょう。

鮮やかな4色のカラバリが登場します

 第10世代のiPadと、第9世代のiPadの価格を比べると、Wi-Fiモデルは1万9000円、Wi-Fi+Cellularモデルは2万3000円ほど高くなっています。実力とできることの差を考えれば妥当と言えそうですが、無印iPadを「エントリーモデル」と呼び続けて良いのか、正直に言って少し悩む価格でもあります。ギリギリ5万円以内の価格でふんばる第9世代iPadがラインナップの中に残ったことは幸いです。ラインナップが拡大したiPadの中で、今後は第10世代のiPadをどんなユーザーが選び上手に使いこなすのか注目です。

筆者紹介――山本 敦  オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。

 

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