【先行レビュー】新世代スタンダードiPad登場! 初の横置きを前提としたスタイル
ASCII.jp / 2022年10月24日 22時0分
各モデルがスクエアなデザインになっていく中、ひとり取り残されていたiPadのスタンダードモデルが、ついにモデルチェンジした。第10世代にしてやっとホームボタンを持たないLiquid Retina(アップルはコーナーまでディスプレイを近づけたデザインをこう呼ぶ)スタイルになった。10月26日の発売に先駆けて触ったiPad(第10世代)は、iPadの新世代を下から支える手堅いできの製品だった。
教育期間向けに第9世代も当分は併売されそう
iPad Pro、iPad Air、iPad miniなどが、次々とLiquid Retinaディスプレイを搭載する中で、スタンダードモデルのiPadのみが変わらぬ、ホームボタンを持つ背面がカーブした伝統的なデザインを継承してきた。2010年の初代iPadからすると、12年間も守り通したスタイルだといえる。ディスプレイサイズは拡大されたものの、外寸サイズにほぼ変更がないということからも、アップルの「iPadの理想はこのサイズ」という強い主張がうかがえる。
第9世代から第10世代への変化として、チップセットはA13 BionicからA14 Bionicへとアップデート。ディスプレイは形状こそ違うものの、最大輝度500ニトのsRGBなので、ほぼ同じ仕様。iPadのメインストリームであるスタンダードモデルが、いよいよ新世代機の仲間入りをしたのだということがよく分かる。
実際に単体で触ってみると、iPad ProやiPad Airとほぼ同サイズであるにもかかわらず、わずかに厚くわずかにフレーム部分が太く、親しみやすいモデルであることが伝わってくる。
iPad AirがM1を搭載して非常に高性能なものになったために、もうちょっと穏やかな性能のモデルが必要になったということなのだろう。
しかしながら、狭額縁でホームボタンのないモデルは高齢者の方や幼い子供には持ちやすいとは言えない。また「ホームボタンを押せば、元の画面に戻るからね」と言えるモデルは、今後も必要だと思う。
価格帯から言っても、今回のiPad(第10世代)は、教育現場で使うには、まだ少々高価。これらの理由から、iPad(第9世代)は当分の間ラインナップに残るのではないかと思う。ちなみに、USの価格でも第10世代は449ドル(約6万7054円)~で、第9世代は329ドル(約4万9133円)~。まだ少し差がある。iPhoneにSEが用意されているように、iPad(第9世代)は当分の間並走すると思う。
特に学校で大量導入する場合は、1年先、2年先の購入費用が予算化されているので、急に大きく値上がりすると、「予算的にiPadは無理」ということになりなねない。
それでも、いつかは世代交代が必要だ。だから、今回のiPad(第10世代)が用意されたのかもしれない。
慣れれば意外と違和感のないApple Pencilの充電
そう考えると、第1世代のApple Pencil対応とされた理由もなんとなく分かってくる。
Apple Pencilの第1世代は1万4800円だが、第2世代は1万9800円。5000円の差とはいえ、予算が限られていて、少しでも安く購入したい教育現場においては5000円の差は大きい。また、学校に備品としてApple Pencilが用意されている場合もあり、第2世代対応とするとそれらが無駄になってしまう。
大きく話題となった、USB-C - Apple Pencilアダプターも、実際に使ってみると意外と不自由はない。
以前からあるLightning - Apple Pencilアダプターよりだいぶサイズが大きいので、扱いやすく紛失のリスクは少ないように思える。今や普及したUSB-Cケーブルに繋げば充電できるのだから、お手軽だ。むしろ、本体に突き刺していた従来の方式の方が奇妙に思えてくる。
ちなみに、Lightning - Apple Pencilアダプターに、iPhoneなどに付属しているLightning - USB-Cケーブルを組み合わせても充電はできるが、ペアリングはできないので注意したい。USB-Cケーブルにはさまざまな仕様があるので、このあたり知見が蓄積されるまでは、慎重にチョイスした方が良さそうだ。
iPadOS 16の新機能も楽しみ
iPad(第10世代)にもiPadOSが導入されているが、こちらはステージマネージャ対応ではないので、使い勝手が大きく変わるわけではない。
それでも、いろいろ便利な新機能が追加されるのはうれしい。ビデオ映像からの日本語のLive Textやメール送信のスケジューリング、メッセージの取り消しなど、さまざまな機能が加わっている。iOS 16と同じ写真のキリヌキ機能が使えるので、学生さんのレポートにも便利に使えるに違いない。
また、今年中に追加されることになったフリーボードというコラボレーションアプリも便利そうだ。マルチタスク機能を使って、FaceTimeでミーティングしながら、フリーボードでブレインストーミング……というようなことが、このiPad 1台でできるのだから驚いてしまう。
そう考えると、横画面で使った時にカメラが中央上部に配されているという仕様も納得できる。
横置きを前提とした初めてのiPad
磁石でくっつけて充電するApple Pencil 第2世代に対応できなかったもうひとつの理由が、この横置きした時にディスプレイ中央に位置するFaceTimeカメラの存在だ。
FaceTimeカメラは、歴代のiPadで常に上側の短辺の上部に設けらていたが、今回初めて横置き前提の、長編の中央へと移行した。
つまり、アップルは少なくともこのスタンダードiPadにおいては、Apple Pencilの利便性よりも、Magic Keyboard Folioなどに接続した状態でのビデオ会議の利便性を優先したということになる。ビデオ会議が増えている現状を重視しているということなのだろう。
新しいMagic Keyboard Folioは、従来のSmart Keyboardとは異なり、Magic Keyboard同様、ひとつひとつのキーが別パーツになった打鍵感を重視したタイプ。トラックパッドも付属しており、将来の製品がステージマネージャや、外部ディスプレイをサポートすることを想定しているのではないかと思われる。
また、スタンド部分とキーボード部分が分離するという新しいギミックも設けられている。このため、Smart Connectorの位置が、従来の本体背面から側面に移動しており、従来製品との相互の互換性はない。
打鍵感も非常によく使い心地の良い商品だが、単体重量が591g(筆者実測)となっており、装着すると重さが2倍以上になることは知っておきたい。
これからのiPadの中核モデルに相応しい
将来のスタンダードモデルになる製品として、価格を抑えるところは抑え、新技術を加えるところは加えた力作である。Apple Pencilの充電方式など、現時点では少々こなれていないように思える部分もあるが、このスタンダードiPadが将来の中核機種になっていくということは間違いない。
日本では、円安の影響を受けて少々高価に感じるが、そこはアップルの責任ではなく仕方のないことだといえるだろう。
筆者紹介――村上タクタ 趣味の雑誌を30年間に600冊ほど作ってきた編集者・ライター。バイク雑誌「ライダースクラブ」で仕事を始め、ラジコン飛行機雑誌「RCエアワールド」、海水魚とサンゴ飼育の雑誌「コーラルフィッシュ」、デジタルガジェットの本「flick!」の編集長を約10年務めた後退職。現在フリーランスの編集者・ライターであり、ウェブメディアThunderVoltの編集長。HHKBエバンジェリスト、ScanSnapアンバサダー、mmhmmヒーロー。iPhone、iPadなどのデジタルガジェットや、バイク、クルマ、旅、キャンプ、絵画、日本酒、ワインと家族を愛する2児の父。
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